第3話

彼女の自宅は、学校から近い。

徒歩で通学していたらしい。


本来なら、たまり場となるのだが、彼女には友達がいない。

というか、作らなかったと思うが、その家は割と目立つ。


豪邸とかではなく、周りは更地なので、嫌でも目立ってしまう。

たまに、通りかかることがあるが、静まり返っている。


その日も、たまたま通りかかったのだが・・・


「もしもし」

声に振り替える。

「僕ですか?」

「そうそう・・・あなたは、莉子のクラスメイトだった・・・確か、稲田陸くん」

「そうですが・・・どちらさまですか?」

知らない人に尋ねるのは、当然だろう。


「私は、莉子の母です。通夜と葬儀の時に、挨拶したと思いますが・・・」


そういえば、挨拶をしたと思う。

会釈程度だったと思いますが・・・


「お時間ありましたら、莉子に会っていってください。喜ぶと思います」

冷静なら、断っていたかもしれない。


でも、この時の僕は、彼女と話したい気持ちがあった。

ふとした気まぐれは、人生を大きく変えるのかもしれない。


そして、僕は承諾して、莉子さんに会いに行くことにした。


そして、お母さんは莉子さんの部屋に案内してくれた。

お線香だけでもと思っていたのだが、「仏壇はお坊さん意外に人は、拝んではいけない」と拒否され、

彼女の部屋に通された。


最初は分からなかったが、莉子さんのお母さんは、どちらかといえば、ボーイッシュな感じがする。

とても、礼儀正しい口調をするとは思えなかったが、最低限の礼儀だろうか?


莉子さんの部屋は、意外にも小説は数えるほどしかなかった。


彼女が生前に使っていたと思われる机に写真が置かれていた。

そして、その写真に声をかけてみた。

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