(プロローグ貮)また会ったな

俺は天使か神か分からない奴に、異世界に飛ばされて激動の時代を潜り抜け何百年も過ごし、最後には老衰で死んでしまった。

医学よりも魔法が発展してる世界では大抵の病気は魔法で治すことができ、老化もおくらせたが老いには勝てなかった。


そして現在、懐かしい真っ白い空間にまた飛ばされていた。

死んだらここにスポーンするようになっているのか?


『お久しぶりだね。異世界は楽しかったかな?』


「何百年ぶりに見たのに、お前は変わってないのか。まぁ異世界は楽しかったよ」


『途中で何回か君の人生を覗き見してたんだけど最初の頃は大変だったみたいだね』


「混沌とした時代だったからな」


『これを乗り越えた後は研究に没頭してたみたいだけど』


「錬金術師と結束術師とかいう珍しい奴らあってしまったからな。研究が面白くて仕方なかったな」


『亡くなる寸前には、古代の魔法の研究もしてたね』


「古代魔法は詠唱までの時間が極端に少なかったり、無詠唱で出来たからな、それが気になって研究してた」


こう話してみると異世界に行ってから、ほぼ研究しかしてない人生だった。

特に女からモテた訳でもないし、貴族のように巨額の富を得たわけでもない。

なんなら研究者としても無名の存在だった。 

学術的な事を一切発表せず自分が楽しければそれで良いし、それ発明で便利になれば尚更良いと考えて居た。


『さて君には元の世界に戻ってもらうよ』


「ほう、それは未来か?」


『勘が良いね、君が居たの時代から何十年も経ってる世界に、送るよ』


「あっちの世界でもどうにかして魔法の研究をしたいな」


『君、社畜時代から変わってなくない?』


「そうかもしれない。まぁ追求することは悪い事でないし良いのでは?」


『確かにそうなんだけどさ、てかそれはさておき、君にこれを渡しておくよ』


俺は目の前のやつから、指輪らしき物を貰った。銀色に輝いて居て特に変哲も無さそうな普通の指輪。

異世界でも似たようなものはあった気がする。


『それはここに来ることが出来る指輪だよ』


「ならここに研究道具とか置いて良いか?」


『まぁ良いよ、君以外‘僕が‘呼ぶことは無いし』


「それさ、他の神とかの召喚に巻き込まれる可能性はあるって事か?」


『つまりそういう事だね』


「それはそうなった時に考えるとして、 俺はお前の名前をまだ書いてないんだが」


『私の名前はシリウスだよ』


「分かった、それじゃあ元の世界に転移した後また来るから」


『分かったよ。待ってるね、今から転移させるから』


俺の足元の下に魔法陣が浮かび上がってきた。

何百年か前に見た光景だが、またみる事になるとは思わなかったな。

そして俺は目の前が真っ暗になった。



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