第29話

タブレット端末に入っていたカレンダーを見たら、今2304年だった。電波が入ってないから正確か定かではないが。


んん?そんなに長く俺、シャチ達と一緒に居たのか?いや、海底生活も長かったのか?相変わらず、俺の体感時間がバグってるな。ファンタジーテンプレの長命種エルフとかってこんな感じなんだろうか?


さて、どうしようかな。


歪められているが俺を今も探して大陸のあっちこっちを蹂躙しているのは、紛れもなく俺の家族なんだよ。正気ではないがな。俺が彼女達に会っても解決するか分からない。俺の事を覚えてるかも分からない。


黒く歪められているが会いたかった家族に会えることに、俺は迷っている。忘れられていたらどうしようとか。


…でも、今のままじゃ絶対に駄目なんだよ。あんな状態で終わらない苦しみを野放しにしておけない。


海が弱点なら海に誘い込んで解放してやるしか俺には考え付かない。だけど、それは彼女達が拒絶するかもしれない。どうすれ、ば?


その時、船が僅かに揺れた。多分、外で俺を待っているシャチが痺れを切らして船を揺らしたのだろう。あ!そうだ。彼らに協力してもらえないかな?浜辺にいるアザラシとか海に引きずり込むことが出来る彼ら、海の最強生物であるシャチなら俺が考えたことを実行出来るかもしれない。


よし、善は急げだ。俺は船の外へ出ていきシャチに身振り手振りで交渉した。


だが、通じなかった!残念。


そうよね。君達この数十年、俺の言うこと聞いてくれなかったよね!知ってた!


くっそ、どうすれば良いんだ。お手上げ状態だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る