第4話 星の秘密
〈1〉
久々のバレンシア朱雀。
そう言いたい所だったがバスチエはロワーヌ天后を訪れている。
レンタカーで森の奥にあるヴィオネット・カイエンのログハウスに向かう。
二匹の番犬に吠えられながら呼び鈴を押す。
「久しぶりねバスチエ」
ヴィオネットがドアを開ける。
「懐かしいな。前のカーニバル以来だから二年ぶりか」
バスチエが言うとヴィオネットがリビングに向かって先導するようにして歩く。
「白々しい。社長に口説くように言われて来たんでしょ?」
「まあ俺は勤め人だからな。お前もやってみろよ」
バスチエに椅子を勧めてヴィオネットがハーブティーを淹れる。
「そういうのが嫌だから一人で暮らしてるのよ」
「最近は一人になれんだろう。俺みたいのが来るしな」
バスチエは口ひげをしごきながら言う。
「技術革新なんていい事だけじゃないわ」
「そういうのが出て来たのは最近のランナバウトが世知辛いからだ」
ヴィオネットがテーブルに置いたハーブティーを口に運ぶ。
繊細な人柄がにじみ出た淡く奥深い味わいだ。
「最近は界隈が騒がしくなってるわね」
「昔はAクラスのランナーを量産なんて信じられなかっただろう? 今度は改造人間が乗るそうだ。俺には何が何やら分かりやしない」
「私にも分からないわ」
「そういうチーム……って言うか時代に抗って2.0は生まれたんだ。このままじゃランナバウトが消えてランナーバトルの世界になっちまうからな」
バスチエは息を吐いて言う。自分自身状況を正しく理解できているとは思わない。
時代が悪くなったと漠然と思っていたら本当に悪くなっていたという事なのだ。
それをどうにかしようと若い連中が知恵を絞って何やらしているのだ。
「ランナバウトがランナーバトルに負けないようにするにはよ。ランナバウトの方が面白ぇ、それでランナバウトのランナーの方が強いって事を証明しなきゃならねぇって俺は思ってる」
「あなたはシンプルね。事はそう単純じゃないわ」
「シンプルな話じゃねぇと俺には理解できねぇんだよ。で、兎にも角にもランナバウトをする機体はアップデートしなきゃならねぇ」
「それを私にやれって言う話なんでしょ?」
何かを諦めた様子でヴィオネットが言う。
「だからよ。俺を雇え」
「は?」
ヴィオネットが間の抜けた声を出す。
「うちにも小難しい事を考える小僧がいるんだ。悪いヤツじゃないんだがどうにもものをこじらせて考えるタチでな。お前さんとは気が合うかも知れないぞ?」
「それはどういう?」
ヴィオネットは考えが追いついていないようだ。バスチエ自身無策で来たのだから出たとこ任せだ。
「要するにいいランナーを揃えて最高のランナバウトをさせてぇ。うちの小僧一人じゃ足りねぇし、お前さんは仕事のえり好みが激しいだろう? お前さんの工房でカーニバルを盛り上げちゃくれないかね」
「ウロボロスの会社になるという話でしたが?」
「んな事は知らん。俺はお前さんを口説けって言われただけだし、俺がやりたいのはランナバウトだけだ。会社がつまづくとか転ぶとかって話はどうでもいい。いや、どうでもいいってのは言い過ぎだけどな」
バスチエが言うとヴィオネットが軽い笑い声を立てる。
「そういう事を社長さんにも言うんですか?」
「言えねぇよ。おっかねぇ。でも社長は必要な時にはきちんと金を用意してくれるし、何より潰れそうになったウロボロスを救ってくれた恩人だ。でもなきゃあんな小娘にへいこらしねぇよ」
「小娘ってそういうの女性蔑視って言うんですよ」
「小娘がダメなら小僧ならいいのか? 人には得意な事と苦手な事があるし、そりゃどうにもならねぇことだ。ヘクターが死んだ後、俺は会社が傾くのを指を咥えて見てるしか無かった。ランナバウトの事しか分からねぇからな。でもそれって悪い事か?」
「あなたにお金を預けてもランナバウトにしか使わないでしょうしね」
ヴィオネットの言葉にバスチエは膝を打つ。
「俺は最近難しい事は若い連中にやらせりゃいいんだって、得意な連中にやらせりゃいいんだって事が分かったんだよ。でもそれはお前さんも同じじゃないのかい?」
「確かに私もランナーを作る事しかできないけど」
ヴィオネットが思案顔になる。
「ウロボロスのマネージャーは性じゃなかった。年中金勘定しなきゃならねぇしな。でもお前のランナーを作るんだったら俺は何も考えなくて済む」
ウロボロスのマネージャーは相手チームと戦う前に予算と戦わなくてはならなかった。
そういう競技だと分かっていても昔と今とでは状況が違いすぎる。
「あなたがマネージャーをするならお金に強くないとダメじゃないの?」
