第73話
さて、そんなわけで実技試験でこき使われることが決定した俺なわけだが、今は菫に教えてもらいながら参考書と向き合っている。
にしても数学ってこんなに難しかったっけ?公式があるとは言え図形とか難しくて草生える。
ん?そう言えば実技試験でこき使われるのは仕方無いけど、試験内容について詳しい話を聞いていなかったな。勉強も疲れてきたし、聞くか。
「なあ菫。勉強とは少し違う話なんだが、聞いていいか?」
「別に構わないけれど...何かしら?」
「いや、今年俺は実技試験を手伝うことになった訳だが、試験内容を詳しく聞いていないと思ってな。護衛や討伐はわかるんだが、より具体的な内容を書いておきたいんだ」
例えば、どんな妖を退治するのかとか、どの程度の難易度が普通なのかとか、な。
「そうね。貴方に手伝ってもらうのなら知ってもらっておいたほうが良いでしょうし、勉強の息抜きがてら説明しましょう」
「頼むよ」
俺がそう言うと、菫は隣に座り手に持った参考書を机に置いて説明を始めた。
「まず、試験時の班分けはくじ引きのようなものと言っておいたでしょう?」
「ああ、それで相性の悪い奴らが組むことがあるから監視や護衛を手伝って欲しいんだろ?」
「その通り。次に、実力も当然差があるわ。まあ、流石にくじ引きの前に大雑把に分けるから下の上と中の上が組むなんてことにはならないけれど、やっぱり差があるわ。具体的には同じ中の上でも経験の差によって咄嗟の判断や、実戦時の動きに違いが出たりするの」
「確かにそうだろうな。なんなら家格によって装備にも差が出るだろ?一般家庭出身なら高校が支給するらしいが、質は良くても普通の装備らしいからな」
「そうなのよ。まあ、そこら辺はこれまでも上手くやってきたからそこまで心配はいらないわ。次に試験内容だけれど、内容としては討伐であれば餓鬼を始めとした弱くて搦手などが少ない妖が対象...少なくとも中の中を越えない程度の妖が対象になるわ」
「そうか、でも少し不安だな。餓鬼はよく牛鬼や大鬼などの強い鬼の配下としている事もあるから、今のこの状況だといきなりそいつらが出てきても不思議じゃない」
前に、夜の草原で美雪と殲滅した群れも牛鬼を頭として餓鬼や中鬼など様々な鬼がいたからな。
「確かにそういった心配もあるけれど、試験をやらないわけにはいかないから監視と護衛を強めるしかないわ。そして次に、護衛は比較的簡単なものが多いわ。内容としては悪霊などに目をつけられた人を一晩守ると言ったものよ。悪霊の強さも中の下程度までだから油断しなければ問題ないわ」
それなら、まあ...なんとかなりそうだな。
「うーむ、取り敢えず一安心かな。それなら式神符や触媒を用意して式神を生み出せば十分対処できそうだ」
「そう?それならよかったわ」
「そう言えば、退魔師になる予定のない生徒...実技試験を受けない生徒は実技試験の代わりのようなものはないのか?」
「そうね、代わりと言うべきかは分からないけれど、退魔師として実技試験を受けない生徒は試験の間中、学校で試験勉強と小テスト漬けね」
お、おおう。それは中々...
「普通にやりたくないな。それ」
「ええ、毎年文句を言う生徒が出てくる程度には嫌がられているわね」
だろうよ。
「さて、休憩はここまで。勉強を続けるわよ」
「はいはい、わかったよ。はあ、面倒くさい」
前世で習ったはずなのに、なんで覚えてないのやら...
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「それじゃあ今日はここまで」
「あー、やっと終わったー!」
放課後になり、ようやく補修?が終わった。てかいい加減教室行かせてくれねぇかな?俺高校生ぞ?
「明日もあるからちゃんと学校に来ること」
「あー、わかってるって。それはそうと、俺はいつになったら教室行けるんだ?」
「あら?当分はいけないと思っておいた方がいいわよ?勉強は遠くないうちに追いつくでしょうけど、その後常識を叩き込むから実技試験までに終わるか分からないもの。あっ、言い忘れていたけれど実技試験は六月の初め。今が五月半ばぐらいだから半月後ね」
「嘘ん...」
マジかよ。実技試験がクラスメイトとの初対面になるのか?勘弁してくれよ。
「それと、今日はこれから私と街に行きますから勝手に帰らないこと。十分ぐらいだから待っていてね」
えっ?はっ?
「ちょっ、それってどういう...」
ガチャ
それだけ言うと、戸惑う俺を置いて菫は会議室を出て行った。
「このまま帰ってもいいが、明日が怖いしな。ここは大人しく待つとしよう」
あ、紅葉に連絡しておかないとな。忘れたら月読と一緒に二柱の神から説教を受けることになってしまう。それは勘弁願いたい。
にしても、ゲームストーリーが始まったからか、邪神以外にもあっちこっちで異常事態ばかり起きるし。本当、いい迷惑だよ。あと、原作主人公仕事しろ。
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追加:主人公は原作主人公が誰か知りません。そして、原作主人公は高校にはいますが現在では役に立ちません。レベル1の雑魚と思っておいてください。
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