第九十三話 館の中は

 死霊の館の小さい入口の中は、厨房のような場所だった。

 三号に先に行くように懇願するが行ってくれないので

泣く泣く先を行く事に。

 レウスさんが先だと敵かどうわかりづらいからだ。


 案の定地面に倒れてる赤色の骨がパキパキと組みあがり

襲ってくる。ほらね……怖いよ。

 ただ相手が骨なら格闘はかなり有利。

 

 封印箇所を外して指定しておき、近づいて一気に赤骨を叩く。

 バラバラと崩れて封印出来た。


 相性悪い武器ならあの赤骨でも苦労しそうだな……警戒しながら

その部屋を散策して、敵がいないことを確認する。


 奥の扉へと赴き扉をゆっくりあけると……キバットと目があってしまった! 

 こっちに向かってくるので後ろに跳躍。

 そのままやつをこの扉の中に引き入れる。

 そのまま蛇籠手を使用して奴を捕縛する。

 ……やっぱりでてくるか。でてきたところをすかさずブロードソードで仕留めた。

 

 この蛇籠手は便利だが、牙のような鋭いものには弱いらしい。


「おう、ルイン。その蛇の。かっこいいな。

俺も真似しよう。それ。俺を封印して籠手から出す。いいな?」

「え? これモンスター封印するやつだけど。

あっ!? 攻撃して封印値たまればいけるのか?」

「やってみろ。もしかしたらできる。面白そうだ、な?」


 蛇籠手の封印の一つを外すと、その場所を指定してレウスさんに殴りかかる。


 おお、一だけど封印値があがった。

 今の攻撃で一って。本当に強いんだな。

 容赦なくレウスさんをタコ殴りにする。

 息を切らしとにかく無抵抗な骨を……気が引ける。


 やっと百になったので封印してみると……蛇籠手の中でレウスさんが

両手でピースしてる。

 ちょっと頭がくらくらしたが、再度レウスさんを出した。


「よーしよし。これで不浄なる俺も地上にでられるぞ。

当たりを持って帰れるなんて本当、日ごろの行いだな! 

やったな!」


 物凄く嬉しそうな骨に、何といえばいいかわからない気持ちになった。

 そういえば三夜の町にも骨のせっちゃんがいるけど、あそこは大丈夫なのか? 夜だから? 

 考えてもわからないのでもう一度レウスさんをアクリル板に戻して籠手にはめる。


 身体能力は……浮遊? あれ、まじかよ。空飛べるの? 

 少しだけ地面に浮いた。

 

 けど十センチくらいだけだな。疲れはしないけど。

 そのまま扉から出て、館内を見てみる。


 丁度いい! 床に穴とかあいてるしこのままいけば

ショートカットできるんじゃ? 


 すいすいと穴のあいてる床を通り抜けて上への階段にさしかかる。

 こういうでかい階段を上がるのは、嫌な予感しかしないんだよな。


 レウスさんの浮遊を一旦解除して地面に降り、慎重に階段を上る。

 五十段ほど登ったところで巨大な模型のようなものが目に入った。

 全長何メートルもありそうなその模型が邪魔で、先がよく見えない。


 まだまだ先のはずなんだがな。

 とりあえずレウスさんに出てきてもらう。


「どうだった? 浮くのは楽しかったか? 楽しかったろ?」

「ええ、新鮮な感じがしましたね。

ところでそこの模型が邪魔で、先がよく見えないので

見てきてもらっていいですか?」

「模型? ありゃ模型じゃないぞ、おい」

「え? なんですか、あれ」

「どう見ても俺と同じモンスターだろ、あれ? 見えないか?」


 背筋がざわつく……すると正面の模型が動き出した。


「あれはドラゴントウマのトウマさんだ。友達だ」


 絶対噓だろそれーーーーーー! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る