「それがうちの小僧が細かい事が得意なんだ。自閉症って言うのか? とにかく人見知りが激しくてな。それがなけりゃ一国一城の主になっててもおかしくねぇんだが。もったいねぇ、もったいねぇと思ってるんだが本人がそれでいいってんだからな。まぁ、無理強いもできねぇさ」
バスチエはオルソンの才能を惜しんでいる。マイスターとしての才能だけでなく周囲の事を俯瞰して見る事のできる能力がある。
無いのはコミュニケーション能力だけだ。
「私を口説きたいのかその子を売り込みたいのか分からないわね」
「両方ってのはダメかい?」
バスチエが言うとヴィオネットが溜息をつく。
「条件は私は私を指名した相手であっても、私が気に入った相手でなくてはランナーは作らない」
「そういうランナーは下積みに作らせりゃいい」
「あなたって人は本当に前時代的って言うか……その子も嫌だって言ったらどうするのよ」
「作らなけりゃいいさ。店にだって客選ぶ権利はあるんだ」
バスチエは言う。定食屋だって客が気に入らなければ追い出す事もあるのだ。
「その言葉を裏切ったら私はその日のうちに荷物をまとめて帰るわよ」
ヴィオネットが口元に笑みを浮かべて言う。
「帰れ帰れ。その時は俺が段ボールでランナーを作ってやるよ」
バスチエが笑って右手を差し出すとヴィオネットが握り返す。
「犬小屋だって段ボールじゃ作らないわよ」
これでとりあえずはヴィオネットとは一蓮托生だ。
ウロボロスがヴィオネットの工房に出資する事になるのか、ヴィオネットがウロボロスに来るのかバスチエには分からない。
確実に分かるのは……
――天才が二人も揃えば面白くない訳がないって事だ――
〈2〉
何日眠れぬ夜を過ごしただろうか。
これが恋煩いだったらどれほど楽だろうか。
仮眠室のベッドでオンジョと一緒に寝る事に抵抗がなくなって何日が過ぎただろう。
ミニョンはオフィスのデスクの上の栄養ドリンクの瓶を片付け、新たな瓶を開ける。
「ソ主任、鼻血が出てますよ。栄養ドリンクの飲みすぎじゃないですか?」
オンジョに言われてティッシュで鼻を拭う。確かに鼻血が出ているようだ。
――鼻血くらいで負けていられるか――
鼻血が出て困るのはティッシュで拭って人中のファンデーションが落ちる事くらいだ。
ミニョンは朝のルーティンとしてロワーヌ天后州のニュースを徹底的にチェックする。
既に下手なロワーヌ天后人よりロワーヌ天后の状況に精通しているだろう。
「トライスター商会がショッピングモールを出店? オンジョ、トライスター商会っていうのはグルメロワーヌの食料品卸よね?」
ミニョンはオンジョに訊ねる。ロワーヌ天后の事情に関しては地元のオンジョの方が詳しい。
「はい。事業を拡大するとしても妙なタイミングですね。リベルタ同盟を結ぼうという時に各地にショッピングモールを出したのでは地元の反発を招きかねません」
ミニョンはトライスター商会のショッピングモールの計画をつぶさに確認して行く。
ショッピングモールにはグロリー騰蛇投資銀行が多額の出資を行っており、商品価格、特に農作物の価格は従来の5割という破格の安さだ。
普通の八百屋では価格で太刀打ちできないだろう。そもそも5割の価格では原価割れを起こしているはずだ。
そこでミニョンはグルメロワーヌがヨークスター太陰の食料メジャーを買収した事を思い出す。
――ショッピングモールの商品がグルメロワーヌではなくヨークスター太陰のものだとすれば……――
ギリギリではあるが赤字にはならない。
ロワーヌ天后最大手の卸問屋が手がけるショッピングモールであればグルメロワーヌの商品と考えるのが普通の神経だ。
しかし、実際に並ぶのはヨークスター太陰の商品で出資はグロリー騰蛇投資銀行。
――なるほどそうか……――
グロリー騰蛇投資銀行の頭取エドワード・バーンズはグルメロワーヌからシェアを奪う為にトライスター商会を取り込んだ。その時点では商品はグルメロワーヌのものになると考えて疑わなかっただろう。
ショッピングモールが安価で商品を扱えば商店街の小店主は次々と倒産する。
そうやって地元の産業を破壊しておいてから商品価格を上げれば消費者には選択肢がなく、トライスター商会は初期の値下げ分の投資を回収する事ができる。
――しかしリッシモンはエドワードの計略に気付いた――
豊作なのに不作と偽ってヨークスター太陰の食料メジャーを買収した。
グルメロワーヌはその安価な食料をトライスターに卸しているのだ。
それではショッピングモールの商品は安かろう悪かろうだ。
――でもこれは商機だ!――
一般の人々はショッピングモールに並んでいる商品がヨークスター太陰産である事に気付いてはいないだろう。
そこでウロボロスがグルメロワーヌのPPLを制作しCMを流したらどうなるか?
