𝐒𝐭𝐨𝐫𝐲.9
俺は妹であるレイラから正しい事を言われて、為す術なく言い渡された言葉に心が挫けそうになる
だが、あんなことを言われて弱ってしまっては今後も上手くいくとは思えない、だから俺はアルノルトがし出たし、行った罪の痛みを、受け入れて行くしかないと思いながら、部屋を後にして、庭へと足を運ぶ
「セバス済まないな、こんな主に使えてくれて、レイラ...いや妹の言葉で今の現状を甘くみていた私の責任か....こんな姿を見せてすまんな、許せ」
「何をおっしゃるのです!!アルノルト様はあそこから逃げ出さずに、レイラ様に歩み寄ろうとしていたではないですか!!
それに、あれ程辛かったはずですのに、レイラ様を罵倒するでもなく、撫でていたでは無いですか、そんなアルノルト様に情けないなどと私は思いませぬぞ!!」
そうセバスが言ってくれるのを聞いて俺は少しばかり嬉しさが込み上げてくる。
俺は庭について少しのんびり頭を落ち着かせて花と空を見る、レイラが言い放った言葉がまだ響いているかのように、聞こえてくる
『お兄様、この先生は私が呼んだ先生なので、ちょっと図々しいのではないでしょうか?
それに、前まではそんなことをするつもりは無いと言っていたお兄様が、なぜ急にそのようなことをなさるのですか?
無駄なあがきだとは思いませんの?』
そう妹のレイラに言われた時は、胸が張り裂けそうな苦しさが襲ってきた。
今もそれが残っているのかまだ、辛い何年も放置し続けてきたツケなのかもしくは、この体に俺の魂が定着してきて、前の孤独感や悲しみを知っている思いが強まったのか
いずれにしても、この精神と俺の魂がまだまだ未熟だということには変わりない
そう思いながら、空を眺めていると
「アルノルト...どうしてここに?」
そう言ってきたのは俺の母上である、テレシア・Σ・フィアレンスが、俺に声を掛けてきたのである
俺はそれに対して
「母上、お帰りなさいませ外出していらしたと聞いていたいましたが、今お戻りになられたのですね」
そういって、おれはとりつくるように、先程の思いを閉ざして言い放つが
「そんなに落ち込んで何かあったの?」
母上は見透かしたように俺の拭いきれない思いを、読み取ったかのようにそう告げる
俺は、そんなことを言われて、呆けてしまう唖然と俺は立ちつくしている中で、母上は今まで接してこなかったことを、思いながらも俺という息子、アルノルトを思ってくれていたかのように、せっしてくれるのだった
▼▽▼▽▼
テレシアside
今日私、テレシア・Σ・フィアレンスは公務のために外出して皇都やその周辺の街の変化を確認しつつ過ごしていたが、気がかりでならない事があって公務所ではなかった為、
私のお付きのメイドである、レレが『今日のテレシア様はこんなことも出来ないぐらいダメダメなので帰りましょう!』と言ってきたので、少し講義はするが、口で勝てないため難なく言うことを聞いて帰ることにしました。
私は馬車で皇宮に帰ることになりました。それからしばらくして皇宮につき、庭を通り掛かった時にその気がかりの原因である人物、そう私の息子のアルノルトが空を見上げながら、少し悲しげな表情で、セバスと一緒に立っていたのである
私はそれを見てアルノルトの場所まで歩み寄りアルノルトに声を掛ける
「アルノルト...どうしてここに?」
そういってアルノルトに声をかけるとこちらに気づいて私の顔を見る。
そこからは、私を見てなにか隠すかのように表を変えてアルノルトが挨拶する
「母上、お帰りなさいませ外出していらしたと聞いていたいましたが、今お戻りになられたのですね」
張り詰めた笑みに、仮面を被ったかのような、表情でアルノルトが私に向けて微笑む、その笑顔を見ていると、なんとも言えない罪悪感に狩られてしまう
(こんな表情をさせるまで、今の貴方は感情を取り戻したのね、嬉しくもあるけどこんな表情を見たくは無いわ)
そう思いながら私は、その仮面を剥がすために言い放つ
「そんなに落ち込んで何かあったの?」
そういうと、まさかと思ったのか表情が崩れて、呆けてた顔になる、それを見て私は何があったのか、聞き出す為に私から歩み寄ろうと思ってアルノルトに聞いてみる
「アルノルト、そう抱え込まないで私はどんな事があっても貴方を思ってるわ。今まではそうしてこなかったけど、これからは、貴方が望むなら、また昔のようにしましょ?ね?」
そうアルノルトにいうとアルノルトは、塞ぎ込んでいた蓋が空いたかのように、涙を流す。
それを見た私は、何も言わずに我が子を抱きしめてる
そうしたら、アルノルトは私の背かなに腕を回して、子供のように感情の赴くままに、泣く
「う、うう...はは..うえ..ははうええぇぇ!!」
そういって涙を流しながら、泣き止むまで接するのであった
▼▽▼▽▼
それから、しばらくしてアルノルトが泣き止むと
「すみません、母上お恥ずかしいことをお見せしてしまって...」
「そんなこと気にしなくていいのです、私はあなたにどう接していいか未だに分からなかったのですから、お互い様ですよ」
そういってアルノルトを元気にしようと思っていました、そういったらアルノルトから
「ありがとうございます、母上少しだけスッキリしました。」
そういって顔色が良くなってきたので私はホッとしました。
だいぶ落ち着いたので私は、あそこで立ち尽くしていたことを聞くためにアルノルトに話します
「ねえ、アルノルト?何があったのか私に話して貰えない?
