第31話◉勝負開始

31話

◉勝負開始


 工藤強はここなら勝てると思った。場末のおばちゃんがやってる店。店内には22〜24歳くらいの若い女が1人で待ち席に座って来店待ちしてる。ここなら稼げるだろうと思ってホッとした。

 もしここでも負けるようであればいよいよ引退した方がいいとすら思っていた。麻雀職人失格だと。


 奥からいびきが少し聞こえる。誰かいるようだ。

「アンター!ご新規のお客様だよー!ルール説明してー!」



「…おおっ、そうか。やあやあ、随分きれいなお嬢さん」

「そっちじゃないよ!そちらはアレ…」

「?………あーー。そうか」


(アレとは?)と工藤は思ったが特に深くは考えなかった。

「あ、こちらの方ね。はじめまして、店主の田所です、本日はご来店ありがとうございます。当店のルールですが……」



ーーーーー


「…とまあこのくらいですが、ご質問等ございませんか?」

「多分、大丈夫です。今流行りの天井点数はないんだね」

「ああ、6万点コールドとかいうやつかい。あれはどうも好かんのよ。諦めなければドラマは起こると信じているのでね」と店主は言いニコッと笑った。



「そうしましたらこちらの卓で早速始めましょう」


 田所妻が換気のために全開にしていた窓を閉めると場決ばぎめ用の牌を持ってきた。


「私達はスタッフなので先に福島さんに引いてもらってその対面が工藤さんでいいですか」

「かまいません」

「それでいいです」


 ヤシロが牌を選ぶ。


「北」

つまり


東家 田所夫たどころおっと

南家 工藤強くどうつよし

西家 田所妻たどころつま

北家 福島社ふくしまやしろ


この並びで決まった。


「よろしくお願いします!」

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