トライスター商会のショッピングモールで買い物をするのは余程貧乏で舌が馬鹿になっている人間ばかりという事になるだろう。
それでも顧客を掴もうと思ったらトライスター商会は無限に価格を下げる必要が出て来るし、それはグロリー騰蛇投資銀行の持ち出しが大きくなる事を意味する。
「オンジョ、リッシモンに連絡してくれる」
「分かりました」
オンジョがリッシモンをコールする。グルメロワーヌに繋いでもどうせリッシモンに回されるのだから同じ事だ。
『やあ、今日は収穫日和だねぇ。2.0締結まで後五日だよ。何か進展はあったかい?』
バンダナを巻いたリッシモンが栗を拾いながら言う。
そういえば秋はモンブランの季節だと今更ながらに思い出す。
「グルメロワーヌはトライスター商会にヨークスター太陰産の食料を収めていますね?」
『あ。もう分かっちゃった?』
「金の動きが不自然ですから。それでグロリー騰蛇投資銀行に大赤字をさせようという魂胆でしょう?」
『ロワーヌ天后でヨークスター太陰の商品が売れる訳がないし、元々ロワーヌ天后は豊作なんだからリベルタ諸州で売る商品には困っていない。確かに価格ではトライスターのショッピングモールには勝てないけどこっちには不動のブランドイメージがあるからね』
「そのブランドを当てこんでグロリー騰蛇投資銀行のエドワードはトライスター商会を抱きこんだんでしょう。そこで我が社はグルメロワーヌのPPLドラマの作成とCMの提供を協定条件として提示します」
ミニョンが言うとリッシモンが思案顔になる。
元々強力なブランド力を持つグルメロワーヌだが、PPLドラマとCMの後押しを受けたらどうなるか?
少しの味の差の我慢してヨークスター太陰産を選ぶ倹約家もグルメロワーヌに転ぶだろう。
グルメロワーヌは値下げを行わず、ほとんど戦わずしてグロリー騰蛇投資銀行に勝利できる事になる。
『そのドラマは面白いものになるんだろうね? こっちは農家だけど役者は大根じゃ困る』
リッシモンが栗の棘のついた殻を足で剝きながら言う。
「ドラマの質が悪ければウロボロスのブランドイメージが低下します」
してやったりという気分でミニョンは言う。
『グルメロワーヌはその条件でウロボロスとの同盟に同意するよ』
――リッシモンから一本取った!――
「それでは後ほど本社から正式に締結の書面を送らせて頂きます」
『君とはいい取り引きができたよ。五日後が楽しみだ』
笑みを浮かべたリッシモンが通信を切る。
「っしゃああああああっ! やったああああっ! 見たかリッシモン! 見たかアンドリュー!」
ミニョンはガッツポーズを取って足踏みして叫ぶ。
協定締結まで残り五日。ギリギリとも言えるタイミングでグルメロワーヌを口説き落とす事に成功したのだ。
これで既に同盟条件で妥結しているヒュンソ、メルカッツェを合わせれば過半数を取れる。後はポセイドンと成龍公司が妥協してくれれば六社六チームによる2.0発足が確定する。
とはいえポラと双璧を成す子龍は成龍公司の会社なのだからホウライを擁するポセイドンも妥協せざるを得ない。
「ソ主任。レイトン課長に連絡しますか?」
オンジョが訊いてくる。
「もちろん」
ミニョンはウインクして言う。
ウロボロスはサブスクやチケットの値下げをせず、ブランドを安売りせずに乗り切る事に成功した。
――これで本社が一歩近づいた!――
後はサイクロンの興行を成功させるだけだ。
〈3〉
――ジェーンには振り向かれるどころか視界に入れてもらう事もできなかったな――
ロビンはショッピングモールのレディースファッションのコーナーを物色しながらぼんやりと考える。
迷宮少年、否、ウロボロスは天衣星辰剣やUMSライダー発掘の為の機関だった。
少なくとも会長のクリスチャンはそう考えていて、ロビンはライダーに選ばれた。
ランナーに乗っている時は何かが解放される、不思議な高揚感がある。
――一応アイドル系ライダーではいられるけど――
元々アイドル志望だった事を考えると微妙な気分にならざるを得ない。
フリルのついた可愛いシャツが目に留まる。
――僕も可愛い服を着て……――
舞台に立つ事は叶わない。出る時はカッコいいか中性的かのどちらかだ。
アイドルを続けたからと言って窮屈さは変わらなかっただろう。
