第15話
テレテッテー「精子採取キット」、どんな環境でもこれさえあれば種の完璧保存が出来る代物。このキットに精子を入れて蓋をすれば長期保存可能。キットの中は外気に影響を受けないから細胞が死ぬこともない。という画期的な製品である。
男に薬を飲ませてまで子作りしなくて済む解決策とは俺の子種を人工授精で使うってだけ。つまり、より一層俺の子供が増えるってこと。全人類、俺の血縁者になる可能性が出てきた。
そう、越後国だけじゃなく海外にも輸出されてる俺の子種は越後国の一大産業になっている。んなアホな。
越後国主である麻乃は笑いが止まらないと毎日言っている。
子作りは解決されたけど、性欲の解決策は前からあった大人の玩具を更に改良したから使用者は普通の男では満足出来ない身体になってるらしい。値段もかなりお手頃価格で底辺ほど利用しているらしい。恐ろしいことを平然としやがるよ。
増え続ける見知らぬ血縁者、だけど平穏で爛れた性活に俺は満足していた。
そんな俺の日常は脆く崩れ落ちた。
とある日、自らを"陰陽連"と名乗る連中に拘束された。罪状は人外の者が勢力拡大の為に悪しき種子をばら蒔いて人々を食い物にしている、という俺には難しすぎてよく分からないことを言っていた。
悔い改めさせる為だと言って俺に何やら札やら棒やらで投げてきたり、熱湯を被せてきたり、火炙りにしたり色々として来ていたが俺にはノーダメージだった。
だが、その後が胸糞悪かった。
悪しき種子によってこの世に生まれた存在として、俺の子種で生まれた娘達を磔にした俺の目の前で次々と拷問し殺して行った。
その中に、当然麻乃とまだ幼い麻陽の姿もあり涼子の娘も居た。俺は何も出来ずに娘達が苦しみながら死に絶えるのをただただ見せられた。
そして、俺を殺すことが出来ないことに業を煮やした連中は俺を地下深くにセメントと一緒に封印した。
俺は悔しかった。またこの世界の欲望に、俺の愛を踏み躙られた。くっそたれだ!こんな世界。
死ねない身体になって1番辛いのは人恋しさだ。何も無い石の中で俺はあの不定形の思念体の声を聞いて寂しさを紛らわせた。気が狂いそうな孤独をあの声を聞いて過ごした。
どうやら、声の内容は前世の記憶に近い言葉を口にしてるのが大半だった。たまに、地上で俺のことを話してる個体も居た。知れば知るほどよく分からなくなる。
さて、どうしたもんか。
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