第19話 田村からの初めての手紙

6月の中旬に、田村は初めて大地宛に手紙を送った。


   大地くんへ


「こんにちは、大地くん。げんきにしていますか。ぼくも、ホームランをうてるようにがんばるので、大地くんもがんばって、びょうきとたたかってね。こんどの大地くんのたんじょうびに、あえることをたのしみにしています」  タムより



 そして、大地の両親へは、


 「こんにちは、ご無沙汰しております。大変失礼ですが、手紙を書くのが苦手なもので簡単に申し上げます。今度の大地君の誕生日(7月4日)に大阪ドームでパイレーツ戦があります。チケットを同封しましたので、もし、大地君の体調がよろしければ、ご家族で応援に来て頂ければ嬉しいです」


                        田村 博





       (村山の自宅にて)


幸雄が21時過ぎに自宅へ帰ると、


「あなた、ジャガーズの田村さんから手紙が来たの」とひとみが言うと、


「ほんとに? 見せて」と幸雄が言い、その手紙を受け取ると、ハサミで手紙の端を切った。


幸雄は全部読み終えると、その手紙をひとみへ渡した。


ひとみがその手紙を読み終えるのを待って、


「大地はきっと喜ぶだろうな」と幸雄が言った。


「でも、大地に外出許可が出るかしら?」とひとみが聞くと、


「明日、俺が阿部先生に相談してみるよ」


「ありがとう。大地の誕生日だから何とかしてあげたいね」

とひとみが言った。


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