第10話
家に帰ると俺はすぐに自分の部屋に引き込もった。父親がなにか言っていたが耳に入らなかった。昔プログラミングスクールに行っていた時の教科書を引っ張り出し、読もうとした。だが、読字障害のせいで内容が頭に入ってこない。それでも何かに取り組まないと、永遠にイケメン達を見返すことができない。奴らのほくそ笑む姿が目に浮かぶようだった。
それから一時間が経過した。教科書は一ページも読むことができなかった。ただ、イケメンの奴らと、今まで支援員から言われた言葉が頭の中を反芻して、死にたくなっただけだった。音楽をかける。音楽ならば読字障害は関係ない。そう思ったが、キモオタの俺は音楽すらもまともに聞けなかった。女子高生が言った言葉。「キモオタに音楽なんてにあわないよねー」
結局、曲も頭の中に入ってこなかった。ただ、自分の中のコンプレックスだけが浮き彫りになって、自分が何もできないクズであることを思い知らされただけだった。俺は悔しくて、うずくまって泣いた。しかし、それすらも、支援員の奴らは否定し、攻撃するのだろうとも思った。
楽園 BlackMercury @himagine88
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