第169話入籍、そして報告
圭太と芳香は、月曜日の午前中に、それぞれの職場に「所要のため遅刻」を連絡した。
区役所で入籍手続き(芳香の住所変更もある)、及び銀座で結婚指輪を買うためである。
婚姻届けに伴う証人は、圭太は母律子が勤めていた高橋税理士事務所長、芳香は父。
高橋税理士事務所長は、相好を崩して、本当に喜んだ。
「いや、おめでとう」
「急な話で、驚いた、でもうれしいよ」
「天国の律子さんも安心したかな」
母の友人西田も含めて、全員の拍手を受けて、圭太と芳香は税理士事務所を出た。
区役所での手続きを終え、芳香は、田中芳香になった。
その後は、結婚指輪をティファニーで買い、ホテルのランチ。
圭太は、やさしい顔。
「こういう日は贅沢でもいいかな」
芳香は、花の笑顔。
「こういう日だけに、しましょう」
「私、下町の嫁です、しまり屋さんです」
圭太
「披露宴は、互いの職場と・・・俺は母さんの職場から少し」
芳香は、笑顔。(どしっと落ち着いた雰囲気)
「圭太さんに任せます、合わせます」
圭太
「お昼が終わったら、芳香の職場と俺の職場にも挨拶をする」
芳香は、笑顔のまま、雰囲気が変わらない。
「わかりました」
芳香が、話題を変えた。
「あの・・・新婚旅行ですが」
「お願いがあります」
圭太は、頷いて芳香の「お願い」を待つ。
芳香
「秋以降に、どうでしょうか」
「律子お母さまの新盆もありますので」
「私、律子お母様と、お盆を過ごしたいなと」
圭太は、反対する理由がなかった。
「お互いの仕事の都合もある、ゆっくり検討しよう」
銀座監査法人では、圭太と芳香の結婚報告の前に、高橋美津子が「情報」を得ていた。
「情報源」は、高橋美津子の実弟、圭太が結婚届の証人を頼んだ高橋税理士事務所長から。
高橋美津子は、急な事に驚き、不安を抱いた。
圭太に強い想いを持つ、佐藤由紀と河合紀子の感情である。
ただ、圭太の結婚を祝福するのが、まずは大事なこと。
「あの頑固な圭太君が決めた相手」
「相当な覚悟のある子と思う」
「律子さんの四十九日法要での働きは、目を見張った」
「もたつく佐藤由紀を完全にフォロー、手際のいい河合紀子も押されていた」
午後1時、圭太と芳香の「結婚報告」が、銀座監査法人会長杉村忠夫と、芳香が勤める中央法律事務所長山田雅夫が相談し、銀座監査法人会長室で行われた。(時間節約のため一緒にの意味)
圭太は、いつもの冷静な顏。
「突然の報告になりますが、このたび、私田中圭太と平野芳香は、入籍をいたしました」
「今後も、皆様には、是非、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします」
中央法律事務所長山田雅夫は、笑顔。
「本当におめでたい、急なことで驚いたけれど、実にうれしい」
銀座監査法人会長杉村忠夫も、笑顔で祝福。
「実に素晴らしい、こんな輝くような二人と見ると、こちらまで幸せになる」
圭太は、少しやわらかな顔。
「ありがとうございます、披露宴等は、現在検討中ですので、決まり次第ご連絡いたします」
芳香も頭を下げて、「結婚報告」は、終わった。
その後は、芳香は法律事務所での仕事で2階へ。
圭太は、会長室に残った。
会長杉村忠夫は笑顔で圭太に聞く。
「本当に驚いたよ、いつ決まったの?」
圭太は、少し笑う。
「一昨日です、それで今朝、入籍しました」
「縁がある娘さんで」
高橋美津子も、笑顔。
「律子さんも喜ぶかな」
圭太は「母とは、かなり懇意で」と、静かに笑っている。
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