第14話 不審者、襲来ー3

 リングフィットアドベンチャーには、アドベンチャーモード中いくつかの情報を表示させる機能があり、ジョイコンのボタンで切り替えられる。


 ・現在の消費カロリー数

 ・現時点の走行距離数

 ・現時点のトレーニング時間(今日、実際に体を動かした時間のみが対象。フィールドでコントローラーを操作したりコマンドを選んでいる時間は含まれない)


 以上の3点のどれかを表示できる。


 アサヒが泣きそうになりながら大介不審者の話を聞くと、以下の事がわかった。


 ・大介不審者は、異世界の神官に召喚誘拐された。

 ・今は、世界中を旅している。

 ・コーラが飲みたい。

 ・旅の途中で偶然解放した神様?に礼を尋ねられ、元の世界に帰りたいと願ったところ、たくさんの条件付きで日本に少しだけ帰れるスキルを与えられた。

 ・唐揚げが食べたい。

 ・アサヒがリングフィットをプレイしているタイミングに大介がスキルを使用すると、日本のアサヒの部屋に転送される。

 ・アサヒのトレーニング時間が滞在時間のタイマーになる。

 ・醤油愛してる。

 ・大介が日本に滞在している間タイマーが減少し、ゼロになると異世界に引き戻される。

 ・大介が日本に滞在している間、アサヒがリングフィットをプレイするとタイマーの減少は緩やかになる。

 ・他にも条件があるのだけれど、伝えきれない。


 ・とりあえず、唐揚げが食いたい。あとコーラ飲みたい。牛丼食いたい。カツ丼食いたい。etc・・・


 運動しながらこれだけの事を聞き出すのに15分ほどかかったアサヒは、汗だくで床に崩れ落ちていた。

 運動不足の体には堪える所業だ。


 そして、テーブルの上の唐揚げ弁当を貪り食い、冷蔵庫から取り出したコカコーラを飲みながら涙を流す男を見つめた。


 先ほどまでアサヒに突きつけていた刃物は今は床に転がっている。


 おにぎりはとっくの昔に髭の奥底へと姿を消した。


「アッちゃん、ありがとう!コーラ超うまい!やっぱコカコーラだね!でも、ペプシも飲みたい!唐揚げうまぁ!あ、醤油欲しい!塩とか味噌とか胡椒も!味噌汁も飲みたい!」



 ・・・やっぱり勇者じゃなくて、盗賊バンディットじゃないのか。

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