第13話




 父さんに装備をもらい、美雪と模擬戦してから三日、この三日の間鍛錬場に籠って美雪と模擬戦をしたり霊術の練度を上げたりして自分でも納得のできる仕上がりになった。


「それでは父さん、母さん行ってきます」


 時刻は夕方の少し前。俺は、屋敷の門の前で父さんと母さんに出発の挨拶をしていた。


「しっかりと美雪の言うことを聞いて気をつけるんだぞ」


 と、父さんが。


「傷薬なんかもしっかり持った?油断したりしたらダメよ?」


 と、母さんが心配してくれた。


「大丈夫だよ、油断したりなんかしないし常に気を張って警戒するようにするから」


 俺はそう言って二人を落ち着かせようとしていた。


「にいさま!」


 そこに紗枝が走ってきた、後ろから紗季さんも追いかけてきている。個人的に、妹が出来たのは嬉しいけど紗枝と全然話ができてないから、帰ったら目一杯話したり遊んだりしたい所存。


「紗枝、どうしたんだい?」


 俺がそう問いかけると。


「にいさまけがしない?ぶじにかえってくる?」


 と、不安そうに聞いてきた。


「怪我もしないし無事に帰ってくるよ、帰ったら色んなお話したり遊んだりしような」


「うん!」


 俺はそう言って紗枝の頭を撫でた。


 すると紗枝は、安心したように笑った。


「蒼夜さん、怪我のないように気をつけてくださいね」


 今度は紗季さんも話しかけてくれた、心配してくれているらしい。


「父さんや母さんにも言いましたけど、大丈夫ですよ、もしもの時の霊薬も持ちましたし」


 俺はそう返す。


「それじゃあ、いい加減もう行くよ、俺は大丈夫だから心配せずに待っていてね」


「ああ、大人しく待っているとする」


 と、父さんが言い。


「美雪さん、蒼夜の事お願いしますね」


「はい奥様、しっかりお守りします」


 母さんは美雪に俺のことを頼んでいた。


「にいさま、まってますからね!」


「妖は弱くても油断できませんから気をつけて」


 と、紗枝と紗季さんが言った。


「それじゃあ美雪出発しよう」


「はい、若様」


 こうして、美雪という保護者付きではあるけど俺の初めての妖退治が始まった。




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「ようやくついたね、ここが今回妖を退治する場所?」


 目の前には、結構な規模の森が広がっていた。


 時刻としては、ちょうど日の入り、いわゆる逢魔時と言うやつだ。


「はい、今回はここで妖退治をしていただきます。知っていると思いますが、妖は自然発生するモノもいれば、私の種族のように人間と同じく子を産み繁殖するモノ他には妖界や魔界などと言われる所詮異世界ですね、そこから這い出てくるものもいます。とは言え、今回相手にするのは自然発生か繁殖型で尚且つ弱いモノが相手ですので問題ないでしょう。危険があれば私が介入しますが最初は若様お一人で頑張ってください」


 と、美雪に言われた。


「それはわかったけど、魔界から出てくるやつを相手にしないのはなんで?」


 疑問をぶつけてみた。


「そうですね、理由としましては魔界からこちらに来ることのできる扉や門といった存在が特定の場所や条件を満たした場所、もしくは術で作るなどしないと出現しないからと言うのと、魔界から来る妖は基本的に強く、弱くともそのぶん数が桁違いに多い方が普通だからですね」


