第7話『インペリアルガード』
「ところでリル。さっきから気になってたんだけどインペリアルガードってなんなんだ?」
会議が終わった後。
俺達は聖女イレイナさんの自室にて腰を落ち着けていた。
「あれ? 説明してなかった?」
「説明されてないよ。いや、なんとなく分かるけどさ。要は遊撃部隊みたいなもんだろ?」
インペリアルガード。
会議の場でも出た名称だ。
リルはその集団のトップらしく。
彼女は聖女の結界が安定しているのを確認出来たらその集団を率いてモンスターパレードの異常発生について調べる役目を負わされた。
そんな役割を任されるんだから、おそらくインペリアルガードは柔軟に対応できるように作られた遊撃部隊みたいなもののはずで。
「遊撃部隊? 違うわよ?」
「あれ? 違うのか?」
俺の考えは即否定され。
「インペリアルガードは私が率いる王室の護衛を目的とした少数精鋭部隊よ。隊員は冒険者でいう所のAランク相当かしらね」
しれっととんでもない事をリルは言い出した。
「は? 王室の……護衛? 隊員がAランク」
それはもしかしてアレじゃないだろうか。
デルタフォースとか、MI6のような。
そんな精鋭のみが入隊できる特殊部隊みたいな感じの部隊じゃないだろうか?
「それのリーダーが……リル?」
「リーダーというよりは……そうね。指揮官っていうべきかしらね」
「凄腕部隊の指揮官……」
俺が思ってたよりもすごい部隊だった。
なんだったら王様の親衛隊とか。
そっちの方がまだ驚きも少なかった気がする。
「ふふっ。リルったら凄いですよね? この年でインペリアルガードの指揮官だなんて……。普通はあり得ないんですよ?」
どこか自慢げに胸を張るイレイナさん。
自分の事じゃないと言うのに、とても誇らしそうだ。
「へぇ。いや、ホントに凄いなリル。正直、リルの事はどこぞの貴族のお嬢様とか王女様だったりの親の権力が凄いぜって子なのかなぁって思ってたんだけど……まさか実力で手に入れた地位だとは」
そういうのは普通に尊敬してしまう。
自分から勝ち取った地位。
どこぞの家に生まれたから偉いんだとかより、そっちの方がよほど『すげえっ!』と思える。
「べ、別に大したことないし。私の家のトアステン家が代々インペリアルガードの指揮官を務めてるから私も任命されただけだし……」
「ふふっ。リルったら少し顔が赤いですよ? もしかしてビャクヤさんに褒められて照れちゃいました?」
「はぁ!? んなわけないでしょ!? この私がこんな奴に褒められて照れるわけが
ないじゃないっ!! 単純にこの部屋が暑いだけよっ!」
イレイナさんの言う通り、少しだけ顔を赤くしているリル。
しかし……そこまで言うほど暑いか?
そう俺が首を軽くかしげると。
―コンコンッ
「リル様。リル様はこちらにおられますか?」
部屋の外からリルに呼びかけてくる声。
「んっんんっ。はいはーい。ここに居ますよ~」
ガラリと態度を開けてドアを開けるリル。
そこには兵士風の男が居て。
「リル様。陛下がお呼びです」
「陛下が? 何の用だろ? 分かった。すぐ行くねっ!」
そうして。
リルはその兵士に連れられ、どこかに去ったのだった――
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