第23話
父さんの話が終わり部屋に戻った今、俺は縁側で瞑想して...
「そーちゃん、もっと甘えてくれてもいいんですよー?ほらギュー!」
いるのではなく、絶賛母さんに抱きしめられて甘やかされている。
「母さん、美雪もいるし少し恥ずかしいんだけど。それに父さんも心を落ち着かせろって言ってたのにこれじゃあできないよ」
「大丈夫よ、美雪ちゃんにも甘えているんでしょう?それにお母さんは鬼子母神に加護をいただいているから心が落ち着くと思うのだけど」
「確かにそうだけどさ...」
母さんの言ってることは間違いではない。
事実、母さんを羨ましそうに見つめる美雪に甘えることもあるし、母さんは鬼子母神の加護のせいもあって抱きしめられるととても心が落ち着いてリラックスできる。
だが、恥ずかしい物は恥ずかしい。
「あら美雪ちゃん、随分と羨ましそうに見ているのね」
「あっ!いえ、これはそのう、えっとえっと」
「あら、慌てなくてもいいのよ?いつもは貴女がそーちゃんのことを甘やかしているのでしょう?」
「はい、えっとたまにですけど」
「なら反対側から挟むようにして抱きしめてあげればいいのよ」
おっと?恥ずかしがっていたら美雪が母さんに何か言われて慌てている。っと、挟んで抱きしめる!?流石にそれは恥ずかしいなんてものじゃなくなるんだが...
「いいのですか?」
「いいのいいの」
「それではお言葉に甘えて」
いや待って、俺がよろしくない。だから待って。でも母さんに抱きしめられているせいで体に力が入らず言葉にならない。
「若様失礼します」
美雪がそう言うと母さんの反対側に座って俺のことを抱きしめてきた。
いや本当にこれは恥ずかしいなんて物では...あっでもいい匂いと柔らかい感触に包まれて意識が...ああ...
そうして俺は眠りについた。
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「んむぅ...」
うぅ、あれ?いつの間に寝て?いやそうか、母さんと美雪に抱きしめられてあまりの心地よさにそのまま寝てしまったんだっけ。
時刻はもう夕方、母さんは部屋を出て戻ったみたいだけど、美雪は...
ああ、いたいた。
美雪は俺の隣で寝ていた。多分俺が眠ったあと布団を出してそこに寝かせてくれたんだろう、なんで美雪が隣に寝ているのかは知らないが随分幸せそうに眠っている。いささか罪悪感が湧いてくるが、心を鬼にして起こすとしよう。
「美雪?起きてもう夕方だよ。ほら起きて」
俺はそう言いながら美雪を両手で揺すった。
「ん、んん、ふぇ?」
可愛らしい声と共に美雪の目が開いた。
「おはよう美雪。よく眠れた?」
俺の問いに、少しの間眠たそうに瞬きしたあと。
「はい、とてもぐっすり眠れました。って若様!?私寝てたんですか!?」
「うん、とってもぐっすり寝ていたよ」
「ふわぁ!?も、申し訳ありません!眠ってしまって、それどころか布団も同じで!」
「別に気にしないよ。それに、俺だってさっきまで寝ていたんだしね」
「ですがっ!」
「ほら、落ち着いてって」
意識がはっきりしたのか美雪は随分と慌て出した。俺は気にしていないと伝え落ち着かせようとしたが、美雪的にはかなりショックだったらしい。俺的には普段落ち着いている美雪が、こんなに慌てるのは新鮮だから面白いなんて思ってしまった。
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「落ち着いた?」
「はい、お恥ずかしいところをお見せしました」
結局、美雪が落ち着くのに五分から十分程かかった。その後も顔を赤らめて申し訳なさそうに謝ってきた。
「気にしてないって言っているだろう?それに、俺としては美雪の可愛いところを見れて満足だったりするからね」
「かわっ!?」
俺がそう言うと、美雪はさらに顔を赤くして慌てていた。
「そ、そんなことを気軽に女性に言ってはいけません」
「いや、流石に見知らぬ女性に言ったりはしないよ。でも、美雪のことは好きだし普通に可愛いから言っただけだよ」
「すっ!?」
およ?さらに美雪の顔が赤くなった。
「絶対に他の女性に無闇矢鱈と可愛いとか好きって言ったらダメですよ!勘違いされてしまいます。いいですね!」
「わかったからそんなに詰め寄ってこないでって」
「はっ、これは失礼しました」
美雪が急に詰め寄ってきて驚いてしまった。まあ、正気に戻ったからよしとしよう。
でも、無闇矢鱈に好きとか可愛いって言うなって言われても。そんなこと、家族や美雪みたいに親しい人にしか言う気はないんだけどな。
そのことを美雪に伝えたところ「だから、そう言うのです」と言われて量の頬を摘んで引っ張られた。げせぬ。
とはいえ、今日は母さんと美雪に甘やかされて恥ずかしかったが、それでも美雪の珍しい表情が見れたりして楽しかった。
たまには、こんな日があった方がやっぱり楽しいな。
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日常回とか、イチャイチャとかって難しいですね。
というか、作者的にはまだ本編始まりきってないんですよね。
完結できるかなぁ...
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