第12戒 ドキドキ家探し
陽炎達は不動産屋に来ていた。1度ギルドで聞いた場所だ。評判はいいらしい。
「それではあなたがたの希望の家を探します」
そう言って街の地図を水晶で透かして見だした。
「なんか見つかったか?」
そう聞くと急に黙り出した。多分何も無かったのだろう・・・。そんなことを考えていると不動産屋の男は言ってきた。
「これはすごいぞ!」
突然の大声に陽炎は後ろに転げてしまった。
「なんだよ急に!」
「見てください!この家を!」
そう言って見せられた髪を見ると豪華で使いやすい家が激安で売られていた。
「素晴らしい!この大きさと広さでこの値段、ぜひ買って頂きたい!」
「近い近い!近いしうるさい!ちょっと待てよ紙を見ただけで決めるか普通?実物を見せろよ」
「おっと、すみません。取り乱しましたね。では、実際に見に行ってみるとしますか」
「そうだな」
━━それから件くだんの家まで行った。その道中・・・
「なぁ、なんで2人とも喋らないんだ?」
陽炎は素朴な疑問を投げかけた。
「だって、私達が何か言ったら皆混乱するでしょ」
「確かにな・・・よくわかってるじゃないか」
「そこはそうじゃないよとか言うとこでしょ!」
「はいはい。そんなことはどうでもいいんだがな、今から行く家なんだがやばいくらい安いんだ。ぜったい何かあるぞ」
「私もそう思う。陽炎くん注意してね」
「お前らもな」
━━話をしていると家まで着いた。外見は普通の豪邸である。するとすぐさま陽炎は家の横側を見に行った。
「どうしたのかーくん?」
「いや、ハリボテの可能性があると思っただけだ」
「何をしているのですか?中に入りますよ」
「いや、悪い悪い」
それから30分家の中を見回った。特におかしいことも無く壊れていたりしてもない。話を聞いても事故物件だって言う訳でもない。
(これはいいんじゃないか?)
しかし、そんな考えはすぐに吹っ飛んだ。隠し通路かあったのだ。
(・・・)
「どうしたのかーくん?今日本当におかしいよ」
「・・・」
「テムちゃん、どうしたの?」
「かーくんが、なんかおかしいの」
「陽炎くんどうしたの?傷が痛むの?」
「・・・ちょっと俺もうちょっと見たいところが出来た。あの人にもう少し見てくるって伝えておいてくれないか?」
「いい・・・けど、どこ行くの?」
「ちょっとな。この家にいるから大丈夫だよ」
「んっ。わかった気をつけて陽炎くん」
そう言って3人は別れた。そして、皆がいなくなったのを見て隠し通路を調べた。
(ここに何かある。それが分からないと決定は出来ない。恐らくあの男は知っている。知っててなおこの家をおすすめしてくる)
「何がここにあるのか知ってからじゃないとな・・・。・・・よし、ここをこーしてこーなってこうだ!」
ガチャっと言う音ともに扉の鍵か開いた。扉を開けると階段があった。すごく長い階段だ。ずっと下に続いている。1番下に向かって歩いた。下に行く事に威圧感が増している。それでも下に向かって足を進めた。
━━━━━━━━━━━━どれだけ下に行っただろうか。長い間降り続けたが一向に下につかない。しかし、それも終わりを迎えた。下が見えてきたのだ。飛び降れそうな高さに来た時に陽炎は下に飛び降りた。
「さて、何かあるのやら・・・」
当たりを見回したが何も無い。強いて言えば人1人入れそうな扉が一つだけある。鍵はかかっていない。
「・・・」
(ここに入ったら何があるのか分からない・・・でもこの先が安全だという保証は無い)
少し考えてドアノブに手をかけた。そして、扉を開けた。そこには意外な光景があった。
「・・・君は誰だ!?」
そこには女の子がいた。白っぽい灰色の髪で人形のような可愛く整った顔。身長は陽炎好みの高さだった。しかし、その目には光がなく、服も着せられてはいるが汚い布のようだ。・・・ていうか服じゃねぇなこれ。汚ぇ布1枚だけかよ。
