昼ご飯

数年後。

僕は高校生になっていた。


昼ご飯は一人、学校の裏庭で食べる。

蔦で隠されたベンチは良い日よけにもなった。雨が降っていなければ、いつもここで昼休みを過ごす。自分以外を見かけたことはなく、中々の穴場であった。

 食べるのは大抵コンビニのパンかおにぎり。栄養面については考えていない。一人暮らしならば自炊の一つでも覚えるべきなのだろうが、そもそも自分の家には炊飯器も、まともな調理器具もない。かろうじて電子レンジと、自分の身長の半分ほどの小さな冷蔵庫があるくらいだ。

 昼ご飯を食べ終え、「日課」を始める。制服の内ポケットからメモ帳と鉛筆を取り出し、適当にスケッチをする。今日は何度目かのハコベラ。この辺りの植物は粗方描き尽くしてしまった。別に対象が目の前にないと描けない訳ではないが、短時間のスケッチにはちょうどいいのだ。

 本当は次の展覧会に出す絵の構想を考えないといけないのだが、難航している。


 今日も、良いアイデアが浮かばないまま、予鈴の音が聞こえた。

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