「あ、ロビンも買い物?」
買い物かごに服を入れたハンナが声をかけて来る。
多少可愛い恰好をしていても一目でロビンだと分かってしまう。
「はい。可愛いな~って思って」
「可愛いけど着れない服が多いのよね~」
「ハンナさん、一目で僕だって分かりました?」
「そりゃ分かるわよ。毎日一緒に練習してるんだし」
当たり前のように言われるがそれが一番突き刺さる。
「僕ってメイクが下手くそなんでしょうか?」
「そこらの女の子より全然かわいいんだから上手いんじゃない? 私が教えて欲しいくらいよ」
「でも一目で分かっちゃうんですよね?」
「そりゃどことなくって言うか……やっぱり骨格かなぁ~筋肉のつきかたとか……女には見えないんだよね。男なら騙されるかも知れないけど。幾らレベルの高い男装の人だって男にはほとんど一発で見破られるじゃん?」
ハンナの言う通りだ。何が違うと言葉にできなくとも違うものは違うと分かってしまうのだ。
「まぁ、そこんとこは諦めてもう少し似合う服を選んだほうがいいんじゃない?」
ハンナがロビンの手を引いてメンズコーナーに向かう。
「僕はメンズ服が嫌いなんです」
生地の断ち方縫製の仕方、大雑把さが男らしいとでも言うのか、そのマッチョな思考が現れたデザインがどうしても好きになれない。
「私は着るけど。今着てるのもメンズ服だし。元々タッパがデカいから合うサイズの服が少ないってのもあるんだけど」
――でもハンナさんは女子力高い女にしか見えない――
女子力高い女と一緒にいるとコンプレックスを感じる。
全ての努力が無駄なのだと突きつけられている気分になる。
ハンナがベレー帽とサロペットを選んで試着室に行けと言う。
鏡の前に立ったロビンは驚きを感じる。メンズ服を着たはずなのに逆に女に見える。
「可愛いじゃん。いやぁ私って見る目あるわ」
ハンナが嬉しそうに言う。
「ハンナさんってすごいですね」
「私だって似合わないレディースと何年も格闘して来たんだから。何をどう着ればいいか少しくらいは分かるって。まぁ、着たい服と似合う服にはギャップあるんだけどさ」
ロビンは長身のハンナを眺める。身長がこれ以上高くならないようにヒールではなくスニーカーだ。
メンズのボンバージャケットにマキシ丈のスカート。
ロビンには真似できない色気のある女らしさ。
「ロビン、こっちのスウェット試してみなよ」
ハンナが可愛いスウェットを見つけて来て言う。
ハンナの見立てはスタイリストとは違っている。舞台ではカッコ良く見せようとするし、日常の動画配信でも中性的に寄せる事はあっても可愛さに振り切ってくれない。
でもハンナの選ぶ服はちゃんと可愛くなる。
「ロビン可愛いじゃん」
ハンナが着せ替えをしながら楽しそうに言う。
「勝手なお世話なんだけどロビンショートにしてみたら?」
ロビンの着せ替えをしていたハンナが言う。
「ロビンの場合少しウェーブをかけて上にボリューム作った方が似合うと思うんだ」
言われてみてもイメージが湧かない。
「ハンナさん美容師でもやってたんですか?」
「うん。子供ができて忙しくてやってなかったけど。カットしてあげよっか」
「本当にショートにして似合うって思います? 男っぽくなるの嫌なんですけど」
「大丈夫大丈夫。女装家がやるようなボブにする気もないし」
スタイリストも恐れて触らなかったロビンの髪をハンナがカットすると言う。
一度切ればそこそこ伸びるのに二年はかかる。
――でも気分転換にはなるか――
ジェーンには相手にされないし気分一新するのもいいだろう。
――みんなを見返せるくらい可愛くなってやるんだ――
〈4〉
オルソンは部屋に閉じこもっている。
否、早朝は部屋から出ている。エイミーとセバスチャンが来て活動時間帯は更に制限される事になった。
へウォンから遮那王を作れという催促のメールが来ている。
ロビンのコクピットからのデータでどんな動き方をするか分かってきている。
――これは難題だ――
プロレスの大技は互いの合意があって成立している。
力任せにできるのは圧倒的な体格差がある場合だけだ。
ランナーに当てはめるならアーマーとファイターという事になるが、アーマーは重量が大きすぎてそこまで俊敏な動きが取れる訳ではない。
