第5話

ただよく見ればその人物もまた蛇のように思えてきてしまったことから……まさかと思って声を掛けることにした。

そう……あの子の名前を呼び続ける事によって そして私は声を上げようとした直後黒龍から止められることになってしまい……どうしてなのか分からないけれど魔物の方は既に黒龍が片づけてしまっていたらしくて 彼女はそのまま黒龍の口に放られてしまい食べられる寸前であったのだ。私は助けることが出来なかった自分自身に対しての苛立ちを感じていた 。それからどうにかして彼女を黒龍の手中の中から救い出そうとしていたのだが、なかなか上手く行かずどうしたものかと迷っていた時黒龍から意外な事を言われたのだった。

そして それならばということで早速準備に入ることにしたのだが、その間彼女を抱えながら守り続けていく必要があるというのは厳しいものであったがやってみせるしかないと思って私は動いた。

しかし予想以上に攻撃が来る回数が増えてきてしまっており黒龍の負担が大きくなるのではないかと不安を感じ始めていたその時になってようやく私達に襲い掛かかって来ていた蛇の魔物を黒龍が討伐することに成功した。その際に吐き出されて出てきた彼女を助け出していくことに成功はしたものの意識を失っていたままであるため急ぎ治療を始めようと思っている。

「くッ……。やっぱり完全に回復しきっていない……」

傷口が完全に塞がる前に無理をして動いていた影響で、体力がかなり減っていそうだということはわかる――このままの状態で放置しておくわけにもいかないのだし一刻も早く何とかしなければと考えてはいるがまずはこの場での治療を優先していくべきだろうとも考えていたとき――不意に近くから強烈な殺気を感じると共に先ほど戦ったばかりの化け物がまたしても現れてきたことに驚きながらもなんとか対処しようとしたその時である。突然私の横に立っていた黒龍が立ちふさがるようにして動き出し相手を食い止めたばかりか吹き飛ばすという荒業をやってのけていったのだ。

これには私は驚愕してしまったんですが……まさかの事態が起ころうとしていた

――その時だ……私が戦えていないという状況をみた黒龍が私に向かってこう言い出したのだった

『主、こいつの面倒を少しの間見ているから さっさとそいつを治せ!俺だって時間制限があるって言う事忘れたわけじゃないだろう!?』

(……ッ!)

そうでしたね……この場は彼女にまかせれば良いんであって今は目の前の脅威を倒す方が最優先だということを再確認すれば即座に行動を開始し始めた。といっても出来る限り治療を行うだけなんだけども、とにかくやれることをやるしか無い。とはいえ……これは本当に困ったな、彼女の場合は魔法とかそういった特殊な力を使わない限りは完全に治せない。

だけど現状では魔法の使い方すらわからないしそもそも回復系といった術式を覚えてないんだよ――それでも必死で回復できるようなものは無いかと考えていた時にたまたま思い出したのは薬を使うということぐらいであり急いで取り出すものの果たして効果が現れるかどうかという問題もある

――そういえば以前手に入れた魔力上昇剤は使えないんだろうか……?ふとその考えが浮かんできた途端すぐにポーチに手を入れると案外近くにあって安堵しながら取り出すこと自体は出来たんだがこれを飲んでも良いものなんだろうかと悩み始めて動けなくなっていたときに……突然私に誰かが迫っている気配を感じたことで思わず後ろへ回避することを選んだのだが直後そのすぐ側に黒い槍のようなものが地面へと刺されてしまっている事に気が付けば更に困惑してしまうと同時にその相手の姿を見る事が出来ないまま私は走り続けることになってしまった しかもそれが何処から迫ってくるのか分からない以上避けることだけに全力を傾けることになり無闇に移動を繰り返しながら逃げ回り続けてた――それも数分程度の話だが逃げるにしてもいつまでも続くものではないと思っていた最中、とうとう体力の限界を迎えてしまいその場で座り込んでしまうように倒れこんだところを狙ったのか分からなかったものの上から攻撃を仕掛けようと近づいて来る事が分かっているため もうこれ以外に道はないと腹を決めるしかなく一気に呑み込むかのように薬を飲み干していくことにした……しかしどういう訳か特に身体に変化が無いまま変化が起きず逆に飲み損になったんじゃあなかろうかという疑念を抱き始めている所に再び攻撃が仕掛けられ始める。ただでさえ厄介だというのにこんな状況化の中で一体どうやって反撃していったら良いのでしょうか……でも今はそれを考える余裕さえ失ってしまった為か何も思いつかず私はまたひたすら避け続けたのだが遂に地面に手をついてしまうほどの隙が生まれてしまったところで敵の鋭い牙のようなものが迫ってきていることに気づき恐怖しているうちにそのまま食われそうな状態に……ところが私の目の前には突然白い影が現れそれに気が付いたときには敵が倒されておりそしてそこには先程見たはずの姿が視界に入りこんできていて何故なんだと思った。