「要するに素人が同行できる物ではないと」


「はい、その通りです」


 まあ、理由はわかったから妖退治を始めよう。


「それじゃあ、森に入ろっか」


「そうですね、でも警戒を怠ったりしたらダメですよ」


「わかってるよ」


 こうして、俺と美雪は妖の出る森の中へと入っていった。




_________________________________________


「森の中に入ってみて思ったけど、思ったより雰囲気が変わったりしないんだね」


 森の中を歩いている俺は思ったことを美雪に聞いてみた。


「そうですね、妖が出ると言っても弱い妖ばかりですからね、コレが強い妖が出るところなんかだと、一般人なんかは体調を悪くしたり気を失ったりすることもあります」


 危険なところは本当に危険らしい。


「俺的には、もう少し怖い雰囲気があると思ったんだけどね妖も全然出ないし」


 いいことではあるかもしれないが、初陣の俺としては相手がいないというのは問題だ。


「心配せずともそのうち出てきますよ。ほら、そんなことを言っていたら近づいてきました、数は3匹ですね若様一人で問題ないと思います」


 美雪がそう言ってすぐ、茂みの中から妖が3匹現れた。


「あれは餓鬼ですね、妖の中でも最も弱い部類の妖です」


 美雪が、餓鬼と呼んだ存在は人型ではあるが五歳児の俺と同じくらいか、少し小さいくらいで頭にとても小さな角があり肌の色も汚い緑色、全体的に痩せていて腹だけ出ているし顔がとても醜かった。


「コレが妖か、最下級と言っても普通に外見怖いね」


 俺は、蒼月を抜きながらそう言った。


「妖は基本的に外見が怖かったり醜かったりするか、逆にとても綺麗だったり可愛かったりします。雪女などがそれですね」


「それって自画自賛してない?確かに美雪は美人だけど」


 美雪が自慢してきたのでそう返しておいた。(ちなみに美雪は雪女だけど人間と契約して人権を獲得しているからか普通に妖が襲ってくる)


 最近わかったことだが、美雪は基本的に外見通りにクールだけど、時たまふざけるというかこんな感じでボケを入れてくるのがわかった。


「なっ!...んん"、そんなこと言ってないで前を見てください、来ますよ」


「はーい」


 美雪にそう言われ前を見ると、3匹がバラバラにこちらに走ってきていた。


 蒼月を構え霊力を流し切れ味を上げ、一番先頭を走っている餓鬼に対して霊術を放つ。


霊火弾れいかだん


 この術は相手に火の玉を放つ基本的な攻撃霊術で、習得難易度も簡単なので俺は無詠唱でも十分な火力を維持して放つことができる。(無理に無詠唱をすると火花が散るだけなんて事もあるらしい)


 俺の放った霊火弾は、先頭の餓鬼に命中し全身を燃え上がらせた。


 次に俺は、右側の餓鬼に向かって走り、攻撃を避けながら横を通り過ぎるようにして餓鬼の首を蒼月で刎ね飛ばした。


 最後に、俺が首を刎ねた隙に飛び掛かってきた餓鬼の下を潜り抜けると同時に蒼月を上に振り上げ縦に両断した。


「ふう、結構簡単だったな」


 蒼月には血の一滴もついていない。こういう時、前世のラノベだと気持ちが悪くなったり吐いたりするのだろうが俺はそうはならない、一回死んでいるからだろうか?覚えてないけど。


「お見事です、大丈夫でしたか?」


 美雪が水筒を片手にこちらに来た。


「ああ、問題なかったよ」


 水筒を受け取りながらそう言った。


「それなら良かったです、初めてだと気分を悪くして吐く人もいると聞いたので心配でした」


 やっぱり吐く人はいるらしい。


「いや、俺は大丈夫だな。それよりも餓鬼の死体はどうしよう?」


 水筒を返しながら言うと美雪は死体を指差して。


「若様、死体を見てください」


 そう言われ、餓鬼の死体を見ると斬り殺した2匹と霊術で焼いた1匹が全部黒い霧のようなものになって消えていた。


「美雪、なんで死体が消えたの?妖だから?」


 俺が美雪に聞くと美雪は。


「半分正解です。より正確には、自然発生型と一部の魔界から来た妖などがこうなります。魔界の妖に関してはあちらで自然発生した妖だろうと言われています。また、自然発生型でも一定以上の強い個体や長い年月を生きた個体などは死体が残ります」


 と、美雪は答えた。


「ふーん、そうなんだ。ところで今日はここまで?それとももう少し妖と戦う?」


 俺が聞けば。


「初陣としては問題ありませんが、経験を積むのも兼ねてもう少し餓鬼や同程度の強さの妖を退治しましょうか、何か問題があれば私が対処しますので言ってくださいね」


 美雪がそう言ったのでもう少し妖退治は続行になった。


 俺は、もう少し強い妖が出てきてくれると自分の実力がわかるだろうかと考えながら美雪と共に森の中を歩いて行った。





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 設定考えるの難しい...。゚(゚´Д`゚)゚。




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