例外としてキャノンボールがあるが、それにした所で本当に素早いファイターであるナイトライダーと比較すると遅くなる。
――後は跳躍力なんだよなぁ――
ロビンの選んだルチャリブレはトップロープからジャンプする技がある。
当然ながらランナバウトのフィールドにトップロープなどないし、動き回る相手にジャンプで攻撃を仕掛けるのは至難の業だろう。
天衣星辰剣は相手の攻撃を利用して羽毛のように空中に舞い上がるが、逆に言えばランナー単体の力でジャンプしている訳ではないし、そもそもの動きが「軽すぎて」打撃にそこまでの重さがない。
――跳躍力のあるランナーはドラグーンだけど……――
かつて不動雷迅剣のライダーが好んで搭乗したドラグーンタイプは突撃力に優れているだけでなく、跳躍力にも優れている。
オルソンは自分で淹れた傑華青龍産の緑茶を飲みながら幾度も3Dモデルを組み替えてみる。
プロレス技をするのに一番適しているのは人型のファイターだ。
しかし技をかけるにしてもパワーがないし跳躍力もない。ルチャリブレの技を使うのは不可能に近い。アナベルが立ち技なのもそれはそれで合理的な事ではあるのだ。
――ドラグーンを人型にはできないだろうか?――
人馬型、ケンタウロスのような形をしているのがドラグーンだ。
では腕と後ろ足を大型化させて前脚をファイターの足程度にしたらどうだろう。
重量やバランスを考えるなら上半身の胴をかなり詰めないといけないし、馬型の胴も詰めないといけない。
ロメロスペシャルやリバースパロスペシャルのような関節技はそこまで力が必要な訳ではない。技術があれば前脚はそこまで強くある必要はないだろう。
ジャンプして頭を挟みこむヘッドシザーズのような技も前脚でやればいいだろう。
そうなると前脚に求められるのは脚としての機能よりもう一対の腕としての機能だ。
ジャンプする時やバランスを取る時は脚の補助として、技を使う時には腕として。
チームドラゴンの蚩尤は機動盾用のサブアームを腕として四本腕にしていた。
だが、それはあくまでアーマーとしての設計思想に基づいたものだ。
遮那王は四本腕に限りなく近いドラグーンだ。
強力な後ろ脚の力で相手の頭上まで舞い上がり、前脚で相手に技を仕掛ける事もできる。
人間には不可能な技を仕掛ける事も可能になるだろう。
腕と前脚で関節技を決めておいて後ろ足でジャンプしてスープレックスに持ち込む事も可能なのだ。
オルソンは3Dモデルを組み立てながらバランス調整を続ける。
前脚が短すぎたり弱すぎたりすればドラグーンとしてのバランスに欠ける。
ただドラグーンとして使用する時の比重で言うなら、前脚は三輪トラックか三輪バイクの前輪くらいの補助的な役割になるだろう。
――見えて来たぞ。遮那王が――
3Dモデルの遮那王が相手の頭上を飛び越え、両腕で相手の胴を、前脚で相手の両脇を抱え込む。太い後ろ脚が大きく振られて相手の機体を逆さまに振り上げる。
そのまま下に叩き落とせば人間には不可能な特殊なパワーボムだ。
ロビンが日常的に練習している技をかける上でも支障は無い。
――後はレギュレーション的にドラグーンと認められるかだけど――
骨格のレベルでドラグーンである事は間違いない。
しかし審査には審査員たちの主観も入る為に四本腕の大型のファイターだと思われてしまえばレギュレーション違反になる。
――まぁ、コンセプトは四本腕のファイターに近いものではあるんだけど――
だが後ろ足の力を考慮して設計しているのだから設計思想はドラグーンだ。
多少の審議はあるとしてもドラグーンとして認められるだろう。
――後はどれだけブラッシュアップさせられるかだな――
オルソンは機体の計算をしながら3Dプリンターで遮那王の3Dモデルを出力する。
前腕は一般的なファイターよりは長く大きいがキャノンボールより小型だ。
前脚は太ももはしっかりしているが膝から下はシェイプされている。
後ろ足は大型で三重関節の鶏足になっている。
出力されたモデルを立たせてみると前脚が若干弱いようだ。
全体の調節をして再度3Dプリンターで出力してみる。
足首の強化である程度の保持力は確保できそうだ。実際に普通のドラグーンのように突撃する場合は前脚の蹴りが小さい分初速で劣る事になる。
――でもファイターがとびかかる事を考えれば充分すぎる――
