第百二十六話 アドレスのステータス値

「ぜぇ……ぜぇ……そろそろいいか……」


 結局俺はドラゴントウマとター君以外の全部を光らせ

剣にその能力を封印することに成功した。

 ファナも途中から特訓をし、レウスさんは横になって寝ていた。


「そういえば私やおじさんをその剣の能力に封印は出来ないのね」

「そうみたいだな。今一穴がトウマ、二穴がピーグシャーク三穴が

ロックスネークってのになってるな」


 とっても残念そうにしているファナは、かなり色っぽいです。


「私はそろそろ疲れたからそっちに戻るわね。あなたの中で眠るわ」


 ふふっといたずら笑いをして戻るファナ。


「俺もだ! ルインの中で寝るから優しくしてな! な!」


 そういうとがはっとレウスさんはいななき笑いをして戻る。


「……ふぅ、この剣がどのくらい能力的に強くなったか可視化できればなぁ」

「可能だ」

「うわあああ! いきなり現れないで下さいよ」

「籠手にしまって蛇の目を押せ」


 突然出て来て驚かしてくるアルカーンさんの言われた通りにしてみた。

 すると……。


アドレス(アルカーンシールドガントレットカットラス)

STR 1+50

DEX 1+41

VIT 1+47

SPD 1+54

CHR 100+42

YP 100+65


 まさかの武器ステータス。

 あんたフェルドナージュ様の蛇籠手になんつー機能つけてんのよ!? 

 まぁ便利だからいいか。

 名前は俺が決めたから表示されてるのか。

 プラスの値はモンスターが馴染んで力を発揮させた値で、セットされた

 アクリル板で馴染んでいない数値は反映されていない。

 にしてもなんだこの初期値は。

 偏りすぎている。それと一番下のは妖魔ポイントというのか? 


「あの、魅力と妖魔ポイント? とか言うのだけやたらと高いんですが。他の全部一

なんですけど」

「それはそうだろう。なにせ元々私の時計の一つだ」


 美しい時計で魅力が上がるってか。


「この妖魔ポイント? と言うのは?」

「妖魔の技を多く使うためには妖力値が必要だ。

伸びれば多くの技が使えるだろう」


 成程。これが低いから毎回技使うだけでぶっ倒れるのか。

 つまり初期ステータスは低いが、技が多く使えるいい武器なんじゃないか? 


「魅力が上がるとどうなるんでしょう?」

「決まっている。美しくなれる」


 ……聞いたおれがバカだったよ! 


「すみません、もう一つ質問なんですが、ターフスキアーという

モンスターを封印したんですが、こいつの技が使用できないんです。

リルに借りた物も使用できない技がありますが、なぜなんでしょう?」

「相性と妖力値の大幅なずれ。レア度による修練の必要条件の厳しさなどだな。

そいつは恐らく特殊個体なのだろう。もしそいつがセット条件になった場合は苦労するだろうな」


 特殊条件か。あいつは術を使う上、物理耐性があったから相当使えるはずだが。

そもそも俺があまり術を使えないからって可能性もあるな。


「わかりました。ありがとうございます。強い武器も手に入り、いい修行もできました。

そろそろ戻ろうと思います」

「よし、ならば先ほどと同じ場所に道を開く。私との約束、たがえるなよ。私と会う時は

家の中に入った上で呼べ。さらばだ」


 そう言うとアルカーンは空間を歪めて俺達を外に出した。

 変わった妖魔だけどおかげでかなり戦力アップができた。

 感謝しよう。

 空間から出ると、前と状況は変わらずみんなその場にいた。


「あれぇ? 今入ったばかりなのにもうでてきたのか?」

「どうやら無事手に入れられたみたいですね。彼が出す条件を満たすとは。そう簡単には

いかなかったと思いますが」

「いえ、それが割とあっさりと。約束事は増えましたけどね」

「そうするとあなたは、芸術にも秀でているのですか。私は彼とは違う形で芸術品が

好きでね。今度お話を伺いたいですね」

「ええ勿論。それより今の武器の性能を見ていただきたいのです。それと次の指定モンスター

がこれで……」


 一通り説明すると、フェドラートさんは驚き、関心している。


「妖力値が初期から百ですか。かなり扱いやすいでしょうね。次の指定モンスターはピーグ

シャークとロックスネークですか。所持していないんですね。こちらで用意しますから

戦闘をお願いします。


 フェドラートさんに頷いて応じ、少し移動して広い場所へ出る。

 すると……マッハ族のトカタウロスが、どこから連れて来たのか、ピーグシャークと岩でで

きたような巨大なアナコンダが襲ってきた! 

 まず封印先を指定してピーグシャークと戦う。

 同時に襲ってくるが、技が大量に使えるようになったなら、戦力アップは揺るぎないものだ。

 剣の柄に手を置きそのまま走る。

 ピーグシャークの眼前でマッドサハギンの泥槍を放つ。

 槍は直線状に真っすぐ進む。

 左に回り、槍とタイミングを合わせてXになるよう重ね合わせる。


「斬槍X」


 ざしゅりと双方が重なりピーグシャークにエクセレントヒットする。

 封印完了。なかなかの威力だ。


「妖楼!」


 飛びかかってきたロックスネークを躱す。

 そのまま封印指定をかえつつ……「剣展開」

 六本の無数の刃がロックスネークを襲う。


「斬虐のアイアンクラッシャー」


 ロックスネークが六本の剣に目を盗らわれている間に、デュラハン後輩のアイアン

クラッシャーを炸裂させた。

 効果はてき面。どさりと倒れたところに追い打ちのカットラスを入れて終了した。


「お見事です。今の動きだけでも十分に値するでしょう。

ではお話した通り、あなたをベレッタへ向かう許可を出しましょう」


 これでようやくベレッタへ行ける。待ってろよリル、サラ! 

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