無理にとは言わないは辛いなら話さなくてもいいから、決心が着いたらいってね」
にそう言うとアルノルトは首を横に振って話し始める
「いえ、大丈夫です。母上に聞いてもらえるなら聞いてもらいたいです。」
そう言われて私はアルノルトの話を聞くために近くにあったガゼボに移動する
そこで、私たち二人は向き合うように座り、アルノルトが先程の話をし始める
「私は今日、騎士団の訓練がお休みだった故、1日ここで過ごすのも何だか落ち着かなかったので、妹、レイラがダンスのレッスンとテーブルマナーの授業を受けることを聞いて、私もこのまま無関心をしないように、今日はレイラの元に行き、どのようなことをしているのかや出来れば、私もそれをともに行いたいと思ってレイラの元へと向かいました」
アルノルトからの話を聞いて私は、少しだけ嬉しくなった。あれ程、興味すら無い素振りをして、接してきた、アルノルトが、自ら進んでレイラと歩み寄りたい様なことを言ってくれたことに感動したが、続きのアルノルトの言葉を聞いて、私は少し悲しくなる
「そこで、俺はレイラのダンスレッスンを見ていて、出来るなら妹と一緒にダンスのレッスンをしたいと思って休憩に入った時に、声をかけたんです。『宜しければ私もあなたの授業に参加したいのだがいいだろうか?』と私はいったんです。」
私はうんうんと頷いて見せます
「それで、しばらくしてレイラがこういったんです」
『お兄様、この先生は私が呼んだ先生なので、ちょっと図々しいのではないでしょうか?
それに、前まではそんなことをするつもりは無いと言っていたお兄様が、なぜ急にそのようなことをなさるのですか?
無駄なあがきだとは思いませんの?』
「──とレイラに言われて、私は確かに前までこのようなことをするような人ではなかったし、それを否定するつもりもないですし、それを行っていなかったから無駄なあがきだとは思います。
それを言われてから私は....胸が張り裂けそうなぐらい気持ちが落ち込んで、しまったんですけど、ここでレイラに当たってしまったら意味が無いと思って先程のように、仮面を被って私は───」
『そ、そうか...そうだよな、今までの私は、レイ...お前とは何も話す事もせず、興味も持たななかったからな...済まなかった、今のことは忘れてくれ、邪魔をして悪かった、今日の所は引き下がるとしよう。また出直してくるではな...』
「───といって部屋から離れました....」
それを私は聞いてどんな言葉をかければいいのか分からなくなってしまった。あまりにも残酷だとは思ってしまったけど、それほどの年月、無関心で何をやるにもすぐ飽き、イタズラや使用人たちに迷惑をかけていたから、どう慰めていいのか、分からなかったけど、それを見き着けられて、それでも私に話した事に、私は
「.....アルノルト、本当に....ごめんなさい、あの時から今まで、避け続けて....本当に....ごめんね」
私は立ち上がって息子であるアルノルトの所にいって、抱きしめてあげて、謝る
今できることは少ないかもしれないけど、それでもこの子の家族として、親として、温もりや愛情を注いであげようと今の私は思うのであった
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