では対ドラグーンではどうだろう。騎士の馬上試合のような戦いになれば遮那王は敗色濃厚だ。
腕を軽くすればその分前脚を強化できるがそれではただのドラグーンだ。
オルソンは無数のモデルを作りながら試行錯誤を繰り返す。
ロビンが持てる力の100%を出せる機体を作るのではない。
ロビンの想像を超える機体を作るのだ。
〈5〉
クリスチャンが壊れたセラフィムと共にバレンシア朱雀に戻った。
本社ビルの玄関でクリスチャンを出迎えたへウォンは改めて会長室を訪れた。
「会長、お疲れ様でした」
「ランナバウトより移動の方が疲れました。へウォンも苦労が大きかったでしょう」
クリスチャンがソファーを勧めて言う。
へウォンがソファーに腰かけるとクリスチャンが紅茶を淹れる。
「いえ。ウロボロスの為であれば苦労などとは」
髪が半分白髪になるほど苦労したとは思うが、クリスチャンの為とあれば苦労のうちには入らない。
「セラフィムは壊れてしまいましたし、イェジの機体は仮のままです」
「今はロビンの機体を作らせています。ヴィオネット・カイエン氏とも契約したので新型を作る事も可能です」
カイエンを引きこめたのは大きなプラスだった。幾らファクトリーを立ち上げても無名の新人一人では仕事が来ない。
その間にメルカッツェやブレンディ工房に仕事を取られてはオルソンの真価が発揮される前にモデルチェンジが終わってしまう。
オルソンが作ったものでもカイエン監修とつければ顧客は納得するだろう。
「カイエンはデビルキッチンの機体を作っていたのですが時代も変わったのですね」
優雅に紅茶のカップを傾けながらクリスチャンが言う。
「実際に交渉を行ったのはバスチエ氏ですが……ファクトリーは新会社にする予定ですが、代表は彼に頼んだ方が良いかも知れません。そうなるとUMSのマネージャーは別の人間に頼まなくてはなりませんが」
へウォンは香りの良い紅茶を飲みながら言う。淹れる人間が良いのか、一緒に飲む人間が良いのか分からない。
「私はへウォンの決断を信じていますから。そこであなたを信用している所で話しておきたい事があるのです」
へウォンはクリスチャンの言葉の先を促す。
「最近リッシモンとリチャード・岸が対立している事は知っていると思います。あなたはリチャード・岸が別の星の技術と接触していたと聞いたら驚きますか?」
「別の星?」
あまりに飛躍しすぎた話に頭がついて行かない。
「ヴァルハラは今から百年ほどまえに空の上から落ちて来たのです。その時に恐ろしい天災が起きてからヴァルハラは禁忌の土地となり誰も訪れませんでした」
百年前の大災害の事は記録に残されている。大地震と大津波が世界を襲った恐ろしい事件だったとされている。
「50年前にウロボロスのリーダーだったヘクター・ケッセルリンクとマネージャーだったリチャード・岸はヴァルハラの調査に向かいました。そこでヘクターたちが発見したのは触れてはならない禁忌の技術でした。ヘクターはそれを封印するべきだと主張し、岸はそれを活用すべきだと考えました。ヘクターと決裂してマネージャーを辞めた岸はヴァルハラの知恵であるドル通貨と刑法と国という概念を持ち込んで蘇利耶ヴァルハラを作ったのです」
それが事実であるなら驚きだ。だが誰も思いつかなかったそれらの概念が他の星から持ち込まれたというなら納得できる部分もある。
むしろ多くの法と金で人間を管理する国という存在を一人の人間が考えたという方が不自然だ。
「メルキオルは最初からヴァルハラにいた者です。私たちと似た姿をしていますが人間ではありません。ヘクターは彼を人間らしくしようとしましたが結局は岸と共に歩む道を選びました。もっとも異なる世界の文化を持ったメルキオルにとっては岸の作る世界の方が生きやすかったのかも知れません」
クリスチャンの言葉をへウォンは驚きと共に聞く。
それが事実で現実に世界に影響を与えているのなら――現実に悪影響を与えているのだが――止めるなり再封印するなりしなくてはならない。
「会長はそれをヘクターから聞いたのですか?」
「ヘクターから聞いた知識はもちろんあります。しかし詳しい事はアルカディアの遺跡に記されているのです」
へウォンの知識にない事ばかりだ。アルカディアとは何だろうか?
