第2話

まさかコンビニで華さんと会えるとは。中学が同じだから生活圏が被って可笑しくはないが。それでも奇跡と呼べよう。しかもあの微笑み天使かよ。俺はアイドルオタクでもあるが、それに負けず劣らずの可愛さだ。


「よう華さん。華さんはなにしにコンビニ来たんだ?」


「私はアイスを買いに来たんだよ。最近暑くなってきたからね」


もうすぐ夏だからな。今は六月だが。来月には夏の大会が始まる。俺もレギュラーだから先輩達にいい思い出が作れるように頑張らないとな。華さんが見に来てくれたらもっている力の倍はでるんだが。


「そうだな。夏が近づくと甲子園を思い浮かべるな」


「そうだね。長崎くんは野球部だよね。応援してるよ」


ここで見に来てと言えば来てくれるだろうか?だがこんな暑い日にわざわざ来てくれ何て言えないよなー。女子だから日焼けとか気になるだろうし。


「ありがとう。一回戦テレビで放送されるから是非見てくれ」


これが妥協点だろう。テレビの前で応援されているのとされてないのでは違う。見られていると言う感覚が生まれるからな。一回戦は中堅チームとのだからそれなりに見ごたえはあるだろう。


「テレビでやるんだ。テレビの前でタオルもって応援してるよ」


タオルもっているって愛校心高い。それとも高校野球ファンなのか?華さんだったら間違いなく公式マネージャーを勤められる。というかうちの高校のマネージャーをやって欲しい。


「たぶん俺はでるから頼むぞ」 


「じゃあそろそろ行くね。また明日学校出会おうね。ばいばい」


「ああ、じゃあな」


華さんはさっと会計をして、コンビニを出た。おかしなにを買おうか。チョコにしとくか。二個ぐらい買っておこう。お菓子を買う理由は鈴の告白を眺めていても暇だからである。いつでもでれる準備はしておくが。


俺は家に帰ると、制服から私服に着替えて、上の台公園に向かった。そこにはもうすでに鈴がいた。話しかけようと思ったが、ちょうど明田が来たので、俺は茂みにかくれた。


鈴は緊張した面持ちだが、俺にしか分からない程度のものだ。明田は気づいてないだろう。そして自分なら成功するというか苦心を持っているのか笑みを浮かべている。イケメンは自意識過剰なことがある。明田はルックスだけならイケメンだ。だがよくない噂もよく聞くが。例えば告白を振った女子をいじめて転校されたとか。


「鈴俺と付き合ってくれないかい?」


そんなに仲がよくないのに下の名前で呼ぶとか、リア充あるあるだな。俺もよく使う。陰キャなときだったときはなんでだろうと思っていたが、その方が距離を詰めやすいんだよ。


「ごめんなさいにゃ。私好きな人がいて付き合えないにゃ」


え?好きな人いるの初耳なんだが。それとも断るための常套もんくか。俺が聞いたことないんだからたぶんそうだろう。明田はどうでるか。憎らしげな表情を浮かべたあと、ニヤッとした。


「ふっそのつもりならこっちにも考えがあるよ。おい、喜久田達出てきていいぞ。無理やりやるまでだ」


「こんな美少女とできるなんて、明田さんと仲良くてよかったわ」


「美少女と無理やりとか興奮するわ」


柄の悪い二人組がでてきた。肩にのせた小型カメラをオンにした。どのタイミングで現れようか。


「いや、やめてにゃ」


「おいそこまでにしろ」


俺はタイミングを計っていたが、鈴の悲鳴を聞き咄嗟にでていた。まずは一回殴られるか。そこから反撃しても大丈夫だろう。男達は驚いている。だが一人と分かるとニヤッとした。


「一人だけかよ。しかも長崎とはな。さすがが貴公子だな。ここで助けにはいるとは。だがこの人数で勝てるとでも」


「余裕だな。素人が何人いようが変わらないわ」


10人くらいならなんでもない。それ以上だと厳しいが。まずは殴られるか。じゃないと正当防衛にならないからな。すると真面目な顔になり殴りかかってきた。そして俺は殴られて、地面とキスをする。


「はははは大したことないね。大口を叩いた割にはね」


「ふっこれで正当防衛だ。お前らじゃ俺には勝てないぞ」


これ言ってみたかった台詞なんだよな。悟空がこれを言って強者だなと思った。すると急に明田は笑いだす。まるで勝利を確信したようかだ。油断は大敵だぞ。


「ふっ」


俺は素早く立ち上がり鳩尾に手下の一人にパンチをいれる。するとそいつは鳩尾を押さえる。その隙に他の男にも目に止まらぬ早さで手刀を後頭部にいれて気絶させる。


「くそっなんでだ人数だけなら俺達の方が多いのに」


「人数だけで決まらないこともあるってことだ。素人が手下なのが負けるのが決定していたんだよ」


「くそぉぉぉー」


闇雲に殴ってきたのでそれを首を動かし避け大事なところに蹴りをいれて、悶絶してる最中に背負い投げて地面に背中から思いっきり落とした。


「ぐっ」


そして足をばんと顔の横に落とす。するとひっと悲鳴を上げた。これでもう明田は反撃をしてこないだろう。


「まだやるか?」


「お前を訴えてやるからなぁぁ」


そう言って大事なところにを押さえながら去っていた。無駄だが。証拠はとっているしな。せいぜい親にすがり付くんだな。今までのように。明田は今まで親にやってきたことを揉み消してきたんだろうが今回は無駄に終わるが。










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