第24話◉リーチ棒の出し忘れ
24話
◉リーチ棒の出し忘れ
オーナーの日吉さんが抜けて椎名の出番となる。工藤ツヨシとの再戦だ。
東家 工藤
南家 椎名
西家 従業員
北家 知らない美人
という並び。
東四局まではリーチ合戦もあったが流局続きで特に大きなアガリもなく、平和に東場は終了した。
事件が起きたのは南一局。工藤がリーチをしたのだがリーチ棒を出さなかった。
椎名は一巡だけ待った後で「工藤さん、リーチ棒」と言い出してもらった。
「あ。悪い」
対面の美人さんは完全にベタオリしていた。東場は愚形でも追いかけリーチをするくらい攻めていたのに。
すると自分もテンパイした。
椎名手牌
二三伍六②②⑦⑧⑨2344 四ツモ ドラ5
気持ちいい部分を引いてのテンパイ!3面張なら勝負になると考え椎名は腹をくくる。
「リーチ」
打4
「ロン!」
1112345566789
「48000」
開いたその手は超弩級(メンピンメンチンイッツーイーペードラドラ)だった。
「かっ、数え役満…!」
「あぶなぁ!リーチ棒出さないからおかしいと思ったのよ!ベタオリしてなきゃ7出てたわ」と美人が言う。
「さすがだな、蘭。プロ雀士の姉なだけはある」
(へえ、そうなんだ)
そう、工藤はリーチ棒を出さなかった。というか、出すのを忘れていた。そこに注目しなければいけなかったのだ。元プロの工藤程の男がリーチ時に千点棒を出すという当たり前の行為を忘れるくらい気を取られていた。それは何に?ということ。半端じゃなく高い手だという予想はそれだけでできたはずなのだ。
(それなのに、おれは強い3面張だからという理由だけで2枚待ちのドラ表示牌を勝負なんてして…バカかよ。負けて当たり前だ)
リベンジを決意して挑んだ1戦目は豪快に飛んだ椎名。しかし、ここから先が椎名の強い所。一回飛んだくらいでは椎名の精神力は微動だにしなかった。特に今回は対面に美人がいたから。
美人を前にした椎名はいつも以上に強く、この日は最終的に勝ち越して帰るのであった。
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