――まさかクリスチャンの妄想という事もないだろうけど――
「アルカディアの遺跡には『我はアルカディアと共にある』と書かれているのですが、これは読み替えると『立ち去れ、我は神の秘密を隠したり』となるのです。これまでアルカディアの遺跡の中に入る事ができたのはヘクターただ一人でした。しかし、アルカディアの技術を研究する者たちが今も周りで暮らしています。このアルカディアの守り人がライダーであり、ランナーもまたそこから生まれた技術なのです」
クリスチャンの話を真に受けて大丈夫なものなのだろうか。何かのSFに感化されてしまっただけではないのだろうか。
「そのアルカディアの話を私にしたのは何故ですか?」
「私たち……WRAはヴァルハラを封印しようとして来ましたが、ヘクター亡き後何もできませんでした。そのお陰で世界はリチャード・岸の目指す世界、ヴァルハラの世界になりつつあります。あなたにはリッシモンに協力してこれを止めて欲しいのです」
クリスチャンがWRAの役員である事は事実だが蘇利耶ヴァルハラと暗闘する関係にあったというのは初耳だ。
「現在の策が上手く行けば蘇利耶ヴァルハラは無力化されます。会長が心配されるほどの事ではありません」
リベルタ大陸による経済封鎖が行われれば蘇利耶ヴァルハラを中心とした自由主義経済圏は甚大な被害を受けるだろう。
「WRAは蘇利耶ヴァルハラから逃亡した科学者Drシュミットを匿っています。彼の話によればバイオロイドはランナーを動かす為に作られた訳ではありません。バイオロイドは人を殺す為に作られた『兵器』というものなのです。更にヴァルハラには人が人を殺す為の『銃』という兵器もありました。二年前、バイオロイドは不動雷迅剣の本山を襲い剣士を皆殺しにしてしまいました。その時、バイオロイドだけではなく人間の『兵士』が銃を持って現れたそうです。しかし、銃を持った大人たちは星の怒りに触れて蒸発したそうです」
クリスチャンの話に頭が追いついていかない。へウォンが生きているのは科学と経済の発達した現代で、オカルトや陰謀論が与太話だと誰もが理解できる世界では無かっただろうか。
「二年前にバイオロイドが不動雷迅剣の剣士を殺したという話ですが、どうしてそんな大事件を私たちが知らないのですか?」
「それは私たちWRAが秘匿したからです。人が人を殺すなどという恐ろしい事は人が知るべき事ではない。それが先人たちの教えでもあったからです。この先あなたたちが蘇利耶ヴァルハラを追い詰めれば岸はバイオロイドを本来の使い方で使う事になるかも知れません。我々はそれにこそ備えなくてはなりません。私たちはアルカディアの知恵を上手に使いこなす事ができませんでした。しかし、あなたたち新しい時代の人間にはそれができるのではないかと思うのです」
へウォンにはクリスチャンの言っている事がほとんど分からない。
しかし、不動雷迅剣が滅びたのは事実だし、殺されたのが事実なら同じことがまた起こると考える方が自然だろう。
だが……
――人が人を殺す――
そんな事はフェーデアルカの法ですら想定されていない。
「私の言う事を信じられないのは仕方のない事です。なのであなたには時間のある時に私と一緒にアルカディアに行って欲しいのです。その目で見れば私の話を信じてもらえるでしょう」
もしクリスチャンの話が事実なら?
それが事実だという裏付けができた時へウォンは何をどうするべきなのだろうか。
人を殺す為の道具だというバイオロイドが本当に襲ってきたらどうすればいいのだろうか。
――それに対抗する知恵がアルカディアにあるというのだろうか――
「そのアルカディアに行っている間、誰が会社を動かすんですか?」
「あなたの育てた会社ならきっと大丈夫です」
クリスチャンの言葉にへウォンは小さくため息をつく。
役員会はあるしウロボロスは滅多な事では倒れないだろうが、いざという時には自分がいなくてはならないだろう。
――その『いざ』がクリスチャンの言うものなのだとしたら――
久しぶりに推しに会って心の潤いを取り戻したかったのに訳の分からない事になってしまったものだ。
「リッシモンはアルカディアの事を知っているんですか?」
「知らないと思います。アレックスが伝える事になっていますが彼の話は要領を得ませんから」
涼しい顔でクリスチャンが言う。
重大かも知れない話をそれで済ませていいとは思えない。
「こういう話は私よりリッシモンに話した方がいいと思いますよ」
「私はよそのリッシモンよりうちのへウォンを信頼していますから」
クリスチャンの笑みにへウォンは頭を殴られたような衝撃を覚える。
今クリスチャンは『うちのへウォン』と言ったのだろうか?