ただ 彼女が私に問いかけてくるような形で声をかけてきたおかげでどうにか私自身も意識を取り戻し始めていき何が起こったのかを確認しようとしたが黒龍の方を見やるとまだ意識が戻っていない状態のようで寝ていたままだった。そのため私は咄嵯の判断により彼女を庇うように身を挺していき黒龍の代わりに攻撃を受けたのだが……思っていた以上に衝撃がありそのまま倒れてしまった……そこでついに痛みを感じ始めた瞬間私の思考が再び途絶えていくことになりかけたのだけれども今度は突如と聞こえてきてくれた小さな少女の声で我に戻ることができた。するとそんな彼女は私を守るような体制に入ってくれた。そして次の瞬間、巨大な腕が伸びていく光景が見え私は思わず目を閉じてしまっていたが――何故か敵の攻撃が当たらないうえまるで風によって弾かれる水のような現象が起きている事に違和感を思ったりなどしていた……正直、私よりもこの子の方を守りたい気持ちが強いためにも……このままずっと傍にいる事を選んでもいいんじゃないかと思っている、ただ一つ疑問点が有るとしたならそれはどうしてここにあの子が居たんだってことであるが。

(でもこのままこうしてるのはまずいと思う……。黒龍様の身に危険が生じる可能性が十分有り得るし……まずはこの子を避難させないことの方が重要だと思える……それにしてもありがたすぎる話である事は事実だし今は頼らせてもらうしかない)

それからしばらくの間は攻撃をひたすら耐え続けていた、どうやら何かしらのスキルを彼女は使えるらしく敵の攻撃を弾いていたからだ。だがやはり完全に黒龍が元通りではないせいなのか徐々に劣勢状態に追い込まれており少しずつ体力が落ちていった結果ついには彼女を守ろうとしていた筈の私が庇われるという事態に陥った。

流石にこれは不味いと判断し黒龍を起こし治療を行っていく為にその場から離脱して安全な位置まで移動することを選んだその時のことだ――黒龍が目覚めた時には既に全てが終わっており黒龍曰く私が気絶した後に突然起きたというのだ、それだけでなくこの空間の中に新たな魔物が出現したことを教えられたあと改めてお礼を言いたかったがもうその人物達はいなくなっていた 。

とりあえず一旦休憩を挟みたいという話をしてからここで休息を取る事になった。さすがに見栄を張ってるわけにも行かずこのまま連戦になれば非常に困るため少しでも休ませておく必要があったためだ(本当はもっと彼女の傍にいたいと内心思ってたりしてるがそこは敢えて我慢しておくことにする……)。しかし今回の戦闘でかなりの傷を負っているため完治させなければならないため暫く時間がかかると予想していたためしばらくはこの場で待機する必要があり……ついでということで少し周りを見て回りたいと申し出たため護衛として同行することとなった。

その際にこのダンジョンの異変を調べる必要性があった。まぁ本来であれば私自身のレベルを上げないと先に進めないため探索する必要があるというのはあるけれど……黒龍の怪我もあるから出来る事だけやれる範囲でやっておかなければいけないと考えつつ進んでいくと次第に敵が多くなってくる傾向にありさらに面倒くさいことにトラップも多い場所が増え始めていたためか自然と緊張感が高まり続ける中、私は警戒しながらも辺りを見ながら歩いている内に何かおかしなことがある事を感じ取れたことで立ち止まり注意深く周囲を調べようとする。

