第九十二話 骨ながらあっぱれ

 レウスさんを連れて先へ進む俺達。


「レウスさんはどんな能力を持ってるんですか?」

「俺か? 俺はそうだな。例えばここから死神の使いを

三匹だせる」


 は? 死神の使いってそんな物騒なものだせるの? 


「よくわからないけどやばそうですね」

「見たいか? 見たいんだな? 下に降りるぞ」


 そう言うとレウスさんはすーっと下に降りる。

 そこ、でかい象みたいなのがいるんですけど。

 パオームって奴じゃないのか。それ。


「いいか! よく見てろよ! しにが……」


 踏みつぶされた。ぱきぽき音がする。お亡くなりになられた。

 既に死んでいるか。

 骨無くなりになられた。


「おい貴様! 俺が喋っているときに攻撃するとはいい度胸だ。

全く。本当に」


 なんであの状態で喋れるんだ? どこに喋れる概念が存在する!? 

 しばらくしてめきめきと骨が戻る。怖いよ。


「今度こそ! 死神の使いよ、行け!」


 そう言うと砕けた骨の隙間から大きい鎌を持った白い物体が出てくる。


 おかしいな。想像していた死神の使いって、フードを被った骨が鎌を

持っているイメージなんだけど。


「いけ!」

「ふわー」

「いけ!」

「ふわー」


 まるで言う事を聞いてません。レウスさんの骨望が心配だ。


「仕方ない、ちえーい!」

 

 目から炎のようなものを出してでかい象を攻撃して倒した。

 最初からそれでいいだろ! なんだったんだあの死神の使いとやらは。


「どうだ俺の実力は」

「いや、骨ながらあっぱれかなと」

「そうだろう。少し油断したがこのまま先へ行くぞ」


 死神の使いはあれだったが、あの炎は一応使えそうだ。

 レウスさん自身も囮になってくれるみたいだし。


 俺たちは幽閉の辿りの奥へとさらに進む。


「ここがリルの言ってた妖獣の巣窟、フェルスの死霊館か……」


 名前からして怖いから、アニソンを歌いながら行く予定だったが

レウスさんがそのムードを粉砕してくれたので大丈夫だろう。

 本当に当たりに思えてきた。


 しかし高い建物だ。これでは跳躍して上から行くのは無理か。

 しかもでかい。何百メートルあるんだ、この建物。


 入口周辺もやばいのがいるな。デュラハン……とかいうやつだよな。

 有名な顔がない兵士みたいなの。あんなのって終盤の敵キャラじゃないのか!? 


「あいつな、友達だわ。行ってくる」

「え、本当ですかレウスさん。嫌な予感しかしないんですが」

「だいじょぶ、だいじょぶだって。行ってくるわ。待っててな」


 そう言うとレウスさんはふわふわと飛んでデュラハンに近づいていった。

 はい、リンクしました。デュラハン二体との戦闘開始です。

 本当にありがとうございます。


「ちょ、俺だって。バシレウス・オストーだって。無言で剣振るなって」


 必死に回避しているレウスさんを後ろから狙う方へ向かう。封印はマストでしたい。

 跳躍してデュラハンに拳で思いっきり殴る。

 封印地四十。これでこの数値かよ。入口でこれは確かにやばいな。

 すぐさまブロードソードに持ち替えて殴り飛ばしたデュラハンにせまる。


「レウスさん! そっちのデュラハン引き付けていてください!」

「お前落ち着けって。だめかこいつ。もういいや面倒臭ぇ」


 そう言うとレウスさんは目から炎を出してデュラハンを焼いた。

 一撃でデュラハンは消滅する。

 それってそんなに強いんですか!? 


 どうにか残りのデュラハンを弾き飛ばし、剣でデュラハンを薙ぎ払う。封印値八十! 

 再度蛇佩楯で跳躍して蹴りを叩き込み、封印することができた。

 足が痛すぎるので、さっきの宝箱のおまけ……幻薬のようなものを使い回復した。


「しばらくあって無いだけで俺のこと忘れるとかあるか? こんなに

印象あるのにな」

「ええ、印象がある点に関しては激しく同意します」

「だろ? 一度会ったら忘れられないだろ? 五千年位は」

「それだけ時が経ったら普通の骨でも風化しますよ」

「だっはっはっは! お前面白いな! 気に入った。本当、だっはっはっは!」

「……ルインです。レウスさん。先を急ぎましょう」


 俺とレウスさんは館の入り口を探る。

 どこから入るのが正解なんだ。

 真正面からタノモーしたいけど絶対やばいよな。

 こういうのは裏口が鉄則。




 広い館の入り口を探していると、小さい入口があった。

 きっとこれだな。トラップとかはなさそうだ。

 俺とレウスさんはその入口から内部に入ることにした。


 ……三号を先頭にして。頼む、お前だけが頼りなんだ三号。

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