第50話






「えっと、つまり紅葉さんはさっき夜翁様を襲った鬼神ということですか?」


 霊術で簡易的な木の小屋を作り、怪我人をその中で治療し少しすると楓はこれまでの話を聞きにきた。


「うむ、その通りだ。ホレ、この通り額に角が二本生えているだろう?」


 話を聞いた楓は、目を丸くし少し疑わしそうな顔をして紅葉に本当か聞いたが、紅葉は紅葉でこれみよがしに角を見せつけて何処かふざけた雰囲気を出していた。


「ところで楓。屋敷が消し飛んだわけなんだが問題ないか?」


 何故か先程の紅葉と美雪の会話を思い出した俺は、二人の間に割って入り。更地にした屋敷について楓に聞いた。


「そうですね。問題ないと思いますよ?これまでも屋敷が壊れることはなくても戦闘の余波で塀が崩れたりはありましたから。それに、玉龍家の財力や権力の場合別荘の一つや二つ消し飛んでも問題ないはずです。そうでしょう?歌恋」


「はい、お嬢様。再建するのには時間がかかるでしょうが、少なくとも夜翁殿達に賠償を求めたりは無いかと」


 そう二人は言った。


「そうか、安心した。それともう一つ聞きたいんだが、小屋の中の護衛達はどうする?怪我人は治したとはいえ、ここは周りに民家もないし歩いたりは無理だろう?必要なら式神や霊術で乗り物を出すが...」


 式神符はもうないが、そこら辺に生えてる木や霊術で出した木に血を垂らして術を施せば乗り物ぐらいは作れるだろう。


「そのことでしたら問題ありません。既に家に連絡を入れて人を寄越してもらっています」


「わかった」


 じゃあ他にやる事はないかな。とりあえず夜明けまでは護衛を続けるが多分襲撃はもう無いだろうな。


「む?話は終わったのか?ならば吾と話そうぞ。美雪に聞いたとは言え今の事はほとんど知らなくてな。昔はやれ浮世絵だやれ歌舞伎だなどとそればかりでな。隠遁する前には亜米利加とやらから来たすーつ?などがあったが詳しく知らんのでな」


「そうなんですか?ではいっぱい教えてあげます。美味しい食べ物や綺麗な服も多いですし、紅葉さんが知らない遊びなどもあるでしょうから今回だけでは話し切れないかもしれませんけど」


「なんと。そんなにあるのか?これは夜翁の家に行くのが楽しみだ」


「俺の家は今の家というよりお前の知っているような屋敷だぞ?まあ、家電などはあるから昔のままというわけではないが」


「えっ!紅葉さん夜翁様のお家に行かれるのですか?」


「ああ、契約もしないと法律とか面倒だしな」


「うむ、人間は昔から面倒だからな。それと、吾が夜翁の家に行くのは嫁入りするためであってそれはついでだ」


 おぉっとぉ?


「ふぇ?よめ、いり?...結婚?......えぇぇぇぇぇ!!!!どう言うことですか!?詳しく聞きたいです!」


「ふふっ、よかろう。一から十まで話してやろうぞ」


 はいそこ楓、目を輝かせない。お前もよくぞ聞いてくれたみたいな雰囲気を出すな紅葉。


「はぁ〜」


 結局さっきの紅葉と美雪の会話のようになった結果に俺はため息をついて項垂れた。


「あー、その夜翁殿。アメがあるが食べるか?」


「ありがとう」


 俺がどんよりしていると、歌恋がアメを渡してくれた。やばいな優しさが心に染みる。あっちは美雪まで話に混ざってるし。


「まあ、楓様もそういった話が気になるお年頃だから仕方がないのだろう。すまんが耐えて欲しい」


「はぁ、そうだな。仕方がない。ところでお前も少し不思議なところがあるな?本来の能力は上の下どころではないだろう?」


 歌恋にそう言われた俺は耐えることにした。同時に少し気になっていたことを聞くことにしてみた。


「え?ああ、気付いていたのか。確かにアタシはアタシで少し特殊だな。詳しくは言えないが」


「なら別に言わなくていい。気になっただけだしな」


 実際のところ本当に気になって聞いただけだからな。ただ、ぱっと見人ではなく妖か妖の血を濃く引いているな。それもかなり強い。この感じは蛇か?...いや蛇はもっとねっとりしているから違う。まあ、何かしら鱗を持った水に関係する妖だろうな。詳しくはいつか聞く機会があれば聞いてみよう。


 そんな感じで歌恋と色々話していると、離れた場所で盛り上がっている三人に見つかり...


「あっ!歌恋!夜翁様と何を話しているのですか?」


「いえ、少し世間話をしただけです」


「むっ?また女を引っ掛けたのか?」


「紅葉様、いくら夜翁様でもそこまで節操なしでは無いと思います。たぶん」


 うーん、こっちまで飛び火したか。


 歌恋は苦笑いをしながら楓達に弁解をし、俺は現実逃避のため歌恋に貰ったアメを口に入れた。


 あっ、甘い。





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(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)



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