何故おかしいのかと言うのはその違和感の正体自体が見つからない事が一番の問題だったりする――つまり何者かの存在を確認することが難しくなっている事に気づいたんだ。

いくら魔法による索敵を行ったとしてもこれだけ敵がいるとなると逆にどれくらい近くに居るものだろうかという考えに陥っているため下手したら自分の背後にいたりすることもあるから気をつけるよう促しながら進んでいたがどうしても不安になる部分は払拭しきれずそのまま進んでいる中でふと嫌なことを思い出してしまい背筋がぞくっとなってしまったことを気付かれていないか焦っていた時のことだった。突然背後の方角からも気配を感じたので慌てて振り返ったがそこには誰もおらず安心したところだが次に足元を見たところ奇妙な足跡が残されている事を知ることとなり何やら罠が仕掛けられていたのではないかと思ったのだがそれがどのようなものなのか確認できず困惑した。

そして同時に周囲に変化が無い事を悟ればここは引き返した方が良いと判断した所で、急に目の前に現れた相手のせいで足を止めざるを得なかった、それも黒い翼を広げた女性らしき存在がそこに現れた事により余計な問題が増えたように思えた瞬間である――そもそも何故こんなところに女性が平然と姿を現す事ができるのか、明らかに怪しい奴なのは間違いないのでもしかすると先程のモンスターの仲間かも知れないと思ったので注意するように伝えると同時に構えを取っていた……ただそんな時の出来事であった……。

(こいつッ!?)私はこの時感じ取った妙な雰囲気を感じ取ってしまったことから彼女が敵であるという確証が取れたのでどうにかしないとと思って身動きをしようと動くもののそれよりも前に私の前に出た少女は咄嵯に飛び出していき黒き鎌を持った手を大きく振りかぶったまま大きく回していった途端に発生した突風によりあっという間に吹き飛ばされてしまったかと思った瞬間……その一撃を受けたはずの女の姿は霧のように一瞬で消え去って行った。

ただそれを見届けただけでは済まず彼女は空中で回転しつつ落下していき受け身を取ろうと身体を動かしていたみたいで……そしてなんとか地面へ激突することなく上手に着地をする事に成功をしていた。

ただし地面に接触してしまった際の衝撃が酷かったのかかなり苦しそうな表情をしている状態で着地をしたらしく痛みが治まるまでは動こうとしないでほしいと思っていたところで彼女に近づいてくる男が現れた。私はその姿を確認しただけでそいつが先程戦ったあの男の仲間だという事が理解できた為、すぐに剣を引き抜くような動作をし威嚇行動をすると男は苦笑しつつも近寄ろうとしてきたがそれは叶わなかったようで彼女が怒りの言葉をぶつけていたから、当然そんな反応をするものだとばかり思っていたが、それでも男は怯むことなく余裕を見せていた上にこちらには目もくれないかのように黒龍の事を見つめたままだった

(一体……何を見ている?)不思議とは思いながらもその男を睨みつけるようにして眺めていたが彼女は特に何も言わずにただ男の方を凝視していた事で違和感を感じ取ることができたわけで……。しかも私の事など興味がないかのような態度を見せている事からやはり何かがあるのだろうと考えてじっくりと監視をし続けるがこれ以上はどうしようもなかった。それによく見ると既にこの空間自体に何か細工が施されていることが分かりこの場所からは一刻も早く立ち去る必要があった。その為彼女を急いでここから引き返させる事にしようとしたが、そうする前に突如、私の近くに立っていた黒龍が立ち上がろうとしているのを見るとまだ戦い足りないと言った顔をしている状態だったためにそれどころではないと言いたいのを抑え込み……今はまず彼女の回復を優先すべきことだと思っている。そのためこの場では戦闘行為は控えるようにと言って聞かせた上で一旦戻り休憩を挟むことを提案したのだが彼女もそれを受け入れてくれており黒龍を連れてその場を去ることに決めた。……でも本当に良かったと思うよ、あのまま放置をしていればきっと彼女は無理矢理戦おうとした挙句命を落としてしまう危険が高い状況でもあったからね、黒龍に関しては大丈夫だと思うからあえて伝えなかった。

