第32話



「準備しないとな、なんか嫌な予感するし」


 俺は父さんから護衛の話を聞き護衛は三日後夕方から翌日の朝までと教えてもらった。

 他にも色々聞いた事はあるが、まずは部屋に戻って美雪に説明し、準備を整えないといけない。


 そんなことを考えていたらいつの間にか自室についていた。


「お帰りなさいませ、若様」


「ん?美雪来てたのか」


「はい、紗枝様から聞いて待っていました」


 部屋に戻ると美雪が座って待っていた。どうやら、紗枝に話を聞いて戻るまで待っていてくれたようだ。


「ありがとう、紗枝から聞いているなら話が早い、三日後夕方から翌日の朝まで護衛の任務に就くことになったから着いてきてもらうよ」


「三日後に護衛ですか?着いていくのは構いませんが、若様は体調は大丈夫ですか?休みは十分でしょうか?」


「昨日の疲れなら既に取れてるよ問題ない」


 美雪がついてきてくれるならだいぶ安心できるな。


「それじゃあ、護衛の内容について詳しく話そうか」


「お願いします」


 そうして俺は父さんから聞いた護衛の内容を美雪に話した。



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「なるほど、内容はわかりました。ですが上の上の退魔師に依頼をしたいという事はそれだけ危険という事でしょうか?」


 美雪は話の内容を理解した上で聞いてきた。


「そうだな、過保護というだけなら楽なんだが、俺の第六感はそうではないと言っているし相手も上の上で現役の退魔師だ、極端に私情を優先させるような事はないだろうから危険だろうな」


「なら、しっかり準備しないといけませんね」


「ああ」


 実際、過保護ではないだろうな。紗枝と同系統の体質に占術が得意なものが占って実際に当たっている、その上で現役の退魔師が超越者を除けば最高位の退魔師に依頼したいなど普通のことではない。


「何が必要になりそうですか?」


「そうだな、霊薬をはじめとした薬は当然必要だし今回は霊符も準備しておこう」


「霊符ですか?」


「ああ、特に治癒の霊術を封じたモノや式神符、そしてヒトガタ...身代りの符も必要だ」


「それは...わかりました」


 霊符とは、まあ、封じた術を即時発動できる使い捨ての道具だ、退魔師をやっている人は大体何かしらの霊符を保険として持っている。

 治癒の霊符は文字通り、使うことで傷を癒すことができるモノだ、式神符は使う事で式神を生み出し敵を攻撃させたり自身を守ったり、他にも索敵や移動用の乗り物代わりにしたりもできる。

 最後に身代りの霊符は、作った本人しか使う事ができず、また、作る難易度が高く霊力も多く消耗する上、符に術を書く際他の霊符が和紙に朱墨で書くのに対し和紙に制作者の生き血を使って書く必要がある。和紙も出来れば本人の髪や爪など体の一部を素材に使ったものが良いとされている。


「とりあえず、一通り準備を終えたら今日明日は武器防具の手入れと霊符の作成だな」


「はい、では早速準備に取り掛かります」


 美雪は気合を入れて準備をしようと立ち上がった。が、その前に。


「ちょっと待って」


「はい?」


「準備はするが、その前に朝食を食べよう美雪もまだだろう?」


「あっ、はいそうでした...」


 美雪を呼び止め、朝がまだである事を言い、一緒に食べようと言うと美雪は顔を赤くして頷いた。


 やっぱ、可愛いな。





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短め許して_:(´ཀ`」 ∠):




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