第62話
「へえ?なかなか強そうじゃないか」
体育館を出て校庭に行くと、敵は教員と対峙していた。
強さとしては、リーダー格として上の上二人にその他上の中上の下が三人ずつ、あとは中の上以下がピンからキリまで数十人と団体様で来たようだ。
「校舎の方は...大丈夫みたいだな」
校舎はすでに結界が張られており、上の上でもそうそう壊せないほど強固な代物だ。
「とならば、教員を助けないとまずいか」
今の所は睨み合いだが、先程も言ったように教員たちは弱くは無いが今回は相手が悪い。一応高校に鎮座している霊術やその他先人が残した迎撃用の式神なども出してはいるが微妙だろう。
そう思っていると、敵は武器を構え霊術を発動しながら教員たちに襲いかかった。
上の上の内一人は霊獣に、残り一人は実力が微妙な上の上の教員と既に引退した教員が二人掛かりで抑えている。
それ以外の敵もそれぞれ教員と式神達が相手をし、既に乱戦の様相を見せ始めた。
「おっと、いつまでも見物しているわけにはいかないな」
俺はそう呟き、黒炎弓を構えると矢をつがえると、適当に敵集団の一人に狙いをつけ
「穿て」
矢を放ちながらそう言った。
放たれた矢は黒炎を纏いながら敵に向かって行き
「ギャアアァァァァァァ!!!!」
その胸を貫き灰にした。
_________________________________________
_________________________________________
「まずまずだな」
俺が黒炎弓で殺した敵は、上の下程度の力を持った男だったが。その男が一撃で灰にされたことに恐怖を感じたのか、敵は全員が攻撃の手を止め、一箇所に集まり俺の方を見た。
「ふむ、呆然とするのはいただけないな」
教員たちは状況についていけないのか、俺の方を向きながら呆然としていた。
本来であれば格好の的だろうが、敵は俺を警戒しているし、霊獣は警戒を怠る事なく敵を見据えているから問題ないか。
にしてもあの霊獣、狸って珍しいな。モフモフしてるし。
「貴様、何者だ?」
俺が霊獣を見ていると、襲撃者の内上の上の実力を持ったリーダー格の男がそう聞いてきた。
「何故お前に答えなければならない?」
俺がそう返すと、顔を怒りに歪めたが、俺の着物の家紋を確認したのか、歪な笑みを浮かべながら口を開いた。
「貴様、その家紋は天峰家のものだな?そして、その翁面。貴様が夜翁なのだろう?」
「それが?」
別に動揺はしていない。本来であれば近いうちに各家に教える予定だったが、それが早まっただけだ。
「貴様の実力は知っているぞ?上の上の中でも特に強い一人だ。だが、超越者でないのなら我らの敵ではなぁい!!」
男はそう叫ぶと、懐から黒い球体を取り出し、それを片手に剣を抜き放つと、あろう事かもう一人のリーダー格と思わしき男も含めて味方を全員斬り殺し始めた。
そして、不思議な事は殺された側の男たちが、恐怖するどころか狂信的な笑みを浮かべ自ら斬り殺されたことだ。
その殺戮劇を見ていると、全員を殺し終わった男は満足げな笑みを浮かべ、手に持った黒い球体を飲み込み、自身の心臓に剣を突き立てながら
「我らが神よ!!この贄を持って貴方様に歯向かう愚か者に神の捌きを!!!」
そう叫んだ。すると次の瞬間、黒い触手が男の体を突き破りながら現れ、周りの死体を血の一滴すら残さず取り込み始めた。
そして、半分ほど取り込むと周りにいる人間に気付いたのか教員の方に向かい触手を伸ばし始めた。
幸い、霊獣が全員退避させたので被害はなかったが、式神は一部が逃げ遅れたり込まれてしまった。
「これはまた、面倒くさそうだな」
取り込んだ死体を消化したのか、形が安定してくると上の上では到底出せないほどの威圧を放ち出した。
「&#/_&&b&#/_###&/#h/_h」
こちらを認識したのか、目?をこちらに向け威圧がより強くなり、よく分からないが不快感を与えてくる変な音を出し始めた。
すると、俺には影響はないが上の上以下の教員たちは頭を抑え悶え苦しみ始めた。
霊獣と式神には効果がないようだが、相手の形容し難い外見と襲撃者の神という言葉、これらを元に推測するにおそらく邪神の眷属のようなものだろう。なら、教員たちがこうして悶え苦しんでいるのは精神攻撃の類か?
俺がそこまで考えると、後ろで霊力の高まりを感じると同時に、声が聞こえた。
『
後ろを見ると、結界を発動させたのは宝生院菫のようだ。
ふむ、結界の効果は結界内の味方を癒やし、精神を安定させると言ったころか?それなりに防御力もあるようだし、俺はこのよく分からないクトゥルフみたいな邪神の眷属に集中できそうだ。
「
「気持ち悪いな。とっとと殺そう」
理解不能でSAN値ゴリゴリに削ってくる言葉を吐く癖に今は通じるようにするってふざけんなよ?見てるだけでもキツイってのに今すぐバラしてやる。
ただでさえ、キモい変態シーンを見せられてイラついていたのに、そこに油を注がれた俺は黒炎弓を仕舞、戦鬼夜炎と蒼月に霊力を大量に込め、二刀流の構えを取りクトゥルフ的な邪神の眷属に攻撃を始めた。
_________________________________________
_________________________________________
邪神の眷属言うたら触手の塊とか大目玉とかでしょ(実際見たら切り刻みたくなるほど嫌悪感MAXになるだろうけど)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます