第63話






 邪神の眷属が誕生してから数分


「よっほっはっ」


 俺は奴の攻撃を躱しながら観察していた。

 

 いやな?本来であれば今すぐにでも切り刻みたいところではあるが、だからと言ってこれから先何体も出てくる可能性のある敵の情報をロクに取らずに倒すと言うのもアレだからな。


「ただまあ、そろそろ出し切ったか?」


 実際、奴は最初こそ触手を伸ばして俺を捕らえようとしたり、潰そうとしたりして地面にクレーターを作ったり。火や水、風に土などの様々な霊術、そして邪神眷属固有と思われる精神攻撃などをしてきたが、俺に効果がないとわかると触手を霊力で強化し、呪いを纏わせて攻撃すると言う一辺倒な動きに変わった。


@#jp&@何故だ!@#gpa&@&#何故主より@#&ap#&@&#&@&力を賜っている我が@#@&apm##&@#&@&#&#下等生物如きに負ける!?


「だからそのキモいのをやめろと言っている」


ザンッ!ザシュ!


 触手の塊があまりにキモく喚き散らすので、思わずウネウネさせている触手を全て切り捨ててしまった。


「まあ、見るべきものは見たし問題はないか。それに、再生能力を確認出来たしな」


 俺は、切り捨てた触手が全て再生している邪神の眷属を見ながらそう言った。


 あとは、自爆ぐらいはありそうだが、逆に言えばそれ以外無いみたいだしもう終わらせよう。

 俺はそこまで考えると、刀を鞘にしまい、詠唱を始める。


『いと尊き神鳥よ、太陽の化身たる金烏よ、今ここに浄化の炎をもって、不浄なるモノを浄滅せよ』


浄滅聖火じょうめつせいか


 詠唱が終わり、術が発動すると邪神の眷属を包むように金色の炎が燃え上がり、端から塵一つ残さず燃やし尽くしてゆく。


##&@#@#@&おのれぇ!!#@&p#&@&dt#@&@#たとえ我を滅ぼそうとも@##&gp#&@&&@@&jpj#我が主は貴様如きに##&&a@#@&@###&jpどうこうできぬお方としれ!!##&##&#@@&jtm#&@&そして、いつか無様に死ぬのをb&@@&@#@gjpm#@&楽しみにしてやる!!


「知るか、とっとと消えろ」


 俺は呪詛を吐く邪神の眷属にそう返した。


 それと、どうやら死なば諸共とばかりに呪いを放ったようだが、その呪いも金色の炎に浄化され消え去ったようで、後には僅かな灰が残るだけだった。


「にしても、面倒だな。邪神の眷属は勿論だが、邪神の信徒どもも改造でもしたのか元々それだけの実力を持っていたのか、今回使い捨てのようによこしてきた奴らの実力も軽視できないモノだったし、邪神以外にも色々出て来るみたいだから洒落にならんな」


 てか、マジでなんなの?一応ゲームと似通っている部分はあるが、これだけボスラッシュ的な事になるって鬼畜ゲーだったのか?


 はあ、取り敢えず教員の安否確認と、後もう少しで天峰家の部隊が来るだろうからそれの対応だな。


 と、俺がそんなことを思っていると、タイミングよく天峰家な部隊の者がきた。


「若様、遅れて申し訳ありません」


「いや、構わん。父さんから事情は聞いているな?」


「はっ、邪神の信徒が高校を襲撃したと」


「もう既に邪神の信徒は全滅させた。死体は残っていないが、装備は残っているから回収しろ。それと、途中で邪神の眷属が出てきてな。あの灰がその残骸だ、念の為あれも回収。他は周りに敵や敵の痕跡が残っていないかの確認と、教員の治療にあたれ」


「御意」


 俺がそう命じると、すぐさま別れて装備の回収、敵の捜索、教員の治癒と、手際良く実行していく。


 あ、今更だが部隊の者たちは黒のローブに仮面と言った正体を隠す装備をつけている。厨二病と思った者もいるかも知れないが、割と真面目に必要なことだったりもする。


 部隊の者たちの動きに満足した俺は、先程結界を張り今は教員の治療にあたっている宝生院菫のもとに向かった。


「あっ...」


 彼女は治療されている教員の声に反応し、こちらを向いた。

 すると、少し顔を強張らせ治療中の教員と二、三言何か話すと、その場を離れ俺のいるところまで歩いてきた。


「..........」


「..........」


 彼女は俺の前に立ち止まると、俺の顔を見上げ何かを言おうとしたが。言葉に詰まったのか俯いて黙ってしまい。そのまま二人の間には沈黙が漂った。

 

 そして少し経ち、沈黙を破ったのは宝生院菫だった。


「あの...」


「なんだ?」


「体育館でさっきはあんなことを言ってごめんなさい」


 彼女はそう言うと頭を下げて来た。


 ただ、俺としては特に気にしていなかったので少し気まずく感じてしまう。


「別に構わない。教師として生徒を守る義務があるのは当然だ。実際、俺ほど実力がなかったと言うのもあるだろうが、御三家を初めとした上位の家系の者も大人しく従っていたからな。むしろ、小中と学校に行っていなかった影響で俺の方が迷惑をかけたとも考えられるしな」


「いえ、それでもよ。それに、今回の襲撃者はかなり強くて狸様がいたけれど危なかったもの。そして、最後に出てきたあの触手の塊。邪神か何かの眷属だったのだろうけど、奴の相手は私では到底務まらなかったわ。狸様も他の者たちを守りながらでは勝てるかどうか分からなかったでしょうし、貴方は私達を救ってくれたの。だから、ありがとうと言わせて。そして、謝罪も受け取って欲しいの」


 そこまで言われたら受け取らないわけにもいかないか。


「わかった、謝罪も感謝も受け取らせてもらおう」


「ありがとう」


 俺がそう答えると、彼女は満面の笑みでそう言った。












「ところで大体予想はつくが狸とは誰だ?」


「あら、そういえば社会のことをほとんど知らないと報告書には書かれていたわね」


「いや、一般常識ぐらいはスマホなどもあるし最低限わかるが」


「それでもこの学校の事とか他にも分からないことはあるでしょう?安心して、私がなんでも教えてあげるから」


「こんな美人に教われるとはありがたいな」


「びじっ!?もう!そんな褒めても何も出ないわよ?」


「事実を言ったまでだ」


「もう!」


 この後、俺の常識は本当に最低限だったことが判明した。








_________________________________________



お待たせしました_:(´ཀ`」 ∠):


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