第31話

事態が急展開したのは、シャチ達の世代交代を終えた翌日だった。


ちなみに、シャチ達の世代交代はボスの座を賭けたやつではなく年老いて群れでの行動が難しくなったシャチを若いシャチが介錯する的な方。共食いするシャチも前には居たがそういうのは不慮の事故にあって早死にする。


介錯されたくなくて群れから離れるシャチはたまにいるが年老いてるし孤立した状態ではサメの餌食になるだけだから誰も追いかけない。


その日は雲一つない快晴で珍しく、大型の船をよく見かける日だった。


なんだか、今日は騒がしいな?


近くに人間がいると不定形の思念体からの思念がそっちに引っ張られやすくなる。


"二時の方向、シャチの群れ確認"

"ターゲット確認!"

"全隊員に通達。ターゲット確認した。目標、二時の方向のシャチの群れ。ターゲットを速やかに捕縛せよ。"

"手荒にしても構わん、絶対に逃がすな。"


…明らかに狙いは俺だな。しかも、相手はどっかの国の軍隊いや雇われた傭兵の方がそれっぽいな。


大型船から戦闘ヘリが3機飛び立った。


戦闘ヘリは俺がいる上空を旋回しながら何かを落としてきた。


バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!…計25個の黒いボール状の物が戦闘ヘリから投下され海面に浮いてる。嫌な予感…


好奇心旺盛な数頭のシャチがそのボール状の物に接触した途端、ドーン!と爆発した。


空から降り注ぐシャチだった肉片と血。


黒いボール状の物の正体は、機雷。しかも、起爆条件が生物が触れた瞬間に設定されたスマート機雷という悪魔の発明。


数頭が犠牲になり、爆発音に驚いてパニックに陥る群れ。


逃げ惑う際に、機雷近くを通ったシャチにも機雷は反応し爆発した。


更にパニックになり、混沌し群れは散り散りになって行った。


俺は、海面を漂っていた。何故なら奴らの狙いは俺でシャチ達はどっかに行けば追いかけてまで殺すようなことをしないようだったからだ。


なら、俺が大人しく捕まれば群れは大丈夫だろう。


だが、運が悪いことに漂っていたら機雷に頭が接触してしまい起爆。爆発の影響で空高く打ち上げられる俺はちょうど上空で滞空していた戦闘ヘリのプロペラをへし折り、戦闘ヘリと共に海へ着水。更に機雷が起爆され2機目の戦闘ヘリの操縦席を下から突き破って大破させ共に海へ着水。


頭がぐわんぐわんして目眩がする。


ドーン!と近くで大きな爆発音がしてから金属片やよく分からない液体や腕が降ってきた。


多分、戦闘ヘリ墜落して積んでいた何かが爆発したか機雷が起爆して戦闘ヘリの何かに誘爆したか?戦闘ヘリに乗っていた奴も巻き込まれてバラバラになって降ってきたんだろう。


降ってきた腕をまじまじ見てみる。タコが何度も潰れた硬い掌をしていて所々に傷が付いていた。やっぱり、軍人や傭兵の類いだな。


はぁ。偶然だったとは言え、人死には慣れないな。とりあえず、この腕は海に帰そう。


バシャア


腕を離した途端サメが腕に食らいついて何処かに行こうとして機雷に当たって爆散。


…機雷投下しすぎだろ。


ドーン!また左足に機雷が接触してお空を飛ぶ俺。流石、緊急回避する戦闘ヘリ。学習出来て偉いね。…機雷まだ残ってんだよね。


それから、戦闘ヘリの真下に漂っている機雷へクロールで漢特攻して起爆して戦闘ヘリに当たるか機雷が無くなるまでやってみた。


結果、残り7個目で戦闘ヘリ真っ二つになって墜落。


ちょうど残った機雷が戦闘ヘリの機体とかに接触して大爆発した。スマート機雷以外にも普通の機雷投下してたのか。俺も爆風に巻き込まれていつの間にか、近くまで来てた大型船に無事捕縛された。


船の甲鈑で何故か何事か喚き散らしながら複数人の女達にめっちゃ、銃乱射されてるけど無傷!ノーダメージ!股間おっ立ってて腰振ってやんよ!ほ〜れ、ほ〜れ。


お!意外と命中精度高いな、まさか股間の聖剣を狙って当ててくるとは。だけど、キィンキィン音出しながら弾丸弾くぜ!ほれほれ!


弾切れになったようで銃弾の雨は止んだ。だが、何人かがナイフを持って接近してきた。


フッ、昔の俺だったら抵抗出来ずに制圧されていたが今の俺は海の最強生物に鍛えられた技がある!


シュ、とナイフを突き出してきたのを頭突きでナイフを粉砕。防御力がズバ抜けて高いから武器破壊なんて今まで船底に穴を空けていた経験からしたら御茶の子さいさい、さ!


武器破壊されてギョッとした顔した女の隙をついてその場で左回転ジャンプをして後ろから近付いてきていた女の顔に俺の股間をお見舞いした。発情したシャチの御立派にビンタされた時は衝撃的だった。


また、隙が出来たから女数人から距離を取るため甲鈑を走る。ハッとして追いかけてくる女達。スタミナ勝負なら俺は負けないぜ!


鉄の壁ならぶち壊して進めば行き止まりじゃないからな。


壁に腕と足を突き刺してロッククライミングして逃げたり休憩したりして居たら船のヘリポート?に特徴的な国旗を描いたヘリが降りてきた。


星条旗…アメリカのヘリか?コイツらの雇い主はアメリカだったのか。なるほどね。スパイか何かに俺の情報がアメリカに知られたってとこか。


んー、友好的ならお互いに協力して欲しいけどどうしようかな?

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