異界から帰ってきたのにまた異界ですか?

大坂

(プロローグ壱) 異世界に飛ばされるそうです

さて、俺は何故か真っ白い空間に居る。

さっきまで常磐線の上野行きに乗っていたはずなんだが、南千住あたりで寝てしまったので、その後どういった行動をしたのか。思い出せないし覚えていない。

明日も出社時間早いのに、こんな所で使っている暇は無い。


『やっと、起きてくれたのか』


真っ白い空間の中から声が聞こえてくる。

そして目の前に、羽の生えた女性が現れてきた。

まさかこいつは天使か何かなのか?

こいつがもし、天使ならここは天国と言うことになるのか。

てことは俺は常磐線に乗ってたら、死んでしまったことになるな。

………そこまで死ぬほどの満員電車では無かった気がするのだが、殺人列車と言われるほどだしな。

死ぬ事も無きにしも非ず。


『おーい、もしかして私の声聞こえてない?』


「そのデカい声は聞こえているが?」


『ならなんで無視したんだよ』


「お前の事よりも会社のことの方が重要だからな」


『社畜だねってそんなことは良いんだよ。ここ何処か気にならないのか?』


「天国か地獄のどちらか」


『少し違うね、ここは私の世界。君をここに連れてきたのは、他の世界に行ってもらうためだよ』


「つまり?死んだから生まれ変わり的な事をしろと?」


『大方正解、違う点は生まれ変わるというよりは転移に近いかな』


生まれ変わりは、文字通り新しい体になる的な事で、転移は場所が変わるという意味の方が強いはずだから、この体のまま飛ばされるということかな。

それ下手したら死ぬことあるのでは無いだろうか。まぁもう死んでるんだけどな


「嫌だと言いたいところだが、死んでるのでは選択肢はないな」


『理解が早いようで助かるよ』


「それで転移の世界はどんな感じなんだ」


『君に行ってもらう世界は、魔物や魔法がある感じだよ』


「魔物とは、妖と同じか?」


『結構違うね、後は君に能力を授けないといけないんだけど、何か希望とかある?』


「先にここに来たことがある他の奴はどんな能力を希望したのか。教えてほしい」


『残念ながら、君が僕が呼んだ中では一人目だよ』


「不名誉寄りの名誉だな」


この天使か神か得体の知れない奴に呼ばれた最初の一人目とは思わなかった。

能力なんて何も思いつかなかったから聞きたかったのだがな、今日はとことん運がついてないな。


「分かった、おすすめのものとかある?」


『日替わり定食がおすすめだよ』


「…天使とかって飯食うの?」


『美味しいものは食べるよ』


「半分娯楽に近いって事か?」


『そういう事、まぁ本当に適当に付けて良いなら、僕が決めるけど』


「それで良いよ」


『なら君を転移させるね。良い異世界ライフを』


俺が立っていた所に、模様が浮かび上がって、その次の瞬間、目の前が真っ暗になった

こうして俺はよく分からない世界に飛ばされ異世界で生活をしていくことになった。

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