――駄目だ、尊い――
幸せすぎる。これだけで貯金が尽きるまで無給で働けるだろう。
――でもアルカディアとヴァルハラか……――
古代の超テクノロジーと宇宙からやって来たテクノロジー。
一方が人を殺す銃という兵器を使うならそれには星の怒りが降りる。
――不動雷迅剣を滅ぼしたようにヴァルハラが好き勝手できないのは、アルカディアがあるからなのだとしたら――
へウォンだけが知っていてそれでいいという話にはならないのではないだろうか。
アルカディアにはいずれ行かなくてはならないだろうが今は会社やリベルタの同盟の為にも2.0の発足の方が先だ。
――余計な心配が増えたのに相談できる相手がいない――
こんな与太話を役員会でしたら解任されてしまうだろう。
――そうか、だからクリスチャンも人には言えなかったし対策も取れなかったのか――
人には時には常識という色眼鏡を外してみる事も必要なのかもしれなかった。
〈6〉
くっそぉ~おなかすいたぁ。
深夜、イェジはキッチンに足を向けかけて止めた。
キッチンに行ってもオルソンはいないし、エイミーやセバスチャンと顔を合わせる事になるかもしれない。
どうしてオルソンがあの二人と仕事をする事にしたのか分からない。
同じ仕事をするにしてももっと良い人が幾らでもいそうなものではないか。
イェジはコンビニに行こうと宿舎の外に出た。
「よっ」
車をアイドリングさせたファビオが声をかけてくる。
「あんたこんな時間に何やってんの?」
「何ってお前を待ってたんだよ。誰が好き好んで車で夜を明かすかよ」
ファビオが言ってクラクションを鳴らす。
乗れという事らしい。
「私コンビニ行きたいんだけど」
「どうせ外に出んなら24時間営業のピザ屋でも行きゃあいいだろ」
イェジがシートベルトをするとファビオがアクセルを踏む。
普段コクピットに乗り慣れているせいか車がやけに静かに感じられる。
「あんた夜食するなって言われてんじゃないの?」
「それもデビュー前夜にな」
口元に笑みを浮かべてファビオが言う。
「また私を口説くつもり?」
「どうせまた振られるだろ? お前には毎晩通うようなヤツがいるんだし」
「いや、オルソンとはそういう関係じゃないから」
イェジは言う。オルソンは食事を作ってくれて何かと相談に乗ってくれる存在なのだ。
「で、最近出て来た学生時代の友達とかいう取り巻きに追い出されてひでぇ顔して出て来たんだろ?」
「知ってたの?」
「お前を追っかけてたら見かけちまったんだよ。感じの悪ぃ連中だよな」
「本っっッ当に感じ悪いの、あいつら」
思い出すだけで腹が立つ。学校で同級生だったから何だと言うのだろう。
オルソンが人見知りになったのは昨日今日ではないし、それで仲良くやってきたのだからいきなり隔離しなくても良いではないか。
――あのクソ女と嫌味野郎――
今度会ったらどうしてやろうか……。
――……どうしていいか良く分かんないや――
多分あの二人はイェジより頭がいい。何を言っても口では敵わないだろう。
頭から熱々のラーメンをかけてやりたいが火傷でもしたら大変だ。
深夜営業のピザ屋に入ってパイナップルのピザと焼肉のピザを注文する。
「あのさ、俺、明日デビューなんだけど励まそうとか応援しようとか少しは思わない訳?」
「あんたなら普通にできんじゃない?」
イェジはパイナップルのピザと焼肉のピザを合わせて食べながら言う。
「普通ったって本当に失敗できないんだぜ?」
「練習してるしファビオって勝負強いし度胸もあるじゃん」
イェジが言うとファビオが大きくため息をつく。
「大一番の前に好きな女から応援してもらいたいって思うのがそんなに悪いかよ」
「ステージはどれも大一番じゃないの?」
「そりゃそうだけどさ。デビューだぜデビュー。客だって五十万人でチケット完売だぜ?」
「良かったじゃん。空席多くなくて」
空席の多いステージほど切ないものはない。少ない観客が無理にテンション上げているのを見ると逆に痛々しい気分になって来る。
それに比べたらファビオの悩みは贅沢だ。
「お前……本当に俺の事何とも思ってねぇのな」
「友達だと思ってなかったら一緒にピザ食べないよ」
イェジが言うとファビオが遠い目で窓の外を眺める。
「好きな女と飯食ってんのに俺はどうしてこんなに空しいんだ」
「頑張れ若人、そのうちいい娘が見つかるって」
「お前が言うんじゃねぇよ!」
言ってファビオがピザを口に押し込む。少し自棄を起こしているらしい。
ピザを食べ終わって炭酸を飲んでいるとファビオが不意に口を開いた。
「お前の……その、友達のマイスターさ。お前が引っ張り出さねぇとどうにもならねぇんじゃねぇのか?」
「何で?」
「良く分かんねぇけどオルソンってヤツには何か弱みとか特別な理由とかがあんじゃねぇの? そういうのって自分だけで乗り越えられるモンでもないだろ?」
ファビオが畏まった様子で言う。
「そんなモン?」
「俺はお前に迷路から引っ張り出してもらった経験があるからな」
「あんたこじらせてたもんねぇ~お兄ちゃんとは連絡取ったの?」
「デビュー前の追い込みでそんな余裕ねぇよ。でも目立てば世界のどっかで見てくれんだろ」
「少し前のあんたに聞かせてやりたいわ」
「うるせぇよ。だからそのお前があんな連中に負けてんじゃねぇぞって話」
ファビオの言葉にイェジは笑みが浮かぶのを感じる。
――そうだ。諦めないでまたオルソンに会いに行こう――
オルソンだってあのままでいいと思っている訳がないのだ。
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