第61話
ちなみに、高校の名前は
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「一年三組は私についてきてください!」
「二年四組は自分の後に続いて!」
「一年一組は...」
あの後、校長が話を中断して指示を出すと、教員たちが生徒を連れて教室に向かい始めた。
「それにしても、慣れているのか動きに無駄がないな」
確か美雪が里に戻る前に高校の話をしてくれたが、襲撃などの場合は校舎に強力な結界を張って敵を迎え撃つんだったか?小学校と中学校も同じようで、それで皆慣れているとも言っていたな。
まあ、俺は小中どちらも行かずに鍛錬や戦闘ばかりしていた訳だが。
そうこうしているうちに、大半の生徒が教室に向かったようだ。あと何人か残っているが、気配や服についた家紋を見るに上位の退魔師の家系、それも本家筋の者ばかりが残っているな。その中には御三家の者もいる。
「貴方、早く教室に向かいなさい」
他の生徒たちをぼんやりと眺めていると、いきなり話しかけられた。
話しかけてきた方を見れば、この高校で唯一堂々と上の上の退魔師として名乗れる実力を持つ
にしても中々に美人だな。この世界では道端を歩いている女性ですら、前世ではそれなりの美人と呼ばれるほど顔面偏差値が高い。
そして、俺の周りにいる女性は母さん含めて全員一握りと呼べるほどの美人ばかりだ。
(まあ、なんでも退魔師として実力が上がれば上がるほど肉体が洗練されて美しくなったりするらしいが)
そして、彼女も美雪や紅葉たちに劣らぬほどだ。紫のセミロングの髪に同色の瞳、胸は巨乳ではないが人並みにはあり、身長も美雪が160後半、紅葉が180近くあるのを考えると、175くらいはあるだろう。そして、身長が高いせいか尻がデカい。
なるほど、これだけのルックスとスタイルを持ち、尚且つ二十代前半の若さでこの強さとなれば生徒たちからは人気だろうな。
そんな不躾なことを考えながら見ていると、焦れたのか口を開いた。
「無視しているの?もう一度言うわ。教室へ行きなさい」
「何故?逃げる必要などないのに?」
傲慢に聞こえるかもしれないが、事実その通り。超越者になってからも紅葉や月読との模擬戦に、先祖の残した術や技に関する文献を読み漁り既存の術と技の精度を上げたりなど。特別な進歩こそないが、確実に進んでいる。
襲撃者が弱いわけではない。ただ、いくら邪神の加護を受けていようが、強い妖を呼び出す呪物の類を持っていようが、俺からすれば弱者であり、獲物である。
「なっ!?」
そう思って行った訳だが、やはり彼女は誤解して受け取ったようだ。
「貴方のことは知っているわ、。天峰蒼夜、その年で上の下の実力は凄まじいけれど。逃げる必要がないと言うのは驕りよ?たとえ相手が御三家の方であろうと例外は無いのだから大人しく貴方も行きなさい」
ん?
少し不思議に思って体育館を見回すと、残っているのは俺と宝生院菫しか残っていなかった。どうやら、教員は襲撃者の対処と生徒への対応。残っていた生徒たちは引きずられるか自主的かは知らないが教室に行ったようだ。
何人かは下手な教員より役に立つ実力はあったんだがな。
俺がそう思っていると宝生院菫は続けて
「見たならわかるでしょう?他の生徒は皆教室に行ったの。
と言った。
あー、もう面倒くさいから強権使うか。
「それは断る。俺はこれから襲撃者を対処しに行く」
「貴方っ......!!」
「ああ、これは生徒から教師への言葉ではなく。上位者から下位者への言葉だ。その意味をしっかりと理解しろ」
俺の言葉に激昂しそうになった彼女にそう続け、全身の霊力を激らせた。
「それは...こんな霊力、学生が...!?」
随分驚いているみたいだが、それも仕方ないか?紅葉の話でもこの年でこの強さは安倍晴明や蘆屋道満などの有名どころのようだしな。
「これでわかったか?では行くぞ」
俺は彼女にそれだけ言って、席を立ち外に向かって歩き始めた。
「待って!貴方は何者?そんな実力があるのになんで報告が来ていないの?」
報告?ああ、生徒の情報は大体が教員に共有されるのは退魔師の学校としては当然か、特異体質などもいるしな。
そう思いながら俺は彼女の問いかけに、いつもの翁面を取り出し被りながらこう言った。
「俺は天峰家嫡男、天峰蒼夜。そして、超越者夜翁だ」
俺の言葉を飲み込みきれなかったのか、後ろから困惑や驚愕の気配を感じながら、俺は腰に愛用の蒼月と戦鬼夜炎。左手に黒炎弓を呼び出した。
ああ、これも言っておかないと。
「あと少ししたら、天峰家の者達が救援に来るから校長にも伝えておいてくれ」
彼女にそれだけ言うと、各種強化の霊術を施して体育館を出て行った。
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