第13話 不審者、襲来ー2
「ヒェッ」
突然のことに固まるアサヒ。
そんなアサヒを見た男は、口を開くと刃物を突きつけてこう言った。
「ゲームを止めるな!スクワットでもいいからやってくれ!」
(誰?いやどっから?刃物?殺される?なんで?)
アサヒは混乱したが、下手に抵抗すると殺されるかもしれないと思い、リングフィットを続けてプレイした。
刃物を突き出したまま、男が続ける。
「動きを止めずに俺の話を聞いてくれ。
わかるか?
俺だよ?
大介だよ!」
「は?」
「動きを止めない!」
「ひゃい!」
汗だくのアサヒは、涙目になりながらスクワットしつつ、大介を名乗る不審者を観察した。
顔立ち・・・整っている気もするが、髭面で良くわからない。髪もボサボサだ。
服装・・・黒い皮?みたいな物で出来た鎧見たいなものを着て、ブーツを履いている。
刃物・・・50〜60センチくらいある両刃の鋭利な刃物。ぷっすりいかれたらサヨウナラだね。
アサヒは、着ている白Tシャツに滲んだ汗が、恐怖によるものか運動によるものか、もう判断できなかった。
怯えながら、なんとか声を絞り出した。
「すいません!僕、貧乏でお金とか全然持ってません!勘弁してください!」
髭面の男はアサヒを見つめるとこう言った。
「強盗じゃないよ!!むしろ、俺は、宮神大介は、勇者になったんだ!!!」
唖然とするアサヒに、テレビ画面の中から『リング』が語りかけた。
『すごいじゃないか!よく頑張ったね!』
******
「ほ・・・ほんとに、・・・だ・・・ダイちゃん?盗賊コスプレ?勇者?強盗?お化け?」
恐る恐るアサヒが声をかけた。
「だーーーーー!!!絶対わけわかんないって思ったんだ」
不審者は叫んだ。
「頼むからリングフィットを止めないで聞いてくれ!
俺は異世界に勇者として召喚されたんだ。
色々あって、アッちゃんがリングフィットやった時間だけ日本に帰って来ることが出来る様になったんだよ!!!!」
「え???」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます