第4話 異世界初日から貞操の危機っ⁉︎
「あっ…ちょ、ちょっと待ってください‼︎」
その行為を止めようと、慌てて日本語が口から出る。
なんという急展開…っ‼︎ 部屋に入って来た絶世イケメンエルフさんと、いきなり衝撃展開に陥っている私(あ、いや僕か)
言葉が通じなくても『辞めて』という意図は伝わるだろうと思ったのだが、相手の動きは止まらない。異世界で目覚めて、しょ、初日から…こ、こんなピンチになるなんてっ‼︎‼︎ というか、もしかしてこれはBLイベントかっ⁉︎
ー「◯◯◯◯っ…」
低音の綺麗な声が私の耳元に響き、まるでアンティーク人形の様な銀色の髪の毛が私の首を撫でるように落ちてくる。
『っ…‼︎‼︎ あわわわわわっ‼︎‼︎』
こ、心の中で思い切り叫んでしまったが、これはいかんっ‼︎ こういう時こそ落ち着かなければ…っ‼︎‼︎
えっと…い、今どういう状況かと言うと…椅子から落ちて尻餅をついた状態の私をみて「大丈夫か?怪我をしたのか?」という感じで(たぶん)話しかけてきて、それに対して私が、お尻をさすりながら「あ、ちょっと尻餅をついただけです(言葉通じないだろうけど)」と返したら…
な、なななななんとっ…ヒョイと体を持ち上げられ、ベットの上に…うつ伏せにされ…そ、そして︎「◯◯◯◯っ」と話しかけてきて…。それに対して、言葉が分からないし、どうやって反応していいか分からず固まっていたら…(いやそもそも、こんな絶世のイケメンに話しかけられて、普通に言葉を返せるはずがないっ‼︎ )
覆い被さる形で絶世のイケメンの体と美しい声が近づいたかと思うと、大きくて冷たい手が私の首や肩…つ、つつ遂には、尻の方を触ってきて、ズボンを引き下げようとしてきたのであるっ‼︎
って、これは流石にダメだろっ‼︎‼︎(まだ心の準備が出来てなーいっ‼︎‼︎)
「お、おおおお尻はダメですっ‼︎‼︎‼︎ まだ転生初日で心と体の準備が出来てませんっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
…。
思わず叫んでしまった…が、これがBLイベントなら、たとえ出会ったばかりで、現実にそんな事起こったら犯罪だろう‼︎とツッコみたくなる様なことが、「魔力供給」的な感じで普通に起こり得る…かもっ‼︎‼︎
いやしかしっ‼︎‼︎ いくら超絶マジイケメンのダークエルフだからといっても、今ここは、私の現実だ。現実問題この体で受け入れるとか絶対無理だろうっ‼︎‼︎
……。
い、いやでも…こんな超絶イケメンに迫られるとか…まるで夢の様だし、ちょ…ちょっとだけなら…その、キッ、キスとか…ちょっと胸を触るとか…いやでも私…どうせなら、される方じゃなくて、み…見たいかも…いやだって…
…この正統派の絶世イケメンなら…きっと素晴らしい『攻め』である事は違いないしっ…という事は『受け』はどんな子なんだろ…年下、いや年上?…あっ‼︎‼︎ この世界なら人外か…っ⁉︎
って…あらやだ私ってばっ‼︎ こんな時に腐女子の血が騒いでしまって…って、
あ、今は腐男子か、あはは…
……
……
……?
あれ?そういえば…どうもおかしい…ズボンを引っ張る力を感じなくなって…
おまけにさっきから何かぶつぶつと小声で話しかけられている様な気が気がする。
…。
恐る恐る背後に顔を向けての様子を見てみると…
私のお尻(結局ズボンは履いたまま)は『ポワーン』とほのかに光り、その光を覆う様に手を添えているダークエルフさんと目が合った。
ー『……。』
そして溜め息つかれた。
そういえば…なんか尻餅の痛みが気にならなくなった気がする…治癒魔法をかけてくれていたのか…。
その後、治療を終えたダークエルフのお兄さん(たぶん普通にいい人だ…欲まみれの妄想してごめんなさい)は、テーブルの上に食べ物と飲み物(どうやら、元々はご飯を運びに来てくれたっぽい)を置いて
ー「○○○○」
と言って部屋を出て行かれました。
▲▽▲▽
「う…酸っぱマズい…」
異世界で食べた初めての食べ物は、なんだか酸っぱい味付けの肉が挟んである黒パンのサンドイッチだった。
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