第66話




 なんか燃え尽きてました(´・ω・`)





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チュンチュンチュンチュン


「これが朝チュンと言うやつか」


 朝起きた俺はそんなふざけたことを呟いていた。


「それにしても...最高だったな」


 俺は隣を見ながらそう呟く。


 隣には、美しい裸体を毛布で隠した紅葉が、静かな寝息を立てて寝ていた。


「可愛いなぁ...」


 俺はそう呟きながら、無意識に紅葉の頬を撫でる。


 昨夜は無我夢中だったが、改めて隣に紅葉が寝ているのを確認すると、大人の階段を登った実感が湧いてくる。


 そんなことを考えていると、頬を撫ですぎたのか眉を顰めた紅葉が目を開けた。


「んぅ、蒼夜ぁ?」


「おはよう」


 まだ少し寝ぼけているらしき紅葉にそう言えば、目を見開いて顔を赤くしながらも、腕に抱きついてくる。


「昨夜はとても可愛かったよ」


「い、言うでない...吾とて、あそこまで乱れるなどと思わなかったのだ...」


「まあ、確かに想像以上だったよ」


「うぅ〜」


 ふむ、可愛いな。いつもはキリッとしているからか余計にそう思ってしまう。


「紅葉、俺が十八になったら妻になってもらうからな?」


 俺は紅葉を抱き寄せながらそう言う。


 この世界では退魔師の家系において元服が十五歳のせいか、飲酒は十五歳から可能となる。ただ、婚姻は前世と同じで男女共に十八にならないと出来ない為、まだ当分は紅葉と結婚はできず、婚約者のままだ。

 それはそれでいいのだが、流石に少し歯痒く思ってしまう。


 そして、俺に抱き寄せられた紅葉は、更に顔を赤く染めながらも、笑ってこう言った。


「当然だ、むしろ蒼夜が吾のことを捨てようとしても、絶対に結婚するとも。だからこれからも吾のことを愛せよ?旦那様?」


「はは、勿論だ。それと、俺がお前を捨てることはあり得ないから覚えておく事。いいな?」


「うむ!」


 こうして気持ちのいい朝は、紅葉とイチャイチャしながら過ぎていった。







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「それで、今日の予定はなんだ?」


 俺が紅葉の作った朝食を食べていると、そう聞いてきた。


「んぐ...そうだな、特に予定はないが月読の依代を完成させるつもりだ。これ以上待たせると神として地上に来そうだし。俺の男としての部分がキレかねん」


 主に、女を待たせるとは何事だ、的な思考の部分が。


「まあ、確かに吾が蒼夜との初夜を迎えた以上、これ以上我慢はできぬだろうな」


 紅葉はそう言いながら、お茶を淹れてくれる。できた嫁である。


「ゴクゴク...だから、これを食べ終わったら早速取り掛かるつもりだよ。あと、美雪もそろそろ帰ってくるそうだし、もしかしたら今日かもしれないから、ご馳走でも用意したいな」


「それなら吾がいつ帰るかの詳細を聞いておこう。ご馳走に関しては材料も買わねばならんが、そこら辺は家の者に言えば準備してくれるか?」


「ああ、召使のまとめ役の婆さんに言えば全部準備してくれるはずだ」


 あの婆さん俺が赤子の時から外見変わらんのよな。人間だとは思うけど、海外でいうシルキーみたいな?婆さんの外見だから座敷童ってことはないと思うけど。


「わかった」


 今日の予定も決まったし、ササっと食べて依代作りの続きをやらないとな。


「ご馳走様、美味かったよ。片付けは頼めるか?」


「うむ、それより彼奴の我慢が効いているうちに早く完成させてやれ」


「わかったよ。ありがとな」


 まったく、いい女だよ本当に。


 食器の後片付けを紅葉に任せた俺は、早速依代を作っている作業場へと足を運ぶのだった。







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「えーと、材料は...コレも良し。アレもある。足りないものは...ないからあとは作るだけだな」


 作業場についた俺は材料の確認をしていた。

 一ヶ月も空けていたわけだが、材料は多めに手に入れていたし、保管と管理もしっかりしていたし、依代も九割方完成していたので、特に問題はない。


「あとは細かいところの調整と、術式を刻むだけかな」


 そこまで確認した俺は彫刻刀を手に取り、細かい微調整をするところから始めた。



 えーと、ここはこうでより滑らかに人の体と思われても違和感がないほどの曲線、細やかな皺なども再現していこう。


 髪の毛やまつ毛などは、霊獣の毛や絹糸を使うが、長さを揃えて違和感を少なく、霊力を流して少し弄ればより完璧になる。


 少しのミスも許されない中、俺は極限まで集中して、作業を続けた。


「ふう、一先ず形は出来たな」


 元々あった材料をかなり使ったが、最後の微調整まで終わり、あとは術式を刻むのみとなった。


「外側は朱墨に俺の血を混ぜたものを使って術式を刻み、内側や重要なところは俺の生き血のみを使って術式を刻む」


 その際に耐えられるギリギリまで、月読の加護を意識した霊力を注ぎ、月読が宿った際に問題なく馴染むようにする。

 そして、術式の完成度が高ければ高いほど、依代の性能も良くなる。


「そう、ここは...こうで、そこは...そう。太く細く、曲線と直線を使い分け、ところどころに細やかな陣を刻む」


 超越者となった今ですら、かなりキツイ作業ではあるが、殆ど妻になることが決まった(と言うより確定、逃す気なんて俺にも月読にも無い)月読が宿る依代故に、一分の妥協も許さず作業を進める。


 そうして、いつの間にか昼を過ぎ夕暮れ時となり、日が沈み月が登り始めた頃に依代がようやく完成した。


「はは、ははははは!出来たぞ!ようやく完成、最高の出来だ!!」


 嬉しさの余り、ガッツポーズをして喜びの声をあげていると、完成し一時的に体を布で隠した月読の姿をした依代が強く光り始めた。


「うお!?」


 思わず驚き目を覆うと、どんどん光が強くなり、一度さらに強く光、光が収まると、いきなり動き出した依代が俺に抱きついてきた。





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 体調も崩してましたすみません。

 これからはもう少し早く更新できるかと(願望)




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