昔からの僕たちの友達

ミンイチ

第1話

 僕の友達はとても長生きらしい。


 前に動物園に一緒に行ったとき、僕が「この象、おっきいね」と言うと、「ティラノのほうが大きかった」と言った。


 「どんな見た目だったの?」と聞くと、「今、君たちが考えてるみたいな姿とは違うから、ガッカリすると思うから言わない」と言った。


 ある冬に「寒いね」と言うと、「昔のほうが寒かった」と言った。


 「昔っていつ?」と聞くと、「マンモスがいたくらいの氷河期」と答えた。


 僕の友達は色んなところに行ったことがあるらしい。


 近くの花火大会を見ていると、「あれは綺麗だったな〜」と言った。


 「あれってなに?」と聞くと、「ロシアで起きた大きな花火 おっきな戦争の前に空から落ちてきたお星さまの花火」と答えた。


 僕は大人になり、その友達にもう一度会いに行った。


 その友達とよく会っていた公園、神社、山の中を探したが、手がかりすらない。


 家の近くに住んでいた人に聞いてみても、全く手がかりはない。


 僕は一ヶ月に一度程度の頻度でその友達を探しに故郷に帰っていた。


 数度の帰郷で僕は少しだけの、しかしとても重要な情報を手に入れることが出来た。


 その友達の家はどこにあるか誰にも知らないという情報。


 その友達は今でもこの街のどこかに、昔から変わらない姿で過ごしているという情報。


 そして、特定の曜日にある場所にいるという情報。


 僕は次の次のその曜日に有給をとり、友達を訪ねることにした。


 目的の場所につくまで、僕はどんなことを話すか考えていた。


 考えがまとまらないうちに、場所についてしまった。


 情報のとおりなら、この場所にいるはずだが、どこにもいない。


 そのとき、いきなり風が吹き、僕の目が何かで隠れる。


 風が収まり、目を開けると、そこには友達が立っていた。


「久しぶりだね 今日はなにして遊ぼうか」

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昔からの僕たちの友達 ミンイチ @DoTK

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