第9話 物件を見に行こう
「こちらの物件はものすごくオススメなんですよ!」
昨年の春に入社したと言う若い不動産屋のスタッフに連れられて着いたのは、1棟の少しくすんだ色マンションだった。
「ちょーっと築年数が古いんですけどね。
駅から徒歩20分。コンビニ・スーパーまで徒歩5分。
お部屋は昨年フルリフォームしたばかりなんです。
ちゃんと新しいエアコンもリビングと寝室に設置済みです」
今日は寒いですねーっと腕をさするスタッフが案内したのは、4階建てのマンションの3階の一室だ。
「確かにリビング広いですね。
あ、12畳もあるんだ。
寝室も8畳あるし」
風呂場とトイレも見ていく。
「風呂・トイレ別で自動給湯と追い焚き可ね。
でも、全体的に間取りが少し変わってるような・・・なんだろ、ちょっとクローゼットの位置が変?
いや、窓の位置が変なのかなぁ」
「ええ。マンションの構造の関係でこの部屋だけクローゼットが狭いというか、低いというか。
窓は、ちょっとわからないです。
でも、その分私がオーナーさんに交渉しますよ!」
「ウォシュレットはついて無いんだ。」
「すいません。そこはお客さまにご用意いただくことになってまして・・・」
「駐車場って空いてますか?」
「目の前の道路挟んで反対側が同じオーナーさんの駐車場なんです。
えっと、月額四千円か。
どうだろ、ちょっとオーナーさんに電話してきます。良かったら内を見学しててください。
ベランダ出ても大丈夫ですよ」
南向きのマンションのベランダへ続くガラス戸を開けて、外に出てみる。
12月だけあって空気が冷たい。
斜向かいの1軒家の敷地の木がクリスマス用なのか電球でデコレーションされている。
マンションの敷地内、道路の手前に一本の桜の木が見えた。
4月になれば、満開の花を見ることが出来そうだ。
「あ、オーナーさんに連絡つきましたよ!
駐車場こみで月4万5千円でいいですって!
いやぁ、頑張りました。敷金・礼金ゼロです!
国道から一本入ってるので騒音もあまりないですし、ご予算考えると、多分ここ以上にいい条件ってウチにはないんですけど、どうされます?」
その後3件の物件を案内してもらったが、結局、この部屋に決めた。
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