掃除

 何故か週末に山城君が僕の家に来てくれることになった。ちゃんと生活できているか心配とのことだった。

「汚ねっ」

僕のアトリエ兼自室に案内するなり、山城君はそう言った。

「……そうかな?」

 書き損じのスケッチがちょっと置いてあったり、朝半分食べたドーナツが置いてあるだけだけれど。

「とりあえず片付けるぞ!」

 山城君は家から持ってきたエプロンを着て、マスクを付け、頭にバンダナを巻いた。

「掃除機ないか?」

「ええっと……、確か、ここに」

「箱から出してもないのかよ! こんな良いっ、吸引力の変わらないやつなのにっ」

「ごめん……」


 山城君は掃除機をかけたり、色々拭いたり、ゴミの分別を、本当によくしてくれた。

 家主の僕以上に働いてくれた。僕は本当に役立たずで、申し訳ない気持ちで一杯になった。


「これを維持するんだぞ!」

「うん」

「それから、学校ある日は俺がお前の弁当を作ってやるから、コンビニばっかりは無しな」

「そんな、悪いよ」

「別に一人増えるくらい構わねえよ」

「本当にいいの?」

「ああ」

「ありがとう」

 そう言って、山城君は帰って行った。

 僕は、綺麗に片付いた部屋を見渡す。

「これを維持しろ」と言われたので、頑張らないと。

まずはゴミをゴミ箱にちゃんと捨てるところからだ。


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