宿を探しに行きます

ギルドを離れて市場とは反対の方向に向かっている。

看板に宿屋街と書かれていたので、そちらに向かえば確実にあるだろう。


『シリウスって空飛べるのか?』


『一応飛べるよ。飛ぶことはほぼないけどね』


『前に飛行魔法覚えたんだけど、一回も使ってないんだよな』


『転移の方が早いと思うよ』


『そうなんだよな。自分自身の魔力が多いと転移魔法に使う魔力を、ケチらなくて済むからな』


飛行魔法と転移魔法があり、移動には飛行魔法を使う人の方が多い。

飛行魔法の方が魔力の使用量が少ない。

それも覚えるのは飛行魔法の方が簡単という理由で、転移魔法を使う人はほぼ居ない。


『シリウス、宿は別々の部屋で良いよな?』


『君と同じ部屋でも良いよ。なんなら宿取る必要あるかな?』


『まぁいつもの空間で寝るなら正直に行って宿を取る必要は無いな』


シリウスといるいつもの空間には、もはやベッドなどの家具も置いてある。

シリウスはもう誰も転生も転移もさせる気が無いようなので、どんどん部屋みたいになってきてしまっていた。


『やっぱ異界にまた来たのに、毎回あそこに戻るのは意味なき気がするからな』


『そういえばここの通貨は君が居た時と同じ?』


『そうだな、通貨は同じなんだけど、物の料金がいまいち変わってるのか分からない』


『普通なら多少変わっていると思うけど』


そんな事をしながら宿屋街を歩いて行く。

高そうな宿なら普通の宿まで、さまざまな値段帯の宿があるが、正直どれが一番普通ぐらいの値段なのかは定かでは無い。

なんなら外に値段を書いてある宿の方が珍しいみたいだ。


『シリウス、とりあえずここの宿に入ろう』


『君が選ぶなら私はどこでも良いよ』


俺とシリウスは建物の中に入ってみた。

そして奥から小学生か、中学生ぐらいの子が走ってきた


「こんにちは‼︎二人ですか?」


「二人だよ、部屋って空いてるかな」


「空いてるけどいくらか分からないからお母さん呼んできます」


また走っていった。

めちゃくちゃ元気な子だな、曲がり角転びそうになってたけど大丈夫なのか。

そしてすぐに親だと思われる人を連れてきた


「この子がすいません、それでお二人様で宜しいですか?」


「そうですね、二人で…」


『シリウス、何日間泊まるか?」


『分からないから1日更新で良いんじゃないかな』


『確かにな』


「1日ずつ更新で泊まれますか?」


「それは何日泊まるか分からないと言う事でしょうか?」


「その通りですね。俺達は旅人なので」


「朝に言ってもらえれば大丈夫です」


旅人って言い訳使えるよな。

これから何困った時は使っていこう。


「分かったそれで1日の料金はいくら?」


「一部屋に二人まで泊まれて銅貨50枚です」


「分かった、多分ピッタリあると思う」


俺は銅貨50枚を渡す。

前に異界にいた時も、銅貨50枚近くの宿が多かった事から、普通ぐらいの宿は前とあまり値段が変わってないのだろう。


「朝食も付いてるから7時に一階の食堂に来てください」


「わかりました」


「お姉ちゃん可愛いね」


宿屋の子供がシリウスの方を向いていった。

確かにシリウスは側から見たら、超が付くレベルで美人だと思う。


「ありがとう、私の事を褒めてくれて」


「それではこれが部屋の鍵です」


「一度俺達はギルドに行ってくるよ」


「はい、いってらっしゃいませ」


俺とシリウスは宿を出てもう一度ギルドに向かった。

先に宿取る必要無かったかもしれないが、現代の宿屋みたいに後からとっても先にとっても、相当な事がないと変わらないので良いとしよう。

てかシリウスは、人との会話の時全く喋ってないな。

もしかして人見知りか?


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