第13話◉偽装電話

13話

◉偽装電話


 オーナーの竹林さんからメールの返信がきた。

“渋滞してて、申し訳ない。あと15分ほどで着きます”


 よく考えたらもう待ちが1人いるので次回からはこんなワケの分からないゲームではなくなるからまあ、いいか。そう思っていたのだが。


ピロン


二本木さんのケータイが鳴る


「……ごめん、職場でトラブルあったみたいで行かなきゃいけなくなった。また来るから。わるいね」


カランコロン


二本木さんは駆け足で去っていった。


(うおおおおい!マジで?!そんなことあんのかよ)


「ちょ、ちょっとすいません。メール一本だけ送っていいですか?」「じゃあ止めますね」


 やばい、このままこのゲームが終わると次のゲームもメンバー2裏メン2の戦いになる。それだけは避けなければ。

 そう思って竹林さんに

“ちょっと一本電話なりメールなりしてください。じゃないと客不在のゲームを延々と続けることになりそうです”とメールした。

 すると竹林さんからメールが“理解した”とだけ来てそのあとすぐ着信があった。

「はい…はいそうです。はい…分かりました。はい…失礼します」

 この電話はもちろん偽装で、会話などしていない。それっぽく言っただけだ。


「ごめんなさい、おれ今回で一旦抜けさせてください。ちょっと仕事の電話しなきゃいけなくなって…」という嘘をついて続投を回避する。


「はい、分かりました。大丈夫ですよ」


(そりゃそうだよな、お客さんいないんだから)と思った。


「じゃあ今のうちにシノブくんもご飯食べてきたら?」と店長が裏メンのシノブに飯休憩を取らせることになった。


オーラスは軽い手をあがって3着から2着に浮上して終了。なんとかバカバカしいゲームで負けて給料減らすようなことだけは回避出来たのであった。

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