第14話

AVを見て気持ちが悪い時がある。よだれ。舐め。音を立ててのいわゆる男性的な派手なやつ。別にいいけど。今度は誰が書き手になるか。自然の描写が少なく登場人物も比喩や教訓も何もない。生きる価値などなにもつたえられないこの小説で。

これは小説なのか。現代の人々やTwitter、聞いた話、突然降って湧いた物語をかくのはちがう所にしようと思う。コンビニ人間や火花。蛇にピアスを読んで一からやり直してもいい。もう忘れてしまったけれど好きなのは、太宰治の人間失格だ。デスノートの小畑健さんが表紙を描いたナツコミフェアの一冊を持っている。ただ、ほしいものにししまいと書いたのと、金の切れ目が縁の切れ目で一夜を共にした人の前から去ったりと、サナトリウムで自分は完全ににんげんではなくなりましたと、食べたご飯が砂の味。そして、小さい時にかなしいことをおしえられ、おかされていたという記述をおぼえている。わたしは漫画も好きだ。NARUTO。バクマン。妖狐×僕SS。鋼の錬金術師。PSYCHO-PASS。そして文豪ストレイドッグス。小学生の時に激ハマりしたのはカードキャプターさくらだった。

様々な作品が二十周年を迎えている。そんな気さえする。きっと少しずつ違うのだろうが、わたしはこの漫画好き、アニメ好き、小説好きが講じて。

自身を魚臭症かと疑ったり、自分の生理が止まったことで若い男の子がパイプカットしたり、きょうだいの乳房が暴漢たちによって切り落とされ、そのきょうだいの新生児が立派な大きいその場のアパートのオーブンで焼かれると言ったら妄想を、幻覚として事実と解釈した。一番恐ろしいのは、生まれたばかりの姪のお股に、これはよそう。これは辛くて辛くて本当に距離をおいてよかったと思っている。代わりに自分が苦しみ。ボールペンは仕事で持つしか道がなく。

映画、エクソシストのワンシーンがいけないのだ。

わたしも、しあわせな自慰を教えてあげたかった。大切な女の道を傷つけるお股に包丁が刺さるんじゃないかなんて、ボールペンも、職場で使うフックも、風呂場での銀の蛇口も、全てが狂気で内股にして生きていかなければならない人生を教えたくはなかった。トラウマ。


あの頃わたしは払えもしない車を両親に買うように言われて、小学生の時から始めているお小遣い帳、あるいは家計簿をボールペンでつけていた。

そこへきょうだいの娘がおむつ替えのため、おまたが顕になったのだ。

傷つけはしなかった。しかし。姪とは二度と触れ合いまいと思った。

別のこともあったのだ。

学生時代の辛い頃もう既に四匹飼っている猫に一匹の子猫が混ざった。家にはいつも青白い自分がいた。青白い顔ではない。不健康でただ猫が好きだが、わたしには困ったタチが芽生えていた。病気にかかり闘病ドキュメンタリーに出演している人を見れば「はやく死んでしまえ」思わなくてはならないのだ。一瞬でも哀れみと殺意を抱かなければならなかった。老犬の最期のドキュメンタリーも、早く死ね、と反面でおもわなければならないのだ。福島の牧場で災害後、牛達の骸を前にごめんね、と泣きじゃくる人をTVでみながら、わたしはどこかで悪意を囁かなければならない。歪なわけではない。感情がひん曲がっているわけではない。大事に思いすぎてはやくしてあげなければ、とも思っていない。

ただ、泣きじゃくりたい自分を酷い言葉で傷つけて、見ている相手にも投げかけたくなるようなコトバをわたしは持つことがある。性善説とも性悪説とも仲良しなのかもしれない。一匹の小さな子猫を、まだ手のひらサイズで鳴くか抱っこされるしかない子猫を、わたしは

流し台の上に置いた。

学生時代だ。

包丁は、持っていなかった。

できなかった。

頭を落として殺せば母が悲しむと思った。

でもその前に、自分が泣くことに、必死で大口を開けてこちらを見て鳴く子猫をみてきづいた。辛かった。苦しかった。猫が好きだった。それなのに、自分は包丁で頭を落とそうと考える。黄色と茶色で毛足の長い、コケコッコーと呼んでいた猫だった。

猫を抱いて下に下ろした。自分があの時泣いていたかいないか、覚えている。

その猫は方舟の名をつけた。

美しい三毛猫の伴侶も得たが、我が家ではこれ以上飼いきれず、避妊と去勢をするしかなかった。

きっと珍しい柄の仔か、お腹や体前面の、白い仔が生まれただろう。

猫は殺さなかったが、わたしは蟻はいつぞや酷いやり方でころしてしまったことがある。それは保育士も見ていたのだが連絡ノートには書かれず、母は知らなかった。

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