第134話圭太と紀子の夜(4)紀子のジェラシーが炸裂

私、河合紀子の自宅は、田園調布。

圭太の家は、月島だ。

だから、神田から帰る場合、逆方向になる。

しかし、イライラしていた私は(美由紀さんと仲良さげで、私を無視した圭太に)、簡単に圭太と別れたくなかった。

「圭太、二次会に行こうよ、もの足りない」(圭太を独占したい、今度こそ)

圭太は、いつもの冷ややかな顏。

「酔ったのか?タクシー停めようか?」(蹴飛ばしたいくらいに、言葉も冷ややか)


つい、本音が出た。

「何よ!美由紀さんとばかり話して!」(まるで子供の駄々・・・恥ずかしい)


圭太は、大人顏。

「ああ、数年ぶりで、ごめんな」

「悪気は無いよ、ただ美由紀さんの言葉を切るのは苦手でさ」(確かに、話好きの美由紀さん、私でも、頷き人形だ)

「でもさ・・・夜も遅い」(夜9時)

「いろいろ考えて、今夜は帰ろう」


私は抵抗した。(別れたくない)


圭太は、マジな顔だ。

「まず、我々は、監査士で監査業務を行っている」(うん・・・それが?)

「二日酔いで監査されたら、対象企業に失礼」(う・・・正論過ぎ)

「少なくとも、未熟ながらも、俺は心血を注いだ監査をしたい」

(うわ・・・いい!だから圭太が好き)(未熟どころか、特大ホームラン連発、MVPになっているよ、君は)


私は、圭太の正論が、悔しいので、苛めたくなった。

「じゃあ、二次会はやめる」

「圭太の家に泊まる」

「月島から銀座は近い、少々朝寝坊してもOK」


圭太は、ここでも大人対応だ。

「我々は監査士」(また、それ?)

「キチンとした生活をする、のが当然では?」

「少なくとも、家で待つ両親に一言は?」

「明日も会えるよ、心配いらない」


それでも、私は圭太を離したくない。(少し酔っていて、意固地になっていた)

「圭太、何とかして!」

「モヤモヤして帰れないよ」

「今、美由紀さんが憎い、ジェラシー女だよ」


圭太は、苦笑い。

「手が焼ける女だ」

「学生時代から、成長が確認できない」

「数年ぶりに会った人と、話が長くなるのは、当然では?」


私は、胸をぶつけるように密着した。(そんなに大きくないのが、悔しい)

「やだ、理屈ばかりで」

「そういうものじゃないでしょ?」(圭太、ごめん!・・・言っていて、自分でも意味不明) 


圭太は、黙った。(その沈黙・・・怖いよ)

そのままメトロの駅に歩いて行く。(泊めてくれるのかな、ほのかな期待)

メトロの駅の手前に古びた喫茶店があった。


圭太

「少しの時間だよ」


「うん!ケーキ食べたい」(ここでも、本音、まるで子供の私だ)


圭太は、笑う。(すごく可愛い、顔に肉がつけば、美男子だ)


その後は雑談を30分。(美由紀さんの話題はない、嫉妬しちゃうから)

私は、モヤモヤが消えた。


でも、圭太に迫った。

「いつか、泊りたいなあと」(圭太を身体でも欲しい、本音だ)


圭太は、やさしい顔。

「隅田川を見ながら?花火もよく見える」

「でも、下町だよ、大丈夫?」

(圭太の言葉の裏は、不明だった)

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