第6話

つまりあの存在二人と私達の目の前で姿を消した女性の三人だけがこの世界に来る資格のある人間だと考えればいいのではないか……そうすると今この場に私と共に来た人物の正体は何なんだろう。それが全く理解ができないのだけど……それにこの黒龍と呼ばれる彼女の存在が異質とも言えるものだと考えられるのも不思議だし一体どうなってるんだろうか――うん、考えたところで意味がないし今は取り敢えず帰ることを考えたほうがいいかもな。だがもしこれがあの男の仕組んだ罠だとしたら許し難い事でもあるが。……とりあえず黒龍と一緒に移動を開始することにしてから数分後、何とか無事外に出られた私はすぐさま黒龍を連れてその場から離れたのだが途中で彼女にあることを話しかける……。

というのも彼女はある一点に向かって興味津々という状態になっているからこそ、つい先程この洞窟内で会った人物のことを聞けば少し驚くことになるだろうと分かっていながら話すことに決めた次第だ。やはり私自身あの人物たちのことは本当に知らない事だし調べようがなかったんだけどそれでもこれだけははっきりと口にすることが出来た――何で彼女のような普通の女の子とあんな化け物たちの間に出来た子どもがああいう風になってしまうか想像もつかんとな!……あれっ……ここどこですか……いつの間に僕はこんなところまで来ちゃったんだろう……それになんだかさっきから頭がぼーっとするような変な気分だ。……えへぇ。うわ、気持ち悪い笑い声出して笑っていたから周りからすごく見られてしまった……ちょっと恥ずかしいな。

でもさ、そんな僕の事を誰も見てないと思うし問題なしだよ~!!って……また訳わからん独り言呟いて一人盛り上がっている奴扱いされたらたまったものじゃないし自重しよう、これ以上僕自身のイメージを下げるのはよくない事だから……あっちの世界の友達はここのことはあんまり知っていなかったみたいだしここは大人しくした方が無難だろう。そう思っていた時だった。突然遠くから人のような影が映り込むが見えた。誰かが来るのかな?と思ってたらそうではなくて何故かこちらの方にやってきたんだ。まぁ別に襲われる様子はないらしいしいいんけどね??……ってかなんかすげー怪しい格好しているんですけがど……。明らかにコスプレかなんかにしか見えないんですけれど、特に頭の被っている帽子は某ネズミ―ランドのキャラクターのアレによく似てるしさ。よく見たらとてつもなく長い髭もあるんだよ、これってやっぱりキャラになりきること前提で作られているものなのか!?しかもご丁寧に付けひげまでしているようで見た目はもう立派なお婆さんと化してました……。そして次にその謎の人物は何をするのかという事について考えている間に僕の前で足を止めるとその正体を明らかにするべく自ら覆面を取ることにしたようです。一体どんな顔をしていたのか楽しみにしつつ拝見させていただきますがそこには意外なほどの美形なお顔が浮かび上がっていたのである――がそれもそのはずである、なぜならこの女性は先程のあの男と同じ世界の住民だったからなんだよな。

ただあの女性の方が遥かに綺麗ではあるが……。あとそれと彼女はなぜかとても不機嫌そうな感じになっておりかなり怖かったですね……。

まぁそんな事もあってか早々にここから立ち去るように促されてしまったんですよ、いやまぁ普通に考えれば分かることだけどまさか異世界の人間がダンジョンの奥底にまでわざわざ来るはずがないので、どう考えてもその女性が今回の一連の事件を引き起こしている元凶であることが考えられるでしょう?それを裏付ける為に色々と話を訊くつもりでいたのだけど彼女にとっては余計なことでしか無いようだ。結局何も話すことはなく強制的に帰されることとなった為そのまま素直に従い戻っていったのだ、その時の事を考えるだけでも悔しくなる。だってさ、ようやく何か手がかりになるようなものを掴んだと思った途端に手掛かりをあっさり手放すことになってしまったんだもん!それだけでは収まらずさらにあの化け物が僕を狙っているという情報が入ってきたわけでどう対処すればいいのかどうか頭を悩ませてしまうことになった……いや、むしろどうやって倒すかを考えたほうがいいだろうな、何せ相手はかなり強力なモンスターだからね? だからこそ対策をしなければいけないなと思いこれからの行動についての予定を練ることにしたわけなのだよ……まず最初に思いついたのは奴に対しての攻撃を成功させるための方法でありこれについては非常にシンプルかつ確実なものであった、しかしここで問題となるのはまずはどのような攻撃を仕掛ける必要があるのか、それが一番大きな問題となる――正直言うならば奴の能力についてはほぼ皆無といっても良いぐらい分からない状態でありますし下手に近づく事も危険といえましょう。そこで次に思いついた作戦としては魔法による集中砲火であったのだがこれは案外使えそうにも思えてきた。何よりも今使える技の中にあったものを有効利用することでも出来ると考えたからだ、というのも奴の身体自体はさほど硬いものではなくダメージを与えられなかったものの多少の動きを阻害する効果を与えることができたというのが一つの証明となっている部分でもある為で。更に追撃として威力を上げた攻撃をしてみせるというのはどうかと考えていてそれを実際に試してみてみたのですが残念ながら思ったような効果は出せなかった為却下となってしまった、その理由に関しては単純なもので私の魔力が不足していたということに尽きましてその結果もっと力をつけなければならない必要性を感じるとともにどうすればいいのやらと考えていた時にふとあることに気づいたのが一つだけあった……それは例の力を使った上であいつを攻撃しようというものであるがその為にはそれなりの覚悟が必要となると同時に大きなリスクを伴う結果にもなると考えられるが故に慎重になってしまい中々踏ん切りをつけることができない状態であった、つまり何が一番言いたいかというと言い訳ばかり考えていたということだよ!!なので今は焦らずゆっくりと準備を行っておく必要を感じ始めていた――この世界の勇者様たちのように圧倒的な強さを手に入れる必要があると考えるようになってからは、それまでと比べて明らかに自分の戦闘能力は飛躍的に向上していた――とは言ってもその代償が大き過ぎたのだ……。おかげで今ではまともに日常生活を送っていくことも出来なくなってしまい本当に苦労させられている現状がそこにはあり……。

