第9話

どんぶらこっこ、どんぶらこ


流されること数時間?まだ街らしき、いや町か?らしき影無し。このまま、海まで流されて海外に行くか?いや、日本語以外話せないから無理か。


最悪、村で良いかな?でもなぁ、多分この世界の村ってまだ閉鎖的だからなぁ。


というか、まだ昭和85年なんだよな。昭和天皇長生きし過ぎ。平成が更に短くなるだろうな。


ちなみに、こっちの世界の歴史や戦争などはちょいちょいと前世と違うところがある。例えば、戦争は敗戦じゃなく"痛み分け"つまり決着が着かなくて不毛すぎて両国が折れた形。日本が敗戦国じゃないから他国に舐められることがないらしい。米軍基地とかも国内に皆無。


他国からの拉致被害は一切ないことになっているとか、領海や領空を侵犯するのは全て沈めてるとか島を不当に占拠されるとか無いらしい。強いなと思った。


でも、マスコミがクソなのは変わらなかった。むしろ、歯止めが効かなくて質が悪いらしい。やっべー。


昭和なのに何故か地デジやスマホがある。前世だと今平成22年くらいだから時代的に早い気がする。…可能性があるとしたら俺と同じ前世の世界から転生してきた頭の良い奴がいる気がする。


会いたいか会いたくないか、どちらかと言うと関わり合いたくないかな。価値観が合わない気がする。


どんぶらこっこ、どんぶらこ


空が綺麗だなぁ


そういえば、工場排水も生活排水も川に直流しじゃないから川も海も綺麗なんだとか。これも転生者効果だろうな。歴史がちょいちょい違うのはほとんど転生者の仕業だと思って良さそう。だって、改変出来る知識と権力があれば容易いだろう。素人考えだが。


ん?俺も転生者パワーで時代改変?無理無理。そんなめんどくさいことしたくないね。それに改変しちゃったら未来に何が起きるか分からなくなるじゃん。未来が真っ暗とかもうやめてほしいね。


どんぶらこっこ、どんぶらこ


お?橋が見えてきたな。人里が近いのかな?うえ?うわあああ


な、何これ!?網?まさか、投網か?!うおおおおぉ、引っ張られるぅぅぅ!


びっちびち!


「…」

「…」びっちびち!

「何やってんさ、あんた」

「あなたに網で捕まった者です。」びっちびち!

「…なんで川に全裸で流されて居たんさ?」

「かくかくしかじかまるまるぬるっと」

「アホだってことはわかったさ。はぁ」

「解せぬ。」

「あんた、行くとこはあるんかい?」

「絶賛、飼い主募集中!」

「…あんた逃げ出したのかい?」

「いいや、放逐されて家政婦達に山で殺されそうになったから川に逃げてあなたに網で救われた。」

「救われたって別の意味に聞こえる気がした。」

「気のせいだろう。」

「ま、良いさ。じゃあ、あたしんちに来るかい?飼われていたならそういうことも慣れているんだろう?」

「望むところだ!」びぃん!

「…元気が有り余っていて結構だよ。はぁ、とりあえず全裸は他の女達の目の毒になるからこのずた袋を穴空けて被っておきな。」

「ありがとう。…これで良いか?」

「簀巻きにされているようで似合ってるよ。」

「反応に困る。あ、それと俺さ名前も戸籍も無いから。」

「…はいよ。じゃあ、仮で"桃太郎"って呼ぶさ。」

「きびだんご持って鬼退治しに行かないといけないのか、嫌だなぁ」

「鬼退治しなくて良いから、あたしを満足させておくれ♡」

「任せろ。」びぃん!


その晩、川漁師を何度も満足させた。床のことなら俺に任せろ!


「はぁ♡はぁ♡あ、あんた、たまらないねぇ♡」

「まだまだ俺は元気だが、どうする?」びぃん!

「あはは、流石に明日に響くから今日は休みたいわ。」

「なら、このまま一緒に寝よう。」

「ありがとう♡」

「ほらほら、くっついて…おやすみ。」

「ああ、おやすみ。」


川漁師と俺はお互いの温もりを感じながら、眠りについた。

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