第2話

 機会がなかったわけじゃ無い。

 ガールズトークは、もう呼び名として古いかもしれないけれど、これがとっても使いやすいのだ。

 まあ、わたしには初体験や性について質問してくれる、相談できる、そんな人間は家族しかいないし。そんなので団欒してたまるかなのだが。

 仕事の間中、わたしは頭の中で音楽を流している。そしてあるいは無言でいる。ある時は体調不良やズル休みで休んだ翌日などは居心地の悪さを味わったりしている。

 どんな職場か。とてもいい。繰り返される職場だ。人を救う仕事につながると信じている。

 ただ、いまは内緒にしておきたい。

先程の「機会がなかった訳じゃない」。

あれはなにも好きな先輩とホテル前まで行っただの、挿入手前までで怖くなってできなかっただの、頑張って工夫をこらしたが入らなかったという話ではない。

 言ってしまおう。

男の人に、声をかけられなかった訳じゃない、の意だ。主婦の方でも結構いるのだ。

職場と自宅の往復で、もう仕事を辞めようかと相談していた上司と結婚。結果その人が実はハジメテの相手。人によっては学生時代でとっくに卒業、ヤってしまう。学生時代は花形のテニス部にいたり、あるいは活発で男女の共同の準備があって仲良くなりやすいバスケ部だったり。それ以外でも機会は恵まれている。それでもわたしにはチャンスがあったのに、飛び込まなかった。恋人ができない者。「卒業」しない者たちはいる。大抵は学生時代にそれこそ活動的な学校生活で。委員会や学校行事の流れで。つきあう、とはどういうことか理解も要らずに彼氏彼女が。各々の中で誰かが進級するように、昇格するように、そしてただ特別になる。

ああ、尊い、とは。今となってはそう思う、ことにしよう。なんたって、わたしは部活動ではとあるカップルの彼女にイジメられ、教室ではその女の彼氏にイジメられたのだ。それもテニス部だった。

なぜいわゆる陰キャの私が態々そこへ入部したのか。そこには母の肖像が心にある。

花形の部活はイジメも顕著な学校も多かった。他校との試合やふれあいも素晴らしいものだが部活動での青春は私には縁遠かった。

いじめはひとをしいたげることである。してもいけなければされてもいけないのだ。

それは、たとえ心理学にスケープゴートの例があったとしても。

余計な話ではないけれど、次に行こう。

この物語はわたしの幻覚と妄想と、現実の話なのだから。

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