トゲ女と青バラ探しの旅

ヒラメキカガヤ

プロローグ 

 目が合った。


 縁がなく真っ黒な鏡の上についた眼球。昼間の青空のように青い瞳には鏡面と同じくらい黒い穴が小さく空いている。

 『ロゼ』が、私を見た。


 そして、私の真の姿を映し出す。


 白い肌の3割を埋め尽くす緑。毛髪の先端は赤く染まっている。


 「あと10年と持たないかもしれない」


 離れて様子を見守る婚約者が、残酷な事実だけを冷静に伝える。


 私が、完全にロゼと化す。


 「大丈夫」


 トゲのある私に触れることすらできない婚約者は、それでも私を愛してくれる。

 「一生、一緒にいよう」


 嬉しかった。


 早く彼と結婚したい。


 緑に侵された身体が、この上ない喜びに震えあがった。視界が水滴で霞んだ。

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