第30話
夜の帳が下り、辺りが静寂に包まれ空には綺麗な月が浮かんでいた。
そんな中、ある草原では激しく動き回るモノ達がいた。
4メートルを超す大きな影は一つ二つ...全部で十あり、その全てが棍棒や斧を持つ鬼の体に牛頭の化け物、牛鬼であった。
それに対する影は一つ、その影は人らしく背丈は180と少し、髪の色は青みがかった黒で
顔に翁の面をつけ体に着物を纏い右手に太刀、左手に和弓を持ち戦っていた。
向かってくる牛鬼に対し、弓に矢をつがえ放ち、牛鬼の脳天を貫きその手に持つ武器を弾き飛ばした。太刀を構えれば、牛鬼に反応できない速度で地を駆け近づき、四肢を切り飛ばし首を刎ね次から次へと斬り殺してゆく。
そして、これらの影と少し離れた場所にも影の集団がいた。
その影は、牛鬼ほどではないが大きく、大きさは2メートル以上で手に棍棒や錆びた刀などを持っており数は数十、下手をすれば100を超える集団の鬼達である。
それに対するはまたも一つの影、こちらも同じく人のようで背丈は170程度、体のフォルムからして女性であり、髪は銀色で顔に般若の面をつけ着物を纏い、槍を振るっていた。
数で勝る鬼に臆することなく向かって行き、次から次へと槍で薙ぎ払い吹き飛ばし突き殺して行く。術を使ったかと思えば幾つもの氷で作られた剣や槍が鬼に向かい刺さって行く、他にもいつの間にか凍らされたのか氷像となった鬼達は槍で粉砕されて行った。
どちらも数で勝っているはずなのに、2人の人間に一方的に蹂躙され、然程時間が経たぬうちにどちらの集団も全滅した。
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「グモォォォォ......」
最後の牛鬼が断末魔と角を残して塵へと帰っていった。
「ふう、今回も数が多かったな」
翁面を顔から外しながらそうこぼした。
月読命...月読様から加護をもらって10年、俺、天峰蒼夜は死ぬ気で鍛えまくり退魔師のランクにおいて上の上になっていた。
より正確には、俺自身は上の下であり俺が右手に持つ翁面を被った
何故こんな面倒なことをやっているのかと言う理由は簡単で、俺は今15、こんな若さでなれるわけが無いなどと言う面倒な老害などから小言を避けるためだ。まあ、知っている奴は知っているだろうが。
そんな理由で、翁面をつけている間は天峰蒼夜ではなく夜翁として振る舞っている。
ちなみに、さっきの戦いで使っていた弓と太刀は俺が初陣で倒した異常個体の牛鬼から作ったものであり大業物と言える代物だ。
弓の名は、
刀の名は、
この二つの武器に関しては、どうやら父さんが思い切ったらしく日本にいる武器職人の中でも最高峰の人達に依頼したようで出来はもちろん完成時に
個人的には、色に関しては牛鬼の角が黒かったから納得しているけど月読様がなんかやってね?とか少し思ったりしてる、弓も太刀も出来上がると同時に名前を刻まれたそうだし。
「若様ー、大丈夫ですかー?」
そんなことを考えていると、遠くから雑多な鬼の群れ(と言っても中の中や中の上の群れだが)を倒し終わった美雪がこちらに走ってきた。
「ああ、問題無く終わった。でも、牛鬼が十体は少し驚いたな」
「本当ですよね、私の方も上の下には届いていませんでしたがそれに近い個体が幾つかとそれ以外も弱いとは言えない鬼が数十体いましたからね」
改めて、近くまで来た美雪を見ると美人だなと思う。妖は人間とは寿命が違うとは聞いていたが10年前と全く変わらずむしろ綺麗になっているからな。
ちなみに、美雪の使っている槍も黒炎弓などと同じで牛鬼の素材で作ったものだ。
槍の名は、
この槍も俺のと同じように神が細工してそうなんだよなぁ、月読様じゃなくて咲耶様の方だけど、あの
「とりあえず、妖退治は終わったのだし素材を回収して帰ろうか」
「はい、そうしましょう」
さて、帰るとしますか。
そういえば、来年は高校入学か、この世界が少なからずゲームの影響を受けているのは妖の出現頻度や数、強さで理解できるけどイベントとかはどうなんだろうね、全く覚えてないや。
でも、入学一年前つまりゲーム開始一年前って考えたら十分何か起こると思うんだよなぁ、できればそれまでに壁を越えたいが世の中そううまくは行かんだろうな。
これからの未来に頭を悩ませた俺は、嫌な考えを忘れる為に美雪と並んで屋敷に帰る道を夜の闇に包まれながら歩いた。
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フラグ建てはこんな感じでよろしいかな?φ( ̄ー ̄ )
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