告白

 木造建築の旧校舎の2階の女子トイレの奥から2番目の個室。そこに彼女は今も居る。いわゆるトイレの花子さんというやつだ。

 僕がそこに通うようになってもう1年になるだろうか。

 最初はよくある怪談話に興味を抱いたからだった。僕自身身近にそういう話があるので、単純に気になったのだ。

 通ううちに彼女がどんどん気になっていった。気になるというか、彼女のことを思うと不思議な気持ちになる。この気持ちがなんなのか分からない。友人は「それが好きになるってことだろ」と言っていた。

 この気持ちを彼女に伝えると、種類が違うとか、寿命が違うとか、釣り合わないとか、と泣きじゃくり、最終的に「人間じゃないから、一緒にいられない」とトイレットペーパーを投げつけるだろう。容易に想像出来る。

 彼女が好きだ。一緒に居たい。

 彼女が泣くことになってもこの想いと僕の秘密を打ち明けよう。

 いつの間にか脚は彼女の個室へと向かっていた。

 彼女に逢ったら、僕は笑顔で言うんだ。

 ーーー僕はあなたが好きです。あなたと一緒にいたいです

「実は僕、人間じゃないんだ」

END

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