第30話◉ドナドナ
30話
◉ドナドナ
ヤシロは赤信号にもあまり捕まらずビュンビュン風を切って進む。
〜〜〜♪♪
鼻歌が自然と出る。なぜかドナドナを歌うヤシロ。
(よし、到着ね!)
「…なんか、ラーメン屋さんみたいな店構えね」
ガラガラガラ
「いらっしゃいませ!あ、福島さん?」
「あ、はい。福島社です。オーナーさんでしょうか?」
「そうです、私がオーナーの
オーナーは女性だった。聞くとご夫婦で経営していて旦那様はいま奥で休憩しているのだという。
「こちらこそよろしくお願いします。それでは抜けのサインはアイスアリアリ(アイスコーヒーにガムシロとミルクの両方を入れたもの)でお願いできますか」
「わかりました、抜けてもらいたい時には私からアイスアリアリをサイドテーブルに置きますので、そのタイミングでラスハンコールして下さい」
「承知しました」
「まだ、店を開けたばかりだから誰もいないけどそろそろ来店あると思いますのでそれまで待ち席でルール確認でもしてて下さい」
「分かりました、そうします」
店内は換気中で心地良い風が窓から窓へと吹き抜ける。
静かな店だ。BGMすらない。一応は通りに面しているが車通りは少なく遠くにいる小鳥のさえずりすら聞こえてくる。
ヤシロはルール表を広げてもう一度店ごとで違いのありそうな特殊な部分を確認した。
・アタマハネあり
・鳴き祝儀
・誤ロンは倒牌後チョンボ
「何か飲み物入れますか?」
「ありがとうございます、大丈夫です。コンビニで買ってきたのがあるので」
ヤシロはコンビニ袋から缶の紅茶を取り出す。
(やっぱり朝は紅茶よねー)
〜〜〜♪♪
また気付いたらドナドナを鼻歌していた。今日はドナドナを歌う日なのか、勝手に出てきてしまう。
しばらくのんびりとくつろいだ。この時間にも時給が発生しているのが裏メンバーの良いところだ。それはもちろん闇メンも同じである。
ーーー
ーー
ガラガラガラ
「いらっしゃいませ!」
「初めてなんだが、打てるかな」
なんだかゴツい男がやってきた。工藤強である。工藤はこの時は夢にも思わなかった。この、若い女が数時間後には自分を完膚なきまでに打ち負かすとは。
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