しかしこのままこの空間から脱出することができるかどうか非常に危ういと考えていたところだし正直言って難しいとも考えていたんだ……何しろ私達が通ってきた道が全て無くなっていたという出来事があったからである。つまりもし帰りもこの道を辿っていくとなると相当な労力を必要としそうな気がしてならなかったため今は考えないようにしていたが、これからどうしたものか悩んでいる中ようやくここで彼女の調子が良くなってきたおかげで少しだけでも休憩を取る事にした。さすがに追い返す事は出来ないし黒龍にも悪いと思った事も含めてだが……。それとここまで来ているからついでだといって彼女もここの調査に同行したいというお願いを受けてしまったため私は渋々了解した上で案内するのも兼ねて歩き続けることにした訳で……。

(本当は一緒に居られる時間が延びて内心喜んでいることは黙っておいた方が無難かな――っと、それよりも問題は彼女が見たという怪しい奴等についてもう少し詳しく聞き出さなければならないかもしれないな)

それからしばらくしてからではあるが改めて彼女は自分が出会った人物達についての話をしていく……ただしあまり詳しいことを話せないといった感じだったので分かる範囲内での情報を纏め上げていった。ただその内容が信じられないことばかりだと思わず思ってしまうくらいの物ばかりでとても信じろと言われても信じることはなかなかできない内容であり、むしろ冗談を言っているのではないかとさえ考えてみた。だってそうだろう?普通ダンジョンの奥地で出会った謎の集団がいると言う事なんてまずありえない事なのだ!だから仮に真実だったとしてどうしてこのような場所に出現したのか謎過ぎて頭が痛くなりつつあったし……。……とは言えここはあくまでも仮のダンジョンなので本来ここに存在しないはずの者たちが現れるのもまたあり得ないはずだと思っていた。なのにこんな異常事態が起きるということは恐らく……何者かに干渉されている可能性が高いと考えなければならないな――とはいえ一体どのような存在によるものか皆目見当つかないのだが、考えられるとしたら例の女以外にはないはず……まさか彼女がこんなところに出現させたとでも言うのだろうか!?それはあまりに荒唐無稽すぎて絶対にないと否定できる!!だが現にこうしておかしな連中に襲撃を受けた以上その事も考える必要がありそうだと思ってしまった瞬間である―

(まぁ、結局は憶測に過ぎないが可能性が無い訳ではないんだよな……。ただそんな事を考えだすより先ずはこの階層を攻略しなければ先に進まないというわけか……)そこで一つ気になったことがあり彼女は何かしらの特殊な能力を使うのかと問いかけるとそれに対して答えてくれたんだが、その際に一瞬で移動する事ができて攻撃を当てることも不可能に近いという説明を受けた時には言葉を失いかけたほど衝撃的な回答を得る事となった、もちろん私が聞いた情報の中にその件に関するものは一切なかったので驚きを禁じ得ない状況であったが逆に何故そのような事が出来る相手に挑もうと思ったかと聞くとこうやって鍛える事でいずれ追い付きたい相手が居るらしく少しでも実力を上げることで共に並び立てるようになりたいと語ってくれていたようだ……だからこそ尚更に彼女の思いが強く伝わってきたのだろうね。(そう言えばあの女が消えた直後にあった妙な雰囲気については何の事はなかったのだ……?)そう疑問を浮かべながら彼女にそのことを尋ねてみたところ「おそらくは……」と一言だけ発していたのだが、どうも彼女にとっても不都合が生じる行為であった為に起きた現象なのではないかという考察を聞いている内にも思った、だがそれにしてもおかしい事もあるもんじゃないか? 例えばその人物が何らかの理由で姿を消した後に発生したとすれば辻妻は合うような感じに思えるかもしれないのだが果たしてそういう事ができる者が存在するのかどうかは定かねる、少なくとも私には分からない事だが……いや待てよ。この場には今いないあの女性が関与していた可能性も充分に高いと考えるべきじゃないか?それであれば全ての状況の説明がつくようにも思える、ただここで気にすべきなのは彼女と一緒に遭遇した二人の人物である可能性が非常に高い。

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