第65話 勇者?の帰還

 要約すると、来週来ると約束してから向こうの世界に戻ったあの日、アレと敵対する勢力に急襲されたらしい。


 仲間が散り散りになり、荷物や物資も大半が失われた。


 アレの封印が完全に解かれたことで力が戻ったが故に、敵対勢力に発見されたのだ。


 大介は逃げに逃げた。


 逃げる途中に時計も無くなった。今が何日かもわからなくなった。


 なんとか逃げ延びて仲間と合流し、敵対勢力を末端からトップまで、完膚なきまでに叩き潰したのだという。


 これが1ヶ月ほど前のことだ。


 その後、圧政から解放した人たちから請われて、仲間たちと共に、王様の真似事をしていたらしい。

(後からマコトが聞いたら、酒池肉林って凄いよ。とだけ語った。クズか)


 アレは結局合流できず、日にちも時間もわからず、帰る手段もないので、仕方なく(本当か?)王様業務に精を出していた。(主に仲間が)


 そんなこんなで忙しく(何に?)していたところ、一つだけ残っていたお守りから、非常に美しい女性が現れて、元の世界に帰してくれるというので飛びついた(嘘だろ)らしい。


「・・・でさぁ。仲間に相談したら、じゃあ帰ればって言うし。

 ちょっとくらいならお宝分けてやるよって言うから、ありったけ突っ込んで持ってきてやった。

 ザマーミロ。

 この袋だけでも見た目の3倍入るんだぞ!」


 微妙な量だった。

 重量は入れた分だけかかるらしい。


 だが、大介が取り出した、たくさんの宝石や金塊、高度な技術を感じさせる螺鈿の入った彫刻など色々な宝物は、専門家ではなくてもわかるくらい素晴らしいものだった。


 然るべき機関で鑑定して貰えば数十億円は下らないだろう。

 もう一桁いってもおかしくは無い。


 出どころをどうするか、悩ましいが、宮神家ならなんとでもするだろう。

 いや、なんとかしてくれ。




「これだけあれば、みんなで山分けしても億万長者だな!!」


 ふと、何かを思い出して言葉を続けた。


「アッちゃん、俺からの誕生日プレゼント、この王冠でも良い?」




 ・・・やっぱり勇者じゃなくて、盗賊バンディットだな。

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