第9話

昼ご飯を食べ、午後もその施設で作業をする。

 俺がプログラミングの勉強をしていると、めがねを掛けた利用者がこれ見よがしに人工知能の技術書を出す。女の利用者どもがその男に群がる。

 「俺はいま、人工知能の勉強をしていてね、パソコンもとてもよくできるのさ」すると、後ろにいたイケメンが言った。「俺もプログラミング勉強してて、ここに来る前自分でゲームとか作ってたんですよー」

 「すごーい!」女どもが黄色い歓声を上げる。俺は聞かないふりをして勉強を続けようとしたが、めがねを掛けた男は嫌らしい目をこちらに向けて言った。「あなたもプログラミングやるんですかー?」

 女どもが嘲笑ににた笑い声を上げる中、男は追い打ちをかけた。「どんな本読んでるの?

ええ?二進数もわからないの?へえー」

「二進数なんてプログラミングの基本ですよね」イケメンが言った。

 男が答える。「そうなんですよ。いやー、話のわかる仲間がいて良かった!」

 そして俺の方を一瞥すると、男は席に戻っていった。

 

 俺はすっかりやる気をなくしてしまった。俺にはプログラミングの才能もない。

 俺が二進数に苦戦している間に、イケメンは人工知能を作っている。支援員の奴らが俺を馬鹿にするはずだった。

 俺は呆然として施設のプログラムが終わるのを待った。

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