第184話池田商事臨時人事異動と、その結果
圭太君の「話」を聴いた翌日。
私、池田光子は、池田商事会長代理として、早速、人事に手を付けた。
(手順は、圭太君の案を、そのままにした)
まず、会長室に、人事部長宮崎保を呼んだ。
「総務部長吉田満の仙台の愛人社員を緊急に呼び出しなさい」
「いつまでも、放置できないでしょう?」
宮崎保は、会長室の電話で仙台支店に連絡を取った。
「人妻不倫妊娠社員」と、すぐに連絡が取れた。
約2時間後、彼女は震えながら会長室に入って来た。
「不倫暴行事実」を認めたので、総務部長吉田満を呼んだ。
真っ青な顔で入って来た吉田満を、「人妻不倫妊娠社員」と並ばせた。
私は、言い切った。
「吉田さん、彼女は事実を認めました」
「あなたも、調べられれば、反論は出来ないでしょう」
「まずは、その責任を取りなさい」
「池田商事として、あなたの総務部長の任を解きます」
「前」総務部長吉田満は、「人妻不倫妊娠社員」と一緒に会長室を出て行った。
(その後の決着は、社外で、と言い添えた)
直後に、現総務課長川崎重行を会長室に呼んだ。
「川崎さん、吉田さんの後任をお願いします」
「新」総務部長になった川崎重行は、驚きを隠せない。
「突然なことで、ありがとうございます」
と言いながら、人事部長宮崎保を気にしている雰囲気。
「宮崎さんも、確かに総務部長にいいかもしれない」
「でも、株主総会も近い」
「急に対応は、難しいと思います」
「だから、今はあなたにまかせたい」
(私から、少し離れて、宮崎保も頷いている)
私は、一気に続けた。
「川崎さんの次の総務課長は、三橋係長を昇格させます」
「三橋係長の後任は、佐藤絵里さん」
「それから、問題の山本美紀は、雑務に」
「新」総務部長川崎重行は、驚きを隠せない。
「いや・・・こうしてもらえば・・・仕事が進むかなと」
「新」総務課長三橋義夫と「新」総務係長佐藤絵里も、会長室に呼んだ。
(二人とも、突然の昇格なので、笑顔で入って来た)
「新」総務課長三橋義夫
「身が引き締まる思いです、ありがとうございます」
新」総務係長佐藤絵里
「いきなりで驚いています、うれしい思いを仕事に活かします」
正午に、社内報で臨時人事異動を発表した。
確かに、評判が良かった。
「吉田さんの問題、山本美紀の問題が一気に片付いた」
「川崎さんは、総会対策のプロ、現時点では最適任」
「三橋さんも、総務畑が長い、苦労も多かった、良かった」
「佐藤絵里が若いけれど、係長・・・いいかな、仕事は堅実」
「女性の役職も少なかったから、他の女子社員の励みになる」
総務部内の異動(雑務)になった山本美紀は、肩の力が抜けたような笑顔。
「楽になった・・・間違いして怒られることもないし」
「筆記用具、コピー機、コピー用紙、シュレッダーの管理か」
「全然楽、給料も変わらないし、定時で帰れる」
「新」総務係長になった佐藤絵里は、圭太が唯一見込みがあると評価していた社員。
その「能力」を、すぐに発揮した。
山本美紀の誤入力の発端を、まず徹底して探り当て、訂正開始。
その発端がわかれば、訂正作業そのものは、単純作業。
(難しくない)
午後4時には、決算日までの訂正作業は終え、午後5時には、本日までの正確な入力を完了したのである。
(周囲の総務課社員も、積極的に彼女に協力した)
(佐藤絵里には、指導力もあるらしい)
午後5時過ぎ、「新」総務課長川崎重行が、驚きの顏で、報告に来た。
「佐藤係長が、素晴らしい動きでした」
「まさか、あんなに能力があるとは知りませんでした」
「指導力もあります、気持ちも強い」
「山本美紀も人が変わったように、張り切っています」
私、池田光子は、笑うだけだった。
(まさか、圭太君の献策通りとは、言えないから)
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