(あぁどうして私だけがこのような目に合わなければならないのでしょうか……それに最近体の調子もよくありませんし……。)……などと考えているうち次第に頭痛が起きてしまいついには吐き気のようなものに襲われてしまった――。それからしばらくの間は動くことすらままならなくなり私は意識を失ってしまった。一体私が眠っているうちにどれくらい時間が経ったのだろうか……

「おい!!大丈夫か!!!しっかりしろって!……あぁだめだ……完全に息絶えてしまっているみたいだよ……」

……あれっ……ここはどこだっけ。……確か洞窟内で迷子になって……それで突然化け物みたいな人が現れて。うぅっ……そこからはどうしても思い出せないな……とにかく今の状況を整理するため周りを見渡してから確認していく、するとこの場所にいる人間の中で明らかに怪しい男が僕のすぐそばにいて何故か首を振り続けていたのですよ……でもその気持ちわかるぞ、何せ目の前で人が倒れていたのにも関わらず誰も声をかけず放置していたからな?こりゃ絶対におかしいぜ?まぁそういう意味もあってその人物の正体を探るため僕は近寄ろうとしたんですけどね、そうしたら急に頭を強く押さえられ始めてしまって身動きがとれなくなっていた……。

当然のことながら必死に抵抗を試みようと思っていましたがなかなかうまくいかない……一体僕が寝ている間何があったっていうんだよ……。などと一人心の中で思い込んでいるといきなり僕の腕が強く掴まれた。そうやって捕まることでなんとかその男の拘束から抜け出す事に成功したものの今度は別の人間が襲ってきて危うく刺されそうになってしまう。危ないところだったが何とか回避することができ無事事なきを得ることが出来た……。

(全く酷いじゃないか、助けてくれたことは有難いことなんだけどさこんな事をされると困ってしまうんだよ?)

その言葉を聞き取った男は無言のままこちらをじっと見つめている様子であった――いやもう何この状況!?まるでこの前見た映画のような状況じゃねぇか……?そんなことを考えながらもどうするべきかを真剣に悩んでいた矢先に彼は何か喋ってくれたのだけれども聞き取る事が出来なかった為慌てていたせいもあって上手く答えることができなかったがそれでも構わず話しかけ続けようとしてくるのだった……うん。これってなんていうゲームの世界の話なんだろうね……。まさか自分がRPGでいう勇者だとかいわれてるキャラクターとかになってるんじゃぁないだろうなと不安を覚えてしまう程でもあったのだがそれを考える余裕すら与えてもらえないまま僕は次の瞬間とんでもない体験をする事になる――? それはあまりにも衝撃的な光景を目の当たりにすることになっていた……!彼の右手から真っ白の光がどんどん大きくなっていくのを目撃することになりそこで何か嫌な予感を感じたのか思わず顔をそらすと再びあの化け物の気配を再び感じ始めてきて全身が鳥肌立ってしまったんだ――そして奴の姿を見て驚きを隠せず唖然としたままでその場に立ち尽くしているだけであった――しかしそうはいっても何もしなければ奴の狙いが自分にある以上殺されかねないと思った途端に逃げるように全力で走り出したわけでございますが案の定あっさり追いつかれそうになる……まずいなと思い咄嵯の判断で魔法を使い奴の攻撃を止めようとしたが残念なことに当たっている筈なのに傷一つ付けることができないという状態になってしまいました……そこで更に悪い出来事が発生する。ここでとうとう力が尽きかけてしまっていて体のバランスが崩れかけていく中でそのまま地面に衝突してしまう。