「君はなんでこんなところに・・・!?」
よく見ると手足に枷のようなものが着いている。そう、拉致られたのだ。すると女の子は小さな声で言ってきた。
「逃げて!あの人が来る前に逃げて!」
「おやおや、ここまで来るとは・・・見られたからには生きて返す訳にはいきませんね」
後ろかそう言って出てきたのはなんと不動産屋の人だった。
「ザ、ヘンタイって顔してるな。あんたこういう趣味の持ち主だったのか?」
「なんとでも言いなさい」
男はにやけ顔で言ってくる。しかし、普通の犯罪者とは何か違う。
「まさか、この隠し通路か見つかるとは思っていませんでしたよ」
「いや、バレバレだろ。見つけてくださいと言わんばかりの隠し方だったぞ。鍵もすぐに解錠できたしな」
「そうですか。侮ってましたよ。ではあなたを・・・」
「はぁ、もういいだろ!嘘はつくなよ」
「どういうことですか?」
「はぁ、もう大丈夫だよだってことだ。盗聴していた魔法は解除させてもらった。出入口も塞いである」
すると不動産屋の人は急に口調が変わった。
「やっとですか、疲れましたねぇ〜。本当にもう心配で心配で夜も眠れなかったんですよ」
「何がだ?それにこの子は誰だ?」
「この子は私の子供です。実は少し前になぞの女に捕まってここに監禁されてました私はそのお目付け役です」
「逃がそうとしなかったのか?」
「そんなことをすれば殺されるのがわかってましたから・・・」
「そうか。なら、早く逃げた方がいいな。すごい殺気がこちらに向かっている」
「え!?何故ですか!?」
「恐らく、俺が隠し通路を見つけた時点で殺すつもりだったんだろう。だが、これはその女の子ではないな。どちらにせよ、2人を守りながらこの狭い場所で、だときつい」
すると女の子が話してきた。
「あの・・・私はいいです!どうせこの枷を壊さない限り出られないんです」
「それか?」
「そうです。この枷は何をしても壊れないんです・・・」
女の子は諦めたかのように地べたに座り込んでいる。陽炎は女の子に近づくと枷を見た。そして不敵に笑った。
「これくらいなら壊せるさこっちに来て鎖を張ってくれ」
「え?」
「早くしろ。あと五分で到着する」
「は、はい!」
「”リトルグロウアップ・エンシェントツリー”」
そういうと少し小さい古代樹が生えてきた。そこに手を触れると少し木の1部を壊した。
「”
陽炎は古代樹から剣を作り出した。
「いくぞ、”
甲高い金属音とともに鎖は切れた。しかし剣の方も炎が燃え広がって灰になってしまった。
「やっぱこんなもんか・・・。古代樹とはいえ木だしな。炎系統の魔法には弱いのかもしれないな」
女の子は未だ状況が掴めていない。
「”コネクトツリー”・・・さ、逃げるぞ。早くしろ、戻ってくるからな」
「う、うん・・・」
陽炎は女の子の手を握った。不動産屋の人は腕を掴んだ。そしてそのまま木の中に入っていった━━━━━━━━。
「かーくん、遅いね」
「んっ、そうだね。何かあったのかな?」
「ただいま」
突然後ろから陽炎の声が聞こえてきた。2人は驚いて転げてしまった。
「え!?なんで後ろから来るの!?」
「後ろから来たらダメなのか?」
「え、いや、ダメじゃないけど・・・そういうことじゃないよ!」
「ごめんごめん。ちょっとおちょくっただけだよ。後で話すから許して」
「もぅ、そんな顔されたら許さない訳にはいかないじゃない!」
「それで陽炎くん、何があったの?その女の子は?」
「話はまた後でする。今はここから離れるぞ”リトルグロウアップ・エンシェントツリー””コネクトツリー”」
陽炎は流れるように木を生やした。
「さ、入れ」
そしてギルドの近くの木まで移動した。
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