その結果かなりの痛手を負ったのか起き上がることができず暫くの間は動けなくなってしまった……。

そこにとどめの一撃とばかりに強烈な攻撃を繰り出そうとしていることに気付いた僕は今度こそ終わりだという事を悟った……どうやら先程のダメージのせいで体には全く力が入らなくなってきたようだ――その時誰かの悲鳴が聞こえてきたが恐らく気休め程度にしかならないかもしれないな……などと思っているうちにあいつの攻撃によって跡形もなく吹っ飛んでしまう――(あぁここまでかな僕……)……ん……なんだこれ?夢なのか、一体どんな内容だよ……などと思いつつ意識が少しずつ戻っていこうとしていたところで僕は目覚めたようだけどまだよくわかっていない状態ではあったのですよ。それに何故か少しの間記憶喪失に近い状態だった為自分の名前さえもはっきりと思い出せなかったような気がするがすぐに全てを思いだすことができたみたいです(はあっ……結局死ぬことはできなかったか……)

「あぁお前……良かった気がついたのか」そう語りかけたのは何時の間にかさっきの男の人が自分の近くにいたことである、どういう意味だ……まさかあれ全部幻覚だったというつもりか……う~んなんかそれはありえないような気もしますし……何とも判断し辛い結果になっているのですよね……。取り敢えず一通りの疑問を解決させた後早速彼に事情を聞いてみることにすることにしたのであった――すると彼は答えてくれる素振りを見せたものの躊躇っていたように思えたのだ。

そこで彼が一体自分にどのような用件があったのかということを知る為にはどうすればいいかを考えた上で直接本人に聞いてみることが一番だろうと決めつけ実行に移した……(一体僕になんのご様でしょうか。)

それに対して男は意外な表情を見せてきた。何を驚いているんですかね、全く……。それにしても僕の顔に何かついているといったのですか……えっ僕の名前を知ろうとしてただ……!確かに教えていなかったかもしれませんね、すみませんでした……。それとついでだからといってもう一つ質問しても良いということにも了承してくれたのでありがたいことだった、これでやっと色々聞けますよ……。

(あの……失礼な質問になってしまうと思うんで……すが貴方の名前が知りたいと思いますのでお教え頂けないでしょうが……お願いできますか?)男はそれを聞いた後に何回か迷っている仕草をした直後ようやく口を開いてくれたのだがその内容は驚くべきものだった……まぁ予想していたことだったので特に問題はないといえばないのですがこれはまた不思議な人と知り合いになったものだなと自分で関心してしまうほどであった――それはそうと話の内容から察するにこの人とはかなり関わりが深い仲にあったのではないかと自分は勝手に解釈しました、でもそれが正解かどうかは分からないままではありますけどね……。……なるほど。どうしてあなたの名前を知りたかった理由というのが僕の想像していたのと同じなんじゃないか?と感じた部分があったためですね……。やっぱりそういう事でしたか。どうやらこちらの意図を理解してくれていたみたいでありまして非常に助かった。あと他に知っておきたいということはないかな。

(いや……もう別に良いかな?って思ったものですのでそれ以上聞かないことにするつもりです。それよりもそろそろ場所移動しないとやばい状況だと思うのですよ……何か感じてはいませが何か近付いて来ているという感覚があるといいましょうかそんな風に思うんです。早く離れないと危険なような気がしないんですよねぇ……。)と、こんな事を言っている時点で既に遅かったというべきであろう―何故なら急に辺りが一瞬だけ光ったと同時に何かが目の前に現れようとしていたからだ!僕はそれを認識してから逃げようとしても時すでに遅く相手の攻撃を防ぐことすらできない状態の中為す術もないのだと諦めるしかないと考えてしまったのだ……

――そうはいっても簡単に終わらせたくはなかった。せめてもう少し時間さえあればどうにか出来そうなものなんだけどどうすることもできなかった――どうしたものかなと僕は考えを巡らせていると不意に男が前に出てきた――!?一体どうするつもりだったっていうんだ!って危ないからちょっと後ろ向いたほうがよろしいですよ!と言ってしまった後で自分が男を巻き込んでしまったことを思い出し急いで離そうとしたが相手は自分の肩を押さえてくる……しかも結構力強くって痛いくらいだ……こりゃ無理かも……と思った瞬間またしても凄まじい突風が発生し相手を吹っ飛ばしてくれた!しかしそれでも完全に倒せたわけではなかったらしく相手が立ち上がるまでの時間は稼げたため逃げることにする――幸い今はあいつが追ってくる様子はないためこのままここを離れてしまえばおそらく安全を確保できると踏んでいたために何とかなりそうだと考えたわけだが……ところが何故か今度は向こうから追いかけてきているという状態になってきたようで、僕は仕方なく魔法を使って対抗しようと考えていたが先程使った魔法のせいもあって上手く魔力が使えず断念せざるを得ない……となるといよいよヤバイぞ……と考えているうちについてくる速度までどんどん上がってきたのか段々と迫られ始めてきたのか……(うわああぁあああ――!!!さっきから何度もしつこいんだよぉ!!――おいお前少し離